六丈記2

備忘録のようなもの

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

新興住宅街の空き地

カリンバ遺跡
 原野を拓いて区画整理された一角にある空き地です。場所はJR恵庭駅から1km程離れたところです。
カリンバ遺跡 地図
 一見、何の変哲も無い空き地ですが、実は国指定史跡(平成17年3月2日指定)なのです。
カリンバ遺跡 看板
カリンバ遺跡 看板2
 カリンバ遺跡は、平成11年に区画整理事業に伴う発掘調査で発見され、旧カリンバ川にちなんで遺跡名が付けられました。カリンバとは、アイヌ語で「桜の木の皮」という意味です。
 この遺跡は、縄文時代からアイヌ時代にかけての遺跡で、竪穴住居跡、土坑墓、建物跡、炉跡、平地住居跡、壕状跡など多数の遺構が残されていました。中でも、縄文後期・晩期の土坑墓は300基近く発見されており、漆塗りの装身具や玉が多数副葬された土坑墓も多数見つかっています。漆製品の出土品は120点を超え、合葬墓3基(縄文時代後期約3000年前)から出土した副葬品(漆製品、玉、サメの歯、土器)は一括して国の重要文化財に指定(2006年)されてもいます。
カリンバ遺跡 土坑墓
カリンバ遺跡 漆塗り櫛
カリンバ遺跡 髪飾り注口土器

 レプリカながら、これらの出土品の数々はカリンバ遺跡から3.5km離れた恵庭市郷土資料館に展示されています。
カリンバ遺跡 郷土資料館
 ちなみに、漆塗りの櫛を復元するとこの様になるようです。漆は腐食に強いんですね。
カリンバ遺跡 漆塗りの櫛

 カリンバ遺跡からは、縄文時代の夥しい量の漆製品が出土していますが、最古という訳ではありません。北海道には、もっと古い漆遺物が出土した場所があります。それは、函館市にある垣ノ島遺跡(縄文時代早期[約9000年前]~後期[約3500年前])です。この遺跡からは、約9000年前の漆塗り装身具の副葬品6点(漆を塗った糸で作られた髪飾り、腕輪、肩当てなどの繊維が腐食して土の上に漆が残ったもの)が出土しています。残念ながら、2002年末の火事で焼けていますが、世界最古と言われています。
カリンバ遺跡 垣ノ島遺跡
カリンバ遺跡 垣ノ島遺跡漆製品の肩当て


 話しは変わりますが、サーチナが3月5日に掲載した「わが国から伝わった漆器、日本で『すごいこと』になっていた・・・中国驚愕
」という記事で、「人民網」が日本の漆工芸品を取り上げていたことを伝えていました。
*** わが国から伝わった漆器、日本で「すごいこと」になっていた・・・中国驚愕 ***
 中国では日本の伝統工芸品に対する関心も高まっている。多くの場合には中国で生み出された技術だとした上で、日本の「学習」と「改善」能力に改めて注目する論調も多い。漆器の場合にはネット通販でも出品されることが多くなった。
 中国共産党機関紙の人民日報系のニュースサイト「人民網」は2日、「組図:日本の漆器芸術鑑賞」の見出しの記事を配信した。西側国家が日本を「漆の国」と称するのは“誤解”と主張し、理由として中国では2000年前に、漆器が高い水準に達しており、日本には唐代に伝わったと紹介した。ただし日本が「中国から学んだものを消化吸収し、自らの民族的特徴がある芸術として深め、新たな領域を不断に開拓した」と、日本の漆器の水準の高さを全面的に認めた。
 江戸時代には「蒔絵(まきえ)」の完成により、日本の漆器は「世界最高」になったと紹介。明治以降は、日本の工芸技術は伝統と現代の間で「徘徊」することになり、経済性と生活への適応性も意識されたと説明し、日本の工芸品は中国など東方国家の文化を吸収し、西欧のデザイン文化も取り入れ、「極めて特徴的な『日本の風格』を形成することになった」と評価した。
 文章は「漆関連の仕事には、陶磁器関連についで多くの人が従事している。彼らは漆技術の芸術性や実用性だけでなく、歴史や科学技術を含めて総合的に研究をし続けている。彼らの不断の研究と更新が、日本の漆技術の発展を推進している」と紹介した。
--以下省略--
********************************************************************************

 英語では、磁器を「china」、漆器を「japan」と呼ぶこともあり、欧米では日本の特産品と考えられているそうです。16世紀の大航海時代に、日本の優れた漆器がヨーロッパへ輸出され、明治初期にも漆器の輸出が盛んに行われていましたから、欧米で日本を「漆の国」と認識するのは無理もありません。
 ところが、人民網はそれは誤解だと言います。何故なら、唐の時代に漆器を伝えたからだと。何やら、韓国起源説を唱える韓国人のようです。
 人民網の記者は、日本は中国から学び、高度に発展させ、江戸時代に蒔絵を完成させたと思っているようですが、平安時代には既に高い水準に達していました。例えば、平安時代の漆工芸を代表する名品で国宝の「片輪車蒔絵螺鈿手箱」は蒔絵に螺鈿を組み合わせて作られています。また、平安時代に建立された中尊寺金色堂にも高い漆工芸技術が使われていました。
カリンバ遺跡 片輪車蒔絵螺鈿手箱
カリンバ遺跡 金色堂

