六丈記2

備忘録のようなもの

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植村元記者が記者会見を開く

 1月9日、植村隆元朝日新聞記者が外国特派員協会で記者会見し、文芸春秋社と東京基督教大の西岡力教授を名誉毀損で提訴したことを明かして批判に対する反論をした。
 その記者会見の動画を弁護士ドットコムニュースがYOUTUBEに載せている。

◆記者会見動画
【全編動画】「私は捏造記者ではない」慰安婦報道の元朝日・植村記者が会見 2015.1.9


◆スピーチ
 冒頭部分のスピーチを書き起こしたのが下記。
******************************
≪「私は捏造記者ではない」慰安婦報道の植村隆・元朝日新聞記者の会見スピーチ(全文)≫
http://www.bengo4.com/topics/2536/
~省略~
●冒頭スピーチ全文
 みなさま、お忙しいところ、私の記者会見に来ていただきまして、ありがとうございます。パリの新聞社襲撃事件で多数の記者たちが亡くなったことに、本当にショックを受けています。1987年5月には私の同期の小尻知博記者が支局を襲撃されて殺される事件がありました。同じジャーナリストとして、こうした暴力には絶対に屈してはいけないと改めて思いました。
 私が非常勤講師として勤めている北星学園大学にも昨日また、脅迫状が送られてきました。匿名性に隠れた卑劣な脅迫行為は、絶対に許すことができないと思います。なぜ、北星学園大学に脅迫状がくるかというと、私がそこに勤務しているからであります。去年、週刊文春の記事で、私が「捏造記者だ」というレッテル貼りをされました。それで、まったく私の記事とは関係ない大学にまで、こうした脅迫行為がおこなわれています。
 私は訴訟準備のために東京にいて、大学には行っていなかったのですが、私のために大学が脅迫にさらされることに心が痛みます。本日、週刊文春を発行する文藝春秋および、その週刊誌にコメントを発表した東京基督教大学の西岡力氏の両名を名誉毀損の被告として、裁判を起こしました。私は私の人権、私の家族の人権、家族の友人の人権、勤務先の北星学園大学の安全を守るために、この訴訟を起こしました。
 私は24年前の大阪社会部時代に、慰安婦と名乗りでた韓国のおばあさんのつらい体験の記事を署名入りで2本書きました。この記事が原因で、23年間ずっとバッシングを受けています。この記事で私が存在を報じたのは金学順さんという人で、韓国でカミングアウトした第1号の慰安婦です。彼女の勇気のある証言で、慰安婦の生の証言が世界に伝わって、たくさんの被害者が名乗り出るようなりました。そういう意味では、慰安婦問題が世界に知られるようになった証言者第1号のおばあさんでした。
 1年前の週刊文春(2月6日号)の記事に、1991年8月の記事が批判的に紹介されました。この見出しを見ていただければわかりますが、「慰安婦捏造 朝日新聞記者がお嬢様女子大学の教授に」とあります。
 西岡氏はこの週刊誌のコメントで、私の記事に対して、「強制連行があったかのように記事を書いており、捏造記事と言っても過言ではない」とコメントしています。
 (私の記事では)本文2段落目に、「女性の話によると、中国東北部で生まれ、17歳のときにだまされて慰安婦にされた」と書いてます。そこには触れないで、(西岡氏は)「強制連行があったかのように書いており、捏造」としています。これはフェアではないと思います。
 私の記事はリードで「女子挺身隊」という言葉を使いました。当時、韓国では慰安婦のことを女子挺身隊、あるいは挺身隊という言葉で表現していました。しかし、西岡氏は1992年4月の文藝春秋で、「重大な事実誤認」と批判していました。その当時、西岡氏は、「朝日に限らず日本のどの新聞も、金さんが連行されたプロセスを詳しく報じず、大多数の日本人は、当時の日本当局が権力を使って金さんを慰安婦としてしまったと受け止めてしまった」と書いています。
 しかし、その後は、私だけを狙い撃ちにして批判しています。98年頃から、批判が「捏造」という言葉に変わりました。同じ1991年の記事に対して、評価を変えてしまっているのです。フレームアップだと思います。結局、その流れで、去年の2月の週刊文春の記事は私を「捏造記者」とレッテル貼りしました。これはフレームアップの延長線上だと思います。
 この記事が原因で、私の転職先の神戸の女子大学にいやがらせのメール、電話が多数殺到しました。そして私がいま勤務している北星学園大学にはさらに多くの抗議のメールや電話がくるようになりました。抗議電話の一部は、インターネット上に公開されて、さらに憎悪が煽られています。
 標的は大学だけではありません。私の家族、娘にまで及びました。娘の写真がインターネット上にさらされ、誹謗中傷が書き連ねられています。たとえば、「こいつの父親のせいで、どれだけの日本人が苦労したことか。おやじが超絶反日活動で、贅沢三昧に育ったのだろう。自殺するまで追い込むしかない」。私のパートナーは韓国人です。つまり、私の娘は父親が日本人で、母親が韓国人なのです。娘に対してヘイトスピーチのような、コリアンを差別するようなコメントも書かれています。
 週刊文春の「捏造」というレッテル貼り、そして西岡氏の言説が、結果的にこうした状況を引き起こしたのだと思います。私は言論の場でも手記を発表して反論しています。それだけではなく、法廷でも捏造記者ではないことを認めていただこうと思っています。
 私は「捏造記者」ではありません。不当なバッシングに屈するわけにはいかないのです。
(弁護士ドットコムニュース)
******************************

