六丈記2

備忘録のようなもの

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盲導犬オスカー刺傷事件前編

 8月下旬、盲導犬が刺されるというニュースがTVや新聞で流された。このニュースで全国が憤慨したが、どうも様子がおかしい。

◆当時の報道
 初めの頃、この事件について、新聞などはこう報じていた。
*** 朝日新聞 2014年8月28日 ***
http://www.asahi.com/articles/ASG8X5CXBG8XUTNB00P.html
【盲導犬刺されけが 意図的な虐待か 我慢してほえず?】
 さいたま市の全盲の男性(61)が飼う盲導犬が7月下旬、鋭利なもので刺されたとみられるけがをしていた。日々の暮らしの中で、むやみにほえないよう訓練されており、その場で鳴くのは我慢したようだという。埼玉県警は、何者かが意図的に虐待したとみて調べている。
 武南署などによると、男性は7月28日午前11時ごろ、オスのラブラドルレトリバー「オスカー」(8歳)を伴い、通勤のために自宅を出た。最寄りのJR浦和駅から電車に乗り、同県川口市の東川口駅で下車。職場に着くと、同僚がオスカーの出血に気づいた。公共の場で抜け毛を散らさないよう着せていたシャツをめくると、右腰の辺りに、フォークなど先のとがったもので刺されたような、深さ約1~2センチの傷が3、4カ所あった。シャツは破れておらず、犯人がシャツをめくって刺したか、シャツがその時だけめくれていたのかは不明という。
 治療した獣医師は「日常生活では起こり得ず、よほどの力が加わらないとできない傷だ」と話す。
 職場近くのコンビニ店の防犯カメラに、男性と血を流して歩くオスカーが映っていたといい、署は駅のエスカレーターや電車内などオスカーが止まっている場所で、背後から刺された可能性があるとみて、器物損壊容疑で捜査している。
~略~
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*** 読売新聞 2014年8月29日 ***
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=104135
【ほえない盲導犬を刺す…「絶対に許せない」】
~略~
 盲導犬は、パートナーに危険を伝える際などを除き、ほえないように訓練されており、事件当時もほえるのを我慢したとみられる。男性は武南署に被害届を出し、同署が器物損壊容疑で捜査している。
 同署や男性の関係者などによると、男性は7月28日午前11時頃、川口市内の職場に向かうため、盲導犬のラブラドルレトリバーの「オスカー」(雄8歳)と一緒に自宅を出て、JR浦和駅から電車に乗り東川口駅で下車した。
 午後0時10分頃に職場に着いた時に、同僚がオスカーの腰付近から血が出ていることに気付いたという。
 オスカーの腰の辺りには、約5ミリ間隔で深さ1~2センチの傷が3、4か所あった。先端が鋭くとがったもので刺されたような傷だが、着ていた犬用の服に穴はなく、服をめくり上げられて刺されたとみられる。どこで刺されたかは特定されておらず、同署が防犯カメラ映像の解析や聞き込みなどを進めている。
~略~
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*** 共同通信 2014年8月28日 ***
【盲導犬の刺傷、凶器はフォークか 埼玉の事件、警察も捜査】
http://www.47news.jp/CN/201408/CN2014082801001080.html
 埼玉県で7月、全盲の男性(61)が連れていた盲導犬ラブラドルレトリバー「オスカー」(雄9歳)が何者かに刺されけがをした事件で、傷の形状は丸く、直径約5ミリで等間隔に四つ並んでいたことが28日、男性の関係者への取材で分かった。
 関係者は「フォークのようなとがったもので刺された痕」と証言。県警も器物損壊容疑で凶器の特定を進めている。
 男性の知人によると、傷はオスカーの腰付近にあり、間隔は約5ミリ。横向きで1列に並び、傷の深さは最大約1センチに達していた。事件は7月28日に発生。男性はオスカーを連れてさいたま市の自宅を出発、JRに乗り東川口駅で下車した。
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*** NEWSポストセブン2014年9月4日 ***
【刺された盲導犬オスカー 足の神経に麻痺が残る可能性あった】
http://www.news-postseven.com/archives/20140904_274668.html
 事件が起きたのは、7月28日のことだった。さいたま市在住の全盲の男性Aさん(61才)は午前11時、通勤のために盲導犬・オスカー(ラブラドールレトリバー・雄8才)とともに家を出た。いつも通り、最寄りの浦和駅から電車に乗り、職場のある東川口駅で下車。そのまま歩いて職場に到着するや、同僚が悲鳴をあげた。
~略~
「シャツをめくって触ってみると、ヌルっとしたんです…。あぁ、これは血だって…。気が動転しました」(Aさん)
 すぐに警察に通報し、オスカーを病院に連れて行ったAさん。患部には直径5mmの大きさの穴が4つ、等間隔に並んでおり、深さ2cmに達した傷もあった。
「シャツに穴はなかったので、偶然できたものではありません。犯人は、わざわざシャツをめくって刺しているんです。アイスピックかフォークのようなものを使用したんでしょうか…。まだ断定はできませんが、駅のエスカレーターか、電車の中で刺されたのではないかと思うんです」(Aさん)
 この時、オスカーを診察した『なぎの木どうぶつ病院』(埼玉県越谷市)の内田正紀院長はこう語る。
