六丈記2

備忘録のようなもの

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青山繁晴氏がエボラ出血熱を語る 後編

 青山氏は10月15日の水曜アンカーでこの様なことを話していました。
●安倍総理を始めとする日本政府の関係者にエボラ対策の改善を働きかけている。
●厚生労働省のホームページの訂正を要請している。
●アメリカ疾病対策センター(CDC)は、安全保障上の問題としてアメリカ国内のエボラ出血熱患者の治療を直接管理しているが、失敗して2次感染患者を出し、批判されている。
●CDCは、WHOは感染者を4割ほどしかカウントしておらず、「来年1月20日までに感染者は世界で最大140万人に達する」と見込んでいる。
●WHOの事務局長は中国人のマーガレット・チャンで、中国共産党の意向に従って感染者を少なく発表している疑いがある。流行が懸念されると、特に衛生体制が不十分な中国では経済に大きな悪影響をおよぼすため、流行を軽く見せかけようとしてるのではないか。
●世界のインテリジェンスは、エボラウィルスが圧倒的な速度で変異している恐れを懸念し、空気感染するようになるのではないかと恐れている。
●「青山氏の提言に従い、関係者を首相官邸に緊急召集した」と言っている政権中枢にいる人物に5つのエボラ対策を提言した。
●自衛隊に感染症の専門家はおらず、今は国立感染症研究所系の独立行政法人の専門医が一人だけ現地に派遣されているのが現状。
●政権中枢は水際対策を強化したと強調しているが、潜伏期間が長くなっているので、効果は薄い。
●症状があれば、自己診断せずに医師と相談し、自ら危機管理するのが肝要。

 この様に青山氏は、様々なことに言及していましたが、エボラウィルスについてはどの様な認識を持っているのでしょうか。具体的に取り上げてみます。(動画は前エントリー「青山繁晴氏がエボラ出血熱を語る 前編」に掲載)

◆10月15日動画24:05~26:33の会話
青山繁晴
「サバンナでライオン見たりするだけですから、現地で感染するリスクは、非常に低いっていうのは、役人言葉で言うと、ないって言ってるに等しいわけですよ。ね。で、下のところは何言ってるかというと、で、もともとうつる可能性が少ない上に、もともと病院内で感染してるだけの病気なんだから、日本国内の病院は、すごくきっちりしてるし、生活環境も清潔だから、何があっても日本国内で、このエボラが流行する可能性ってのは、現時点ではって言い訳ついてるけけど、ほとんどありませんと。だから、心配しなくていいよっていうことをこう、言ってるだけなんですけれども、これが違うんですよ。これは、あの、先週の、実は『アンカー』でも、実は言ってるんですけどね。僕のこう、唾のことなんかも言ったんですよね。で、もう一度ちらっと言いますと、僕はこれ話しながら、こうたとえば、村西キャスターや、この両キャスター(岡安譲・堀田篤)に、唾が飛んでると誰も思わないけど、本当はこの空間は細かいチリがいっぱい、浮かんでるんで、人間の目に見えないだけです。僕、目いいですけど僕でも見えません。で、そのチリの上に細かい唾の飛沫が乗っかりますから、このスタジオにいる人は、この、画面に出てこないカメラマンや、その、たとえば時間を計ってくれてる人、みんなに、僕の唾は実は行きわたっていきます、この放送時間内に十分。それだけじゃなくて、僕はこうやって身体を動かしながら言ってると実は、細かく汗をかく。で、そのかいた汗も同じように飛沫に乗っかっていってみんなにくっつくわけですよ。このことを考えるとですね、エボラウイルスってのは今のところ空気感染しないけれども、その唾自体に触れると、汗に触れると、十分感染する、わけですから」
岡安譲
「いわゆる飛沫の感染ということですね」
青山繁晴
「そうです。したがって、この、病院に近づかない日本人旅行者、そしてあんまりアフリカに行かないんだから、うつらないっていうことは、もうこれ、あの、かつては、かつての広がりぐらいだったら言えたけど、現在はもうこれ言っちゃいけないことなんですよ(一同同意)。それを未だにホームページで言ってて、それをもとにして日本で流行しないって言ってるから、これは全く間違いなんで、これを早く直して下さいって言ってるわけです(一同同意)。で、残念ながら論より証拠が起きてしまって、えー、僕の今申したことが、電話してる間にも起きてしまいました。それは何が起きたかというと、これです」
=ここでの青山氏の発言ポイント=
●エボラウィルスは飛沫感染する。