◆弁護士
 弁護士は、「捏造」という記載が名誉毀損に当たるとし、民事裁判で次の3つを求めるとしている。
●インターネット上にある西岡力教授の論文の削除。
●謝罪広告の掲載。
●損害賠償として1650万円の支払い。

 この訴訟は、元日弁連会長の宇都宮健児氏や福島瑞穂前社民党党首と事実婚の関係にある海渡雄一弁護士ら170人の弁護士が代理人となっており、植村元記者を攻撃する歴史修正主義者は他にも沢山いるため、弁護士らは次々と裁判を起こして植村氏の名誉の回復を図るのだそうだ。ちなみに、海渡雄一弁護士は「負けるな北星!の会」の呼びかけ人でもある。
 動画で説明をしている神原元弁護士は、共産党系の弁護士団体「自由法曹団」の常任幹事であり、日本労働弁護団(労働組合系の弁護士団体で、前身は元総評弁護団)や青年法律家協会(共産党系の法曹関係者団体)にも所属している。反原発デモやしばき隊とも関係している様子。典型的な左翼系弁護士だ。
 この弁護士が態々「歴史修正主義者」という言葉を持ち出しているのは、相手が外国人だからその言葉が効果的に働くと思ったからだろう。外国人は「歴史修正主義者」という言葉に嫌悪感を持つから、その負のイメージを利用しようとする意図があからさまだ。「捏造記者」とのレッテルを剥がすために法廷で争うと主張している側が、批判する者に対して「歴史修正主義者」のレッテルを貼ろうとするのは、滑稽と言うしか無い。レッテル貼りは左翼連中の常用手段にしても、あまりにも見え透いている。
 更に「次々と裁判を起こす」と発言したのは、批判したら裁判沙汰になって面倒なことになるぞと暗に恫喝し、萎縮させることを狙っていると思われる。

