六丈記2

備忘録のようなもの

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歴史認識問題に関する一考察1

 韓国の朴槿恵大統領は今日(14日)から訪米する予定だったが、10日になって延期を発表した。キム・ソンウ広報首席秘書官は、「国民が不安を感じている状況の中、朴大統領はMERS早期終息など国民の安全を管理するため、来週に予定された訪米日程を延期することにした」、「今朝、尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官とケリー米国務長官が電話をした。尹長官が国内の状況に理解を求め、米国が同意して訪米日程を再調整することにし、発表することになった」と説明している。
 MERSの感染拡大で、「旅客船が沈没しても右往左往、致命的伝染病が広がっても右往左往。今この国を無政府状態にしているのは、反政府勢力などではなく政権自身」(歴史学者のチョン・ウヨン教授)との批判の声も上がり、支持率も急落していたにも拘わらず、9日までは訪米日程に変更はないとしていたことからすると、急変した印象を受ける。
 今回の訪米で朴大統領は、安倍首相が上下院合同演説で新藤義孝衆院議員(硫黄島で戦死した栗林忠道大将の孫)と硫黄島の戦いに参戦したスノーデン氏を握手させて歴史的和解を演出したことに対抗し、朝鮮戦争やベトナム戦争に従軍した退役米軍人と交流したり、ベトナム戦争関連の教育センター(アメリカ政府施設)に韓国政府の寄付で朝鮮戦争関連の展示をさせたりして、「日本は敵として米国と戦ったが、韓国は朝鮮戦争とベトナム戦争で米国とともに戦った」ということをアピールするつもりだったらしい。つまり、日米は新蜜月関係かもしれないが、米韓は血盟関係だと強調しようとしていたのだ。たぶん、米韓関係は日米関係よりも固い絆で結ばれているとして、歴史認識問題で韓国側に付くことを説得し、アメリカ側から安倍談話の内容に圧力を掛けるようとしていたのだ。だから、MERSが拡大中であっても訪米に執着し、訪米を強行するつもりだったに違いない。
 青瓦台は韓国側から延期を申し入れたと説明するが、朴大統領の思いの強さからすると、真相は逆だったのではないかと思えてくる。朴大統領は防疫対策もせずに感染拡大の現場となった病院を視察しており、そんな人物と面と向かって会談したらMERSに感染しないとも限らない。オバマ大統領が感染リスクを犯すのは避けたいと思ってキャンセルしたとしても不思議ではないだろう。

 訪米延期の真相は定かではないが、もしも訪米していたら、朴大統領には好ましくないことが待っていた。オバマ大統領からは、THAADの配備、中国による南沙諸島の埋め立てに対する反対声明、アメリカの要請を振り切ってAIIB参加したことについての説明、日本の集団的自衛権の容認、日韓関係正常化などを求められていただろう。米中の間でコウモリ外交を展開している韓国としては、対応に苦慮するところだった。
 朴大統領がこれらの要求にどの様に回答するつもりだったかは分からないが、日韓関係正常化に関してはこれまでの主張を繰り返し、解決を阻んでいるのは安倍首相だと訴えていたに違いない。

 韓国は自分達の歴史認識が絶対に正しいと盲信しているので、アメリカが賛同して当然と思っているかもしれないが、日米韓協力体制の強化を願うアメリカにとって、歴史認識問題は邪魔でしかない。
 2月末にはシャーマン国務次官が「ナショナリスト的な感覚で敵をけなすことは、国の指導者にとって安っぽい称賛を浴びる容易な方法だが、それは感覚がまひするだけで、進歩は生まない」と発言。5月中旬には、訪韓したケリー米国務長官が未来志向的な関係を進めるために相互に受け入れ可能な解決策を直接対話で抑制的に探ることを求めていた。オバマ政権は当初、歴史問題を引き起こしている原因は安倍首相にあると考えていたようだが、韓国側に問題があると考え直したのだ。
 このような状況になったのは、韓国が自爆したからだ。関係改善を促しても一向に進展させようとしないばかりか、アメリカに関係無い慰安婦像や東海呼称問題などを持ち込み、官民挙げて執拗に日本非難のロビー活動を繰り返したことで、アメリカにうんざり感が広がり、「いい加減にしろ」という気分にさせたのだ。これを「コリア・ファティーグ(韓国疲れ)」と呼ぶらしい。日本も韓国の執拗な反日活動にうんざりさせられ、「韓国疲れ」を起こしているが、アメリカも同様のようだ。

 アメリカは、70年前のことでこれ程までに揉めるのかと思っているに違いない。たぶん、安倍首相が河野談話と村山談話の継承を表明したことで、韓国も鉾を収めるべきだと思っている筈だ。だが、それで収まる程、歴史認識問題は簡単ではない。日韓双方に解決を阻む理由があるのだ。

 日本側の理由としては、歴史を学問の領域と考えていることにある。歴史は史実に基づいて論理的に解釈されるべきで、新資料の発見により修正が加えられて当然と多くの人が考えている。だから、政府見解であっても、妥当性が無いのであれば、破棄や修正が加えられてしかるべきという意見には基本的に逆らえない。もし、「首相が発言したのだから、それを歴史的真相とみなさなければならない」と発言したら、学問の自由を侵していると批判されるだろう。日本では政治権力に歴史の解釈権は無く、国民に特定の歴史認識を強制することは出来ないのだ。
 また、北朝鮮の拉致が発覚した事やネットが発達したことによって、左翼思想の信頼性が崩壊し、その欺瞞性が暴かれたことで、日本人の歴史認識が変化したことが大きい。戦後主流であった左翼史観(自虐史観)は、多くの人々からその妥当性に疑問を持たれることになり、従来の歴史認識が通用しなくなった。
 加えて、謝罪のたびに非難の声がエスカレートし、どんどん関係を悪化させたという事実もある。
 だから、河野談話や村山談話の時のように、安易に政治的妥協を図ることが難しくなっており、政権が妥協したとしても、日本の世論(特にネットで形成される世論)はそれに妥当性が無ければ納得しないだろう。ハーバード大学のエズラ・ボーゲル名誉教授(「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の著者)は、日本が戦時中の侵略行為や強制労働の歴史を認めることが中国や韓国との関係改善に寄与すると言っているが、そんな簡単な話ではないのだ。

・・・続く。
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