茶道のお茶の入れ方は2通りあり、ドロドロに練って飲む濃茶と泡立てて飲む薄茶があるそうです。格としては濃茶が上で、薄茶が下になるようです。濃茶、薄茶といっても材料は抹茶とお湯だけですから、違いは簡単にいうとお茶の濃度の違いでしょうか。
濃茶や薄茶という言葉は入れ方の他に、抹茶の種類を表すのに用いられます。濃茶用の抹茶を濃茶、薄茶用の抹茶を薄茶と言います。濃茶と薄茶の違いは味で、濃茶の方が苦味や渋みが少なく上等とのこと。濃茶用の抹茶を薄茶に使うことはあっても、その逆は無いそうです。苦味が強すぎて、飲めないからだとか。
抹茶を入れる容器(茶器)は濃茶と薄茶で分かれていて、濃茶を入れる容器を「茶入」、薄茶を入れる容器を「薄茶器」と呼びます。薄茶器は元々、中に茶入を収める容器で、後に薄茶用の容器に転用されました。だから、茶入と薄茶器では材質が異なります。茶入は主に陶磁器(蓋は象牙など)で、薄茶器は漆器などです。茶入も薄茶器も様々な種類があり、形状などで分類されます。
茶入の形状を色々ある中でいくつか取り上げてみます。
●茄子(なす) :丸茄子型
●文琳(ぶんりん) :林檎型
●肩衝(かたつき) :肩が張った形
●大海(たいかい) :口が広い平丸型
●内海(ないかい) :口が狭い平丸型
●丸壺(まるつぼ) :甑(こしき、首の部分)が長めの平丸型
●瓢箪(ひょうたん):瓢箪型
●耳付(みみつき) :耳状の突起を持つ形
ちなみに、茶入の各部名称は下の写真の通りです。
「九十九髪茄子 前編」のエントリにも書きましたが、茄子には名物である「九十九髪茄子・松本茄子・富士茄子」の3つを天下三茄子と呼んでいました。肩衝も同様で「初花・楢柴肩衝・新田肩衝」の3つを天下三肩衝と呼びます。しかも、「天下三肩衝を私する者は、天下を我がものにする。」と言われていたそうで、名物狩りに精を出していた信長でさえ、3つ揃えることは出来ませんでした。
◆「唐物肩衝茶入〈銘初花〉」
所有者_:財団法人徳川記念文化財団
指定__:重要文化財
製作国_:中国
製作年代:南宋
寸法重量:高さ8.8cm 胴径7.9cm 底径4.5cm 胴廻24.8cm 口径4.7cm 甑高1.1cm 肩幅1.4cm 重量139.9g
銘の由来:足利義政が「古今集」の和歌「くれないのはつ花ぞめの色ふかく思ひしこころ われわすれめや」に因んで付けたとも。
伝来__:足利義政→鳥居引拙→大文字屋疋田宗観→織田信長→織田信忠→松平念誓→徳川家康→豊臣秀吉→宇喜多秀家→徳川家康→松平一伯(忠直)→松平備前守→徳川綱吉→徳川美術館。
◆「大名物 漢作肩衝茶入 銘 新田」
所有者_:公益財団法人徳川ミュージアム
指定__:重要美術品
製作国_:中国
製作年代:南宋末~元初期
寸法重量:高さ8.5cm 胴径7.7cm 胴廻24.5cm 口径4.5cm 甑高1.4cm 肩幅1.0cm 重量120.0g
銘の由来:新田義貞が愛用していたと言われていることから。
伝来__:村田珠光→三好政長→織田信長→大友宗麟→豊臣秀吉→徳川家康→徳川頼房→水戸徳川博物館
◆楢柴肩衝
所有者_:消失
指定__:-
製作国_:中国
製作年代:不明
寸法重量:不明
銘の由来:釉色が濃いアメ色であったことから、「万葉集」の「御狩する狩場の小野の楢柴の汝はまさで恋ぞまされる」の歌に因んで付けたとも。
伝来__:足利義政→村田珠光→鳥居引拙→天王寺屋宗伯→神谷宗白→島井宗室→秋月種実→豊臣秀吉→徳川家康→消失
///////////////////////////////
唐物肩衝茶入〈銘初花/〉
http://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails.asp?register_id=201&item_id=6747
初花
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%9D%E8%8A%B1
楢柴肩衝
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A5%A2%E6%9F%B4%E8%82%A9%E8%A1%9D
公益財団法人 徳川ミュージアム
http://tokugawa.gr.jp/index.html
公益財団法人 德川記念財団
http://www.tokugawa.ne.jp/index.htm
名物茶入
http://members.ctknet.ne.jp/verdure/cyaire/index.html