◆質疑応答
 植村元記者は、国内のメディアの取材からは逃げ回っていながら、ニューヨークタイムズの取材を受け、ハンギョレ新聞のインタビューを受けた。自分に不都合な質問をしないメディアを選び反論するという手法を取っている。その延長線上に外国特派員協会での記者会見もあるのだろう。
 記者会見の質疑応答を動画から要約すると以下の様になる。
●質問:妻が韓国人のため、中立的な記事が書ける筈がないとの批判についてどう思うか。
 回答:1990年夏、韓国へ2週間取材に行き、韓国挺身隊問題対策協議会や太平洋戦争犠牲者遺族会に頻繁に出入りした。元慰安婦には出会えなかったが、遺族会の事務をしている女性と出会った。その女性が遺族会の幹部の娘だとは知らずに恋愛し、結婚した。1991年夏、元慰安婦のカミングアウトの前にその存在を最初に明らかにした記事を書いたので、義母からの情報で書いたのではないかと批判されている。挺隊協と遺族会は別組織であり、義母は1991年8月の元慰安婦の証言記事の後にその元慰安婦に出会った。縁戚関係を利用した訳ではない。朝日新聞の8月の検証記事でも、12月に発表された第三者委員会の報告でも、縁戚関係を利用したとの疑惑は否定している。結婚前から慰安婦問題を取材しており、家族の問題として取材したのではなく女性の人権問題として取材していたのだから、結婚は関係ない。
●質問:朝日新聞が謝罪をしたことをどう思うか。萎縮し過ぎとの指摘もある。
 回答:朝日新聞は吉田証言問題も抱え、吉田証言記事を取り消して後に謝罪した。朝日新聞は私の家族までバッシングを受けているので萎縮していると思う。私は捏造記者ではなく、これから証明して行くし、文芸春秋1月号にもその証明を書いている。バッシングの理由は、朝日新聞記者であること、元慰安婦の証言記事を最初に書いたこと、妻が韓国人であることだと思う。攻撃により、自分や朝日新聞を萎縮させたいと考えている人々がいるのではないか。謝罪し取り消したのだから、朝日新聞には萎縮せずに慰安婦問題に取り組んで欲しい。慰安婦問題は解決していないのだから。
●質問:朝日新聞の慰安婦問題に民間や政府からの批判があり、フランスのジャーナリストに対するテロ事件には、首相が言論や報道の自由に言及している。日本の現状についてどう思うか。
 回答:北星学園大学に対する脅迫について、文科大臣が批判している。皆そういう気持ちを持っている。首相にも北星学園を支えて欲しい。
●質問:朝日新聞を退職したのは、強要か、自分の意思か。復職の希望はあるか。
 回答:朝日新聞を辞めさせられたのではない。50歳を過ぎてから大学院に入学し、博士論文にも取り組んでいる。2012年から北星学園大学で国際交流講義を受け持っていて、アジアの留学生に日本の社会事情や文化を教えている。特派員を経験したことにより、アジアとの係わり合いの大切さを知り、大学教員になろうと思った。幾つかの教員公募に応募して、神戸の大学に採用が決まったが、抗議が寄せられたために大学側が辞退を求めてきて、合意の上で契約解消した。まだ、記者であったので朝日新聞に戻る選択もあったかもしれない。しかし、捏造記者というレッテルを貼った者と戦うためには多くの時間が必要であるため、朝日新聞に戻らずに一人のジャーナリストとして戦おうと思った。捏造記者という記事を書かれてから、捏造記者ではないという証拠を探すために毎日多くの時間を費やした。取材を求める様々なメディアは沢山の質問状を送ってくる。だから、時間が掛かる。フリーになってそれが出来るのが現状。
●質問:名誉毀損の提訴は民事か。名誉毀損は強化した方がいいと思うか。
 回答(弁護士):民事。個人的には名誉毀損罪を強化すべきとは思っていない。