 この記事からは、唐の時代に漆を日本へ伝えたと読めます。ですが、前述のように、日本では縄文時代に漆製品が作られていました。唐の時代に漆が日本に伝えられたとするのは、明らかな間違いですが、以前は漆工芸が仏教文化とともに伝来したというのが定説で、漆の技術と漆木が中国から日本へ伝わったと古くから考えられていたようです。
 戦後、日本の漆の歴史が仏教伝来以前に遡ることが分かるのですが、1973年に中国の浙江省余姚市で発見された河姆渡遺跡が大きな意味を持ちます。この遺跡から、中国最古の漆遺物が出土したのです。6400年前から5900年前の層で見つかった「赤漆塗りの木椀」が放射性炭素年代測定によって約6200年前の物と確認されました。ついでながら、7000年前までの層からも漆塗りとみられる筒が出土しているのですが、浙江省文物考古研究所によると、科学的分析はされていないとのこと。
カリンバ遺跡 河姆渡遺跡 赤漆塗りの木椀
 この発見により、漆は中国から伝播したとの大陸渡来説がより強化されました。ところが、垣ノ島遺跡から出土した漆塗りの副葬品が2001年に放射性炭素年代測定によって約9000年前の物であることが判明し、世界最古といわれていた河姆渡遺跡の出土品の最古記録を更新しました。
 また、福井県の鳥浜貝塚(縄文時代草創期から前期の集落遺跡 約12000~5000年前)から1984年に出土した木片が、2011年の東北大学の調査で世界最古の漆の枝であることが判明しました。放射性炭素年代測定により約12600年前の枝であると確認され、DNA分析で日本固有種であることが分かったのです。
 これらのことより、漆木が日本国内に自生していて、中国より古い時代から漆を利用していた可能性が高くなり、現在では、漆器の起源は日本であるという考え方が一般的になってきているようです。

 近年の考古学の成果により、縄文時代に漆が広い地域で利用されていたことや漆の歴史がかなり古いことが分かってきています。
 1972年に鳥浜貝塚から出土した重要文化財の「赤色漆塗り櫛」(約6000年前)が日本最古の漆塗りの櫛とされていましたが、1996年に三引遺跡で出土した漆塗りの竪櫛が測定で6800年前の物と判明し、形状のはっきり分かる漆製品としては最古の物となりました。
 2000年には、島根県の夫手遺跡から出土した漆液容器(内側一面に黒っぽい漆が付着、外側に漆の垂れ跡)が約6800年前の物と判明、西日本でも縄文早期に漆が精製加工されていたことが分かりました。
 その他縄文時代早期の物は、神奈川県の羽根尾遺跡から赤漆塗り櫛(約6000年前)、新潟県の大武遺跡から出土した漆をしみ込ませたひも(約6600年前)等も発見されています。
 また、静岡大学が青森県の三内丸山遺跡から出土した漆を分析したところ、中国の漆と日本の漆は異なる種類であることが判明(1999年発表)しました。
カリンバ遺跡 赤色漆塗り櫛
カリンバ遺跡 漆塗竪櫛

 縄文時代は、土器が出現して始まった時代ですが、同時に漆の文化が始まった時代でもあったようです。有史以来、大陸の文化の方が日本列島のの文化より高かったこともあり、文化は一方的に大陸からもたらされたと考えられがちですが、漆の文化の存在はそれを見直す契機になるのかもしれません。

////////////////////////////
国指定史跡カリンバ遺跡
http://www.city.eniwa.hokkaido.jp/www/contents/1370228457011/index.html
カリンバ遺跡
http://bunka.nii.ac.jp/SearchDetail.do?heritageId=140204
カリンバ遺跡の漆製品と玉類が国の重要文化財に指定
http://www.city.eniwa.hokkaido.jp/www/contents/1370226376812/index.html
垣 ノ 島 A・B 遺 跡 (函館市)
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/bns/jomon/remains_is_kakinoshima01.htm
垣ノ島遺跡
http://bunka.nii.ac.jp/SearchDetail.do?heritageId=147134&isHighlight=true&pageId=4
わが国から伝わった漆器、日本で「すごいこと」になっていた・・・中国驚愕
http://news.searchina.net/id/1563950?page=1
片輪車蒔絵螺鈿手箱
http://www.emuseum.jp/detail/100197/001/001?word=&d_lang=ja&s_lang=ja&class=8&title=&c_e=®ion=&era=&cptype=&owner=&pos=1&num=3&mode=detail¢ury=
ウルシ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%82%B7
漆について
http://www.archives.pref.fukui.jp/fukui/07/kenshi/T1/0a1-03-01-04-08.htm
漆器
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%86%E5%99%A8
始動 是川ジャパンロード
https://www.toonippo.co.jp/rensai/ren2004/japanroad/index.html
縄文の華/漆-是川遺跡をめぐって
https://www.toonippo.co.jp/rensai/ren2004/joumonnnohana/index.html
スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。