◆10月15日動画35:00~36:01の会話
村西利恵
「潜伏期間は大幅に伸びて、21日間の例も」
青山繁晴
「ええ、この潜伏期間を、先週の放送で、普通1週間ぐらいと申したんですね。それは現在でもそうなんですよ。1週間ぐらいの潜伏期間で、発症した、つまり症状が出てきた、熱とか嘔吐が始まった患者の方もたくさんいらっしゃるんですが、何とその、潜伏期間が、その、前後にギューッと延びてですね、一番短い人だと、確認された例だと、たった2日間しかなかった。で、長い人だと、21日間。だから、普通の1週間の潜伏期間が、3週間に延びちゃった人もいるんですよ。3週間に延びちゃうと、つまり、たとえば僕がその3週間に延びた分のウイルスが今、体内に入ってるとすると、3週間この『アンカー』に出ても、まだ誰も気がつかない、本人も気がついてない状態ですから」
村西利恵
「その間、まき散らし続けるということですよね」
青山繁晴
「ということなんです。だから、その恐ろしさを考えると、日本政府の今の対応で済むわけがないということなんですが、それに対して、じゃあ、政府側は何て答えたかというとこうです」
=ここでの青山氏の発言ポイント=
●エボラウィルスの潜伏期間は2日から3週間。
●潜伏期間中でも感染力を持つ。

 青山氏は10月8日の放送でこの様なことも言っていました。
●エボラ出血熱の致死率は高いが、エボラウィルスの感染力は低い。
●エボラウィルスは空気感染しない。接触しないと感染しない。
●くしゃみで飛んだ唾液の飛沫でも、傷口があると感染する。

◆感染力について
 青山氏の発言でまず気になるのは、「感染力」の意味を取り違えているのではないかということです。
 感染力とは、宿主に伝播する(侵入して感染を成立させる)能力のことです。ウイルスが体内に入っても免疫反応によって排除されますが、排除されず(若しくは排除が追いつかない)に定着したら感染したことになります。例えば、ネット上には出典不明ながら「エボラウイルスは感染力が大変強く、インフルエンザウイルスは体内に数百個~数万個のウイルスが入らないと感染しないのに対し、エボラウイルスは数個のウイルスが体内に入っただけでも感染する。」という文章が拡散しています。感染力とはこういうことを言うのです。青山氏は「体外へ拡散する能力」(伝染性)のことを「感染力」と言っているようです。

◆未発症感染者について
 青山氏は、潜伏期間中でもエボラウィルス感染者はウィルスをまき散らすとしています。
 ところが、WHOのファクトシートには「症状が発現するまでの間は、感染者は感染力をもちません。」とあります。また、厚生労働省のQ&Aには「エボラウイルスに感染し、症状が出ている患者の体液等(血液、分泌物、吐物・排泄物)や患者の体液等に汚染された物質(注射針など)に十分な防護なしに触れた際、ウイルスが傷口や粘膜から侵入することで感染します。一般的に、症状のない患者からは感染しません。空気感染もしません。」と書いてあります。
 青山氏は、WHOは信用できないと言い、厚生労働省にも不満を述べていますから、WHOや厚生労働省の見解は間違いだと判断しているのかもしれません。そう判断するには根拠が必要ですが、根拠はあるのでしょうか。