●質問:フランスのジャーナリストに対するテロ事件と自身に起きていることの類似性について一言。家族に具体的影響はあるか。
 回答:今のところ、言葉による脅しだけ。パリの事件は寛容さに欠ける人々が起こしたと思う。自分の記事が捏造と言われるが、当時は同じ様な記事が他紙にも沢山あった。それなのに個人がターゲットにされている。不寛容という社会に起きている現象という点でテロ事件と共通点があるかもしれない。戦争中の触れられたくない過去に目を向けようという人達に対して怯ませようとする動きが日本にあると思う。自宅の電話番号は公開していないのに自宅に嫌がらせの電話が掛かってくる。インターネット上に個人情報が公開されていた。弁護士が発信先を探したが分からなかった。匿名性に隠れて非難する人達が増えている。
●質問(江川紹子):植村氏には、反日というレッテルも貼られている。慰安婦問題を書いた反日記者あるいは日本を貶めていると言われているが、過去の問題を書く時に日本についてどのように思っているか。ナショナリズムの台頭が攻撃に関係していると思うか。
 回答:「売国奴」などと書かれた葉書が大学に送られて来ている。しかし、自分は反日ではなく、日本が他のアジアから尊敬される国になって欲しいと思っている愛国者と思っている。アジアからの留学生には、政治状況で関係が良くなったり悪くなったりするが、日本にも良い所があり、隣国関係は大切なので色々と学んで欲しいと言い、仲良くなっている。アジアの中で隣国との関係が大切だと思っており、記者としてもそう訴えてきた。自分の学生が日本から言論や学問の自由が無くなれば隣国にも影響するので辞めないでくれと言っている。だから、卑劣な脅迫で大学を去りたくないと思っている。分からないが、卑劣な脅迫をする人達は中国や韓国の人達と触れ合ったことが無く、頭の中でナショナリズムや排外主義が高まっているのではないか。
●質問:11月に脅迫電話を掛けた犯人が逮捕されているが、略式起訴になっている。検察の処分は軽過ぎると思うが、検察の処分と政府の北星学園大学に対する姿勢をどう思うか。
 回答:犯人とは全く面識が無い。日本のジャーナリズムは逮捕された時は大きく報道するが、その後は小さく扱われ、犯行動機の解明をするような報道が無かったのがジャーナリストとして残念。事件で一番大事なのは動機の解明であり、防止する方法になる。処分の軽重については判断出来ないが、抑止効果にはなったと思う。北星学園は小さな学校だが、戦後50年の時に平和宣言をしている学校でアジアへの侵略戦争反対と人権教育の大切さを訴えている。小さな大学が激しい攻撃に耐え、雇用を継続して学問の自由を守ると言って大きな勇気を示している。北星学園の平和宣言は政府の歩む道でもあり、政府も支援して卑劣な行為を食い止める力になってくれると思う。
 回答(弁護士):現地の弁護士から、警察はこの脅迫問題に熱心ではないという情報を貰っている。警察はきちんと取り締まれ。
●質問:被害者の立場を強調しているが、吉田発言について何本の記事を書いたのか。朝日新聞は吉田証言を虚偽と認めた訳だが、吉田証言が反日気分を煽ったことについてどう思うか。
 回答:吉田証言に関する記事は1本も書いていない。吉田証言の後に慰安婦問題の取材を始め、吉田証言の取材はしていない。朝日新聞を批判する本に吉田証言の記事を沢山書いたと書かれているが、それこそ捏造と言うのではないか。今月号の「世界」にデマ情報が活字にまでなっているのかが出ている。1991年8月11日の記事は、韓国でも報道されておらず、反日気分を煽っていない。日本がアジアの仲間になるための作業をしていると思っている。