「犬の皮膚は丈夫で、われわれ獣医も治療で針を刺すことはありますが、狙いを定めて力を入れないと刺さらないんです。この傷痕を見る限り、悪意を持って相当な力で刺したものと思われます。足の神経に麻痺が残る可能性さえありました。オスカーはずっと痛みを我慢したんでしょう…」
 盲導犬は、無駄吠えをしないように訓練されており、オスカーは刺されながらも、ジッと耐えたのだという。
「少しでも鳴き声があれば気づいたのですが、この子はそんな素振りも一切見せず、普段と同じように、私の側で歩いてくれたので、まったく気づかなかったんです。しかも、オスカーは前向きで優しい子なので、そんなことがあってからも、人間を嫌いになることもなく、変わらず元気でいてくれる。
~略~
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*** ぼうはん日本 2014年09月 ***
【盲導犬 フォークで刺す?】
http://www.bouhan-nippon.jp/topics/items/t2014413.html
埼玉県さいたま市の全盲の男性(61)が連れていた盲導犬のラブラドルレトリバー「オスカー」(雄8歳)が何者かに刺されてけがをした事件で、オスカーを治療した病院の院長が29日、読売新聞の取材に応じ、「傷は一直線に並んでおり、フォークのようなもので刺された傷ではないか」と話した。
オスカーを治療したのは越谷市の「なぎの木どうぶつ病院」の内田正紀院長(34)。傷は直径約5ミリで、等間隔に3、4個並んでいた。傷の形状からフォークのようなもので後ろから前に向かって刺したとみられる。抗生剤と痛み止めの薬を出し、傷口を生理食塩水で洗浄した。
内田院長は「痛々しい傷を見て、誰かに傷つけられたと分かった。9年間獣医師をしていて危害を加えられた盲導犬を治療するのは初めてだった」と語った。
埼玉県警武南署などによると、男性は7月28日午前11時頃、オスカーと一緒に自宅を出発し、JR浦和駅から電車に乗って東川口駅で下車。職場で同僚がけがに気付き、男性と同僚らが東川口駅前交番に被害届を出したという。
同署の調べでは、東川口駅近くのコンビニ店に寄った際、オスカーの腰付近に血がにじんでいるのが防犯カメラに映っていたという。同署は、オスカーがさいたま市の自宅から川口市のこのコンビニ店までの間で刺されたとみている。
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◆盲導犬は鳴かない?
 これらのニュースから、盲導犬は刺されても鳴かないものなのかと思っていたが、それは間違っていたようだ。
*** 朝日新聞 2014年9月13日 ***
【盲導犬オスカーけがで風評 何されても吠えないは誤り】
 さいたま市の全盲男性(61)の盲導犬 「オスカー」がけがをした事件から、1カ月余り。刺されたような傷が見つかる前に鳴き声が聞こえなかったため、思わぬ風評が広がった。関係者も困惑する。
 〈「何をされてもほえないように訓練されている」という誤った記述が多く見かけられますが、こういった訓練は一切行っていません〉八つの盲導犬団体などからなるNPO法人「全国盲 導犬施設連合会」は今月初旬、こんな声明を出した。事件後、「痛くてもほえない訓練をしているなんて、かわいそう」などと、動物虐待を思わせるような意見が寄せられたためだ。
 連合会に加盟する日本盲導犬協会の理事、吉川明さん(62)は「無駄にほえないよう訓練はする。しかし痛みを我慢させるような訓練は一切していない」。オスカーを 育てたアイメイト協会職員の塩屋未来さん(35)は、鳴かなかった理由について「とっさのことで驚いて声も出なかったのかもしれない」と推測する。協会には応援や激励の声も届いており、事件を機に「盲導犬や視覚障害者への支援や理解の輪が、社会に広がれば」と期待する。約40年間盲導犬育成に携わってきた同協会訓練学校担当理事の多和田悟(たわださとる)さん(61)も「盲導犬の実態をより多くの人にわかって頂きたい。そのためにもどんな訓練をしているか、一度近くの盲導犬施設を見にきてほしい」と訴える。一方、事件が報じられた8月下旬から、埼玉県警武南署には連日のように「早く捕まえて」という電話がかかり続け、9月上旬で100件を超えた。京都府の親子からは「盲導犬の治療費にあてて」と、現金書留で2万円が届いた。三重県の男性からも数千円分の商品券カードが。今後、署がオスカーのパートナーの男性に渡す予定だ。男性はオスカーの傷は順調に回復している。盲導犬への理解を深めてもらうための活動に寄付したい」と話している。「犯人逮捕のための懸賞金として使ってほしい」川口市で造園会社を営む金子和平さん(67)は4日、署を訪れ、犬好きの従業員4人と工面した、現金100万円を持参した。
 「意向を尊重できるよう、過去の例などをお教えしたい」としている。
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 盲導犬は何されても吠えないとの風評が起きたのはマスコミがそう伝えたからだ。朝日新聞は「思わぬ風評が広がった。関係者も困惑する。」と、まるで他人事のように書いているが、その一端は朝日新聞にもある。8月28日の記事で「日々の暮らしの中で、むやみにほえないよう訓練されており、その場で鳴くのは我慢したようだという。」と、「誰」が鳴くのを我慢したと推測したのかを明確にしなかったから、盲導犬の専門家の話かと誤解を生む余地を残した。盲導犬が危害を加えられても吠えないのかどうか裏取りすべきだったが、そこまで気が回らなかったとしても、せめて誰の発言かをハッキリそう書くべきではなかったか。