◆飛沫感染について
 主な感染経路には下図の様なものがあります。
感染経路

①空気感染(飛沫核感染、塵埃感染)
【特徴】
空気中に浮遊する0.1~4μmほどの大きさの病原体が皮膚にそのまま付いたり、呼吸によって吸い込み鼻腔や肺などの粘膜に直接付着して発病の原因となります。
【疾病の主なもの】
ノロウイルス・麻疹ウイルス・水痘帯状疱疹ウイルス・結核菌による感染性疾患
②飛沫感染
【特徴】
咳やくしゃみ、会話によって飛んだ唾やしぶき(飛沫)に含まれる病原体を吸入することで引き起こされる感染をいいます。
【疾病の主なもの】
インフルエンザ・風邪症候群・おたふく風邪・風疹など
③動物・昆虫感染
【特徴】
病原体を持つ動物に噛まれたり、引っかかれたり、体や糞に触れることで感染する狂犬病や蚊・ノミ・ダニに刺されて感染するマラリアや日本脳炎のように昆虫を媒介として感染するものがあります。
【疾病の主なもの】
マラリア・日本脳炎・フィラリア・狂犬病・疥癬等
④接触感染
【特徴】
接触感染とは、皮膚や粘膜の直接的な接触や、手、ドアノブ、手すり、便座、スイッチ、電話等の表面を介しての接触で病原体が付着することによる感染のことをいいます。
【疾病の主なもの】
ノロウイルス・ロタウイルス・腸管出血性大腸菌(O-157)・サルモネラ菌・黄色ブドウ球菌による感染性胃腸炎
⑤経口感染
【特徴】
病原体に汚染された食品を食したり、物品・手指・病原体を含む汚物等を介して主に口から体内に侵入します。
【疾病の主なもの】
サルモネラ菌・A型肝炎・食中毒菌や胃腸炎ウイルスなどによる感染性胃腸炎
※飛沫と飛沫核の違いは、病原体を含む微粒子の中で水分を多く含んだものが飛沫で、水分が蒸発して小さくなったものが飛沫核です。
飛沫核;5μm以下で、長時間浮遊。
飛 沫;5μm以上で、直ぐに落下し、飛距離1m程度。

 青山氏は、喋った時の唾液の飛沫や汗の飛沫が遠くまで漂いエボラウィルスに十分感染すると述べる一方で、空気感染しないとも言っています。飛沫は重いので直ぐ落下し、遠くまでは飛びません。遠くまで漂うなら飛沫核であり、それで感染するなら飛沫感染ではなく、空気感染です。青山氏は飛沫感染と空気感染の区別が付いていないようです。
 今のところ、エボラウィルスが空気感染しないというのは共通認識になっていますが、飛沫感染はどうでしょうか。厚生労働省のQ&Aには「エボラ出血熱は、咳やくしゃみを介してヒトからヒトに感染するインフルエンザ等の疾患とは異なり、簡単にヒトからヒトに伝播する病気ではありません。」とあります。ただ、WHOのファクトシートには「エボラウイルスの疑いまたは確定した患者を世話する医療従事者は患者の血液と体液との接触を防ぐために、さらなる感染管理の対策をとる必要があります。1m以内でエボラウイルス感染者と接するときには、医療従事者は顔面の防御(フェイス・シールド、医療用マスクとゴーグル)、清潔かつ非滅菌性で長袖のガウン、手袋(いろいろな処置を行うための滅菌手袋)をつける必要があります。」ともあります。IBTimesは米疾病予防管理センター、KSDK.com、USAトゥデイの情報から「エボラ出血熱の兆候がある人が、ほかの人に向かって直接くしゃみや咳をした場合、感染する可能性はある。粘液や唾液が相手の目、鼻、あるいは開いた傷口に届いた場合は、感染リスクがあることになる。ただし、くしゃみや咳はエボラ出血熱の症状ではない。」と書いていますが、その通りなのでしょう。直接浴びた場合は、飛沫感染の可能性を排除できないというのが現在の世界的認識ではないでしょうか。青山氏が唱える「唾液の飛沫が物体に付着し、そこからも感染が起きる」というのは根拠のあることなのでしょうか。

◆政府のエボラ対策について
 青山氏は最低限しなければならないこととして5つの提言をしています。
1)全国の医療機関に対する緊急研修。
2)ウイルス変異による悪夢への備え。
3)自衛隊の医官を派遣することの検討。
4)アフリカへの渡航禁止や延期などを徹底する。
5)感染者の隔離場所の確保。
 これらのことは大事