 この記者会見での植村元記者の主張は「捏造記者ではない」ということなのに、それについての具体的質問は全く無い。最低でも、植村元記者の聞いたテープ内容の確認くらいすべきなのだが、フランスのテロ事件に結び付けようとの質問が目立つ。
 江川紹子氏の質問に至っては、植村元記者が脅迫の被害者であることと昨年末辺りから主張している愛国者だということをアピールさせるためのもだと疑わせる。葉書が用意されていることを考えると、前もって打ち合わせがされていたのかもしれない。

◆回答に対して
 回答にも幾つか引っ掛かる部分がある。
 義母と金学順氏が出会った時期について、植村元記者は「私の義母は、このお婆さんの存在を私の記事の後に知ったと言いますか、出会った訳です。」と述べている。義母が8月11日の記事まで金学順氏の存在を知らなかったのなら、言い直す必要は無い。では何故言い直したのか。実は、義母は記事が出される前から金学順氏のことを知っていて、記事の後に実際に会ったということではないか。後で前から知っていたことが発覚した時にまずいと思って、咄嗟に言い直したと感じるのだが、どうだろうか。
 次に、退職した件。退職理由を捏造記者というレッテルを貼った者と戦うために時間が必要であるためとしているが、朝日新聞の業務が原因なのだから、社員のままなら仕事として取り組むのが可能な筈だ。むしろ、講師になったら講義やその準備のために時間を要するようになるから、かえって時間的余裕は無くなる。それでも時間的余裕が増えたとするなら、大学の講義を疎かにすると言っていることに等しく、大学側に失礼ではないか。それに、週刊文春の記事が出てから1年近くになるが、これまで植村元記者は逃げ回るばかりで戦う姿勢など見せていなかったと思う。それを今更戦うためだったと言ったところで、信じられる訳がない。
 インターネット上に個人情報が公開された件では、弁護士が発信先を探したが分からなかったと説明しているが、書き込んだ者を特定するにはプロパイダに対して発信者情報開示請求を行う必要がある。それには裁判手続きを経なければならないが、訴訟を起こしたのだろうか。しかし、これまで訴訟を起こしたとの情報は聞かない。弁護士なら書き込んだ者を特定するにはプロバイダーに対して発信者の住所や氏名の開示を求める訴訟が必要と初めから言うだろうから、元々特定作業などしていないのではないか。大体、見ず知らずの者が公表していない個人情報を公開するのは困難だ。植村元記者はネトウヨの仕業と言いたげであるが、犯人は植村元記者の周辺にいる可能性が高いと思う。
 弁護士が質疑応答の中で「札幌の現地の弁護士から、現地の警察はこの脅迫問題に関して必ずしも熱心ではないというような情報を貰っています。日本の警察はきちんとこの様な卑劣な犯罪を取り締まるために戦うべきだということも訴えさせていただきます。」と脈絡も無く発言している。警察が熱心に捜査していないと言う訳もなく、弁護士が捜査内容を詳しく知る筈も無いのだから、こうした情報を流すことで暗に権力からも見放されていることをアピールし、同情を誘う積もりなのだろうか。どの様な意図があるにせよ、警察は職務怠慢と公言しているのだから、これは警察に対する名誉毀損になりはしないか。

◆司法記者クラブ記者会見
 外国特派員協会での記者会見は植村元記者らの思惑通りになったと見ていいだろう。でも、調べているうちに、植村元記者は外国特派員協会での記者会見の前に司法記者クラブでも記者会見を行っていたことが分かり、そこでは、外国特派員協会のようにはならなかった様だ。産経ニュースがそのことを報じている。
******************************
≪慰安婦記事の疑惑拭えず 裁判戦術も疑問 元朝日記者の文芸春秋など提訴≫
http://www.sankei.com/affairs/news/150109/afr1501090028-n1.html
 文芸春秋と東京基督教大の西岡力教授を提訴した元朝日新聞記者、植村隆氏は9日の記者会見で「生存権」という言葉も使ってこう被害を訴えた。