◆同じ埼玉県で全盲の女子高校生が負傷
 この盲導犬の事件の報道から間も無くして、今度は川越駅で全盲の女子高校生が蹴られて負傷するという事件が発生した。
*** 埼玉新聞 2014年9月9日 ***
http://www.saitama-np.co.jp/news/2014/09/10/01.html
【川越で全盲の女子生徒蹴られる つえにつまづいた腹いせか】
~略~
 同校と女子生徒によると、8日午前7時50分ごろ、川越市脇田本町、JR川越駅構内のコンコースで、点字ブロック上を歩いていた女子生徒の白いつえに前方から来た人がつまずいて転倒した。その直後、何者かが後ろから女子生徒の右足を1回蹴り、立ち去った。女子生徒は一瞬よろけたが、そのまま同駅西口のスクールバスのバス停に向かい、登校した。
 相手は無言だったため、性別は分からず、暴行を受けた際、女子生徒は「あんた。何をやっているんだ」との近くで目撃した男性の怒声を聞いていた。女子生徒は登校した後に病院で診察を受けたが、膝の裏を蹴られたため、立ったり座るなどの屈伸をすると痛みを覚えるという。
 女子生徒は今年4月から、鍼灸(しんきゅう)を専門に勉強する同校高等部専攻科に在籍。自宅から1人で電車通学をしている。女子生徒と保護者は近く、川越署に被害届を提出する予定。
 9日、取材に応じた女子生徒は「以前からつえにつまずく人はいたが、暴行を受けたのは初めて。蹴られた時は何が起きたか分からず、怖かった。私を蹴った人には前を向いて歩いてほしいと思う。今後は、自分と同じ立場の後輩たちが同じ目に遭わないかどうかが心配です」と話した。
 荒井宏昌校長は「無防備な女子生徒への暴行は許し難い。言いたいことがあるのなら、口で話してほしい。盲導犬が虐待された事件があったばかりだが、社会の中で障害者への配慮が欠けているように思う。障害者を見守り、助けてあげてほしい」と訴えている。
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 この川越駅での事件は盲導犬事件を引き合いに出して報じられ、TV番組のコメンテーターなどは「社会的弱者に対する卑劣な行為」と断罪し、これが日本の現状だと嘆いてみせた。どの大手マスコミもこんな感じの論調で伝えていたのだが、容疑者が捕まると押し黙ってしまった。
*** 朝日新聞 2014年9月12日 ***
【全盲生徒の負傷、容疑者を特定 知的障害あり認否不明確】
http://www.asahi.com/articles/ASG9D66N2G9DUTNB025.html
 JR川越駅(埼玉県川越市)前のコンコースで、登校中の全盲の女子生徒が足を蹴られて負傷した事件で、埼玉県警は12日、同県狭山市内の障害者支援施設に入所する男性(44)を容疑者と特定し、任意で捜査していると発表した。男性には知的障害があり、認否について明確な供述が得られていないという。県警は、男性の刑事責任能力の有無も含め、慎重に調べる方針だ。
~略~
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 モラルの欠如した人物の犯行という思い込みは見事にハズレ、容疑者が知的障害者だったことから事実のみを簡単に伝えるだけに終止した。許されない行為と散々言っていたことについて、何らかのコメントがあって然るべきと思うのだが、黙ったままだった。精神病や知的障害者が加害者の事件は大手マスコミにとってタブーであるから、なるべく触れたくないのだろう。
 こういうこともあり、盲導犬刺傷事件の扱いは急速に萎んだ。
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