 「名誉回復、人生の再生のために戦っていきたい。私は捏造(ねつぞう)記者ではない」

 確かに、嫌がらせや脅迫が勤務先の大学や植村氏の家族にまで及んでいる現状は看過できず、断じて許されない。ただ、この日の記者会見でも、肝心の植村氏が批判を受ける原因となった記事に関しては、説明は尽くされなかった。
 例えば植村氏は平成3年8月11日付朝日新聞朝刊の記事で、匿名の韓国人元慰安婦の証言テープをもとに「『女子挺身(ていしん)隊』の名で戦場に連行され」と書いた。
 この記事の慰安婦と勤労動員によって工場などで働いた女子挺身隊との混同と、「戦場に連行」という強制連行を連想する表現とが後に問題化し、「捏造ではないか」と疑問視されるに至った。
 ところが植村氏は、記者会見で「テープで『挺身隊』と聞いたのか」と問うても、「定かでない」との答えだった。その上で、当時は韓国で挺身隊と慰安婦が同一視されていたことを繰り返し主張し、「自分にも同様の認識があった」と述べたが、テープにない言葉を恣意(しい)的に付け加えたとの疑惑は拭えない。
 植村氏は月刊誌「世界」2月号で「暴力的に拉致する類の強制連行ではないと認識していた」と書いている。記者会見でも「記事には『だまされて慰安婦にされた』と書いている」と強調し、自身は強制連行とは書いていないと訴えた。
 この問題をめぐっては、昨年12月に朝日新聞の第三者委員会が公表した報告書も「安易かつ不用意な記載」「『だまされた』と『連行』とは両立しない」と厳しく批判している。
 報告書の指摘について植村氏にただすと、「(第三者委から)注文はついている。確かに今となってはもうちょっと(丁寧に)書いておけばよかったなあ。そのくらいの話だ」との反応で反省は示さなかった。

 「私は言論人、活字の人だから、まず活字(月刊誌などに発表する論文)で説明しようと思った」

 植村氏は、これまでインタビュー取材を受けるメディアを選別してきた理由についてこう語った。一方で代理人の神原元(はじめ)弁護士は「これから170人の代理人が、(植村氏を捏造記者と呼んだ)その他の人々も順次訴えていく」と今後の裁判戦術を明らかにした。
 言論人であるならば、こうした大規模な裁判闘争に出る前に西岡氏と堂々と論戦したり、産経新聞などの取材を受けたりして、自らの言論で白黒を決めるべきではなかったかと疑問に思う。
(産経ニュース 阿比留瑠比)
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 外国特派員協会とは違い、証言テープや第三者委員会の報告の指摘などの追求があったようだ。メディアを選別してきた理由にも言及があり、「私は言論人、活字の人だから、まず活字で説明しようと思った」と答えている。植村元記者は言論人かもしれないが、スピーチで自ら「同じジャーナリストとして」と言っているのだから、今でもジャーナリストと自認しているのだろう。それならば、自分が取材対象の立場になったなら、積極的に取材に応じるというのが筋ではないか。植村元記者も現役時代は取材協力を求めてきた筈なのだから。
 この司法記者クラブでの記者会見について産経以外の大手新聞は、植村元記者が提訴したことを報じるのみで、植村元記者の記事に関する説明については触れていない。朝日新聞の特集記事以来、あれだけ大騒ぎしていたのにもう興味が無くなったのか。それとも、これ以上植村元記者を突くと、従軍慰安婦問題で問題のある記事を書いてきたではないかと反撃されそうなので無視することにしたのだろうか。

◆提訴された側の見解
 ちなみに、西岡教授らの提訴に対する見解を朝日新聞が掲載しているので、転載する。
******************************
元朝日記者、文春などを提訴 植村氏「慰安婦記事捏造の報道、名誉毀損」
http://www.asahi.com/articles/DA3S11543536.html
~省略~
 これらの記事について西岡氏は雑誌などで、(1)「女子挺身(ていしん)隊の名で連行された」と書いているが、その事実はなく、経歴を勝手に作った(2)元慰安婦がキーセン(妓生)の育成学校にいた経歴が書かれておらず、身売りされて慰安婦になった事実に触れずに、強制連行があったかのように書いた(3)植村氏の義母は、元慰安婦らが日本政府を訴えた裁判の韓国の支援団体幹部で、結果的に裁判が有利になる捏造記事を書いた、などと指摘した。
 週刊文春は昨年、「“慰安婦捏造”朝日新聞記者がお嬢様女子大教授に」との見出しの記事などを掲載した。
 訴状で植村氏側は、(1)当時の韓国では慰安婦を指す言葉として「女子挺身隊」が用いられていた(2)キーセン学校に触れなかったのは、慰安婦になったことと直接関係がなかったため(3)取材の端緒はソウル支局長からの情報であり、指摘された事実はない、などと主張した。
~省略~
<週刊文春編集部の話> 記事には十分な自信を持っている。
<西岡力・東京基督教大学教授の話> 訴状を見ないと詳しいことは分からないが、私が書いていることは、憲法が保障する「言論の自由」の中だと思っている。言論同士で論争すればよいと思うのに、裁判を起こされたのは残念だ。
******************************

◆裁判
 植村元記者は、名誉毀損で民事訴訟を起こしたということだが、民法に名誉毀損に関して個別に決められた条文は無い。正確にいうなら、不法行為による損害賠償訴訟を起こしたということだ。
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(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(財産以外の損害の賠償)
第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
******************************
 原告が訴えている不法行為は、名誉毀損罪違反であるから刑法の名誉毀損罪の条文に違反しているかどうかが争われることになる。
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(名誉毀損)
第二百三十条  公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2  死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
(公共の利害に関する場合の特例)
第二百三十条の二  前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2  前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
3  前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
******************************
 
 西岡教授が2014年2月6日号で「捏造記事と言っても過言ではありません」とのコメントは出版されているし、このコメントによって植村元記者の社会的評価が低下したことは客観的にそう理解されるだろう。だから、原告側の立証は容易であり、原告の名誉が毀損されたことに争いはあまり無いと思う。とするならば、焦点は西岡教授が書いたことに「公益目的」、「公共の利害」、「真実」があるかということになる。このことについては、被告側が立証する必要がある。従軍慰安婦問題は国際的に拡散していることであるから、その原因の一つである記事が間違いであるとの指摘は、公共性を認められやすいだろう。問題は「真実であることの証明」になると思う。
 「大辞林」第三版の解説によると、捏造は以下の意味を持つ。
******************************
ねつぞう【捏造】
( 名 ) スル
〔「でつぞう(捏造)」の慣用読み〕
実際にはありもしない事柄を,事実であるかのようにつくり上げること。でっちあげ。 「会見記を-する」
******************************
 つまり、唯のミスではなく、故意に事実とは異なることを書いたと証明しなければならないのだと思う。その立証に一番良いのは、植村元記者が聞いた証言テープの内容と記事の内容が重要な部分で異なるということを示すことだろう。
 被告側が韓国挺身隊問題対策協議会から証言テープを提供してもらえるとは考え辛いし、植村元記者に尋問したところでよく覚えていないと言うだけだろう。
 裁判になったことで、事実が明らかになると考えるのは早計なのかもしれない。

 この民事訴訟は、植村元記者が主導して起こしたものなのだろうか。むしろ、左翼系弁護士が植村元記者に目を付け、民事訴訟を持ち掛けたのではと思える。代理人の弁護士がヘイトスピーチ法規制活動をしているので、その活動に利用しようとしているのではないだろうか。
 植村元記者がそう認識しているかは分からないが、民事訴訟が攻撃を止めさせる有効な方法と考えているのは確かだろう。ただ、それだけが民事訴訟を起こした理由ではないような気がする。裁判を起こせば、裁判を理由に取材を断る言い訳が出来、取材から逃げているとの批判をかわせると内心目論んでいるのかもしれない。

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≪【全編動画】「私は反日ではない」慰安婦報道の元朝日・植村記者が反論会見≫
http://www.bengo4.com/topics/2544/
https://www.youtube.com/watch?v=fPpV-oxDLsU&feature=player_embedded
IWJ Independent Web Journal
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E7%A5%9E%E5%8E%9F%E5%85%83
Listening:<ヘイトスピーチ法規制>「暴力」からの救済か、乱用への警戒か
http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20141117org00m040004000c.html
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コメント


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 この場合裁判では「捏造」かどうかではなく、第三者が見て「捏造」と判断しても仕方がない状況証拠があったかどうかでしょう。

 と言うのは真実でない事を出版物に書いたら賠償の対象と言うなら、植村隆自身が「慰安婦は女子挺身隊員として連行された」と言う虚偽を書いているのです。
 
 そして植村自身はこの虚偽を書いた事については、ミスであって悪意による捏造ではないから罪はないと言っているわけです。

 これだと西岡氏が植村の記事を見て「捏造」と考えてしまったのも、西岡氏の調べた状況証拠に捏造と思えるモノが沢山あれば、著書に捏造と書いた事を問題にするわけにはいかないのです。

 個人の出版物ですからこうした表現には、新聞記事以上の自由度を許されるはずです。

 そして植村への脅迫の原因を西岡氏だと証明するのは不可能でしょう。

 高木健一からの同様の告訴では、西岡氏が最高裁で勝訴していますからね。
 植村に勝ち目はないでしょう。

 弁護側もわかっていての脅迫訴訟でしょうね。

よもぎねこ | URL | 2015-01-20(Tue)10:20 [編集]


Re: タイトルなし

>  この場合裁判では「捏造」かどうかではなく、第三者が見て「捏造」と判断しても仕方がない状況証拠があったかどうかでしょう。
 被告が勝訴するには、抗弁によって捏造と判断する相当な理由があると認められる(相当性の抗弁)だけでいいですが、抗弁で捏造が真実であることを証明(真実性の抗弁)してもいい訳です。後者が望ましいですが、どの様な弁護方針を採るかは被告側の自由ではないでしょうか。

>  と言うのは真実でない事を出版物に書いたら賠償の対象と言うなら、植村隆自身が「慰安婦は女子挺身隊員として連行された」と言う虚偽を書いているのです。
>  そして植村自身はこの虚偽を書いた事については、ミスであって悪意による捏造ではないから罪はないと言っているわけです。
 植村元記者は、自身の記事について罪の有無を論じていないと思います。そもそも、捏造記事であっても、それがどの様な犯罪になるのか分かりませんし。

>  これだと西岡氏が植村の記事を見て「捏造」と考えてしまったのも、西岡氏の調べた状況証拠に捏造と思えるモノが沢山あれば、著書に捏造と書いた事を問題にするわけにはいかないのです。
 被告は相当性を主張するために色々と証拠を提出するでしょうが、相当な理由があると判断するにはその証拠によるのではないでしょうか。

>  個人の出版物ですからこうした表現には、新聞記事以上の自由度を許されるはずです。
 週刊文春は個人の出版物ではないですよ。

>  そして植村への脅迫の原因を西岡氏だと証明するのは不可能でしょう。
 名誉毀損は、外部的名誉(人に対して社会が与える評価)が侵害される危険を生じさせただけで成立します。よって、原告は「捏造記事と言っても過言ではありません」(「週刊文春」2014年2月6日号のコメント)との表現が社会的評価を低下させると立証するだけで十分です。脅迫の有無によって名誉毀損の成立が左右されないので、そもそも原告がそうしたことを立証しようとしないのではないでしょうか。

>  高木健一からの同様の告訴では、西岡氏が最高裁で勝訴していますからね。
>  植村に勝ち目はないでしょう。
>
>  弁護側もわかっていての脅迫訴訟でしょうね。
 高木健一弁護士が西岡教授の「よくわかる慰安婦問題」などで書かれた論評に対して起こした訴訟で、東京地裁が「記述の前提事実の重要な部分が真実であるか、または 真実と信じたことに相当な理由がある。公益を図る目的で執筆されており、論評の域を逸脱するものではない」として原告の敗訴を言い渡した件ですね。
 今回の裁判でも「論評の域を逸脱するものではない」と判断されることを願っています。

 よもぎねこさんは裁判の勝敗について強いこだわりを持っているようですが、私はそれより今裁判で新事実が示されるかに興味があります。そこが、よもぎねこさんと私の違いでしょうね。

M8ボルト | URL | 2015-01-23(Fri)00:21 [編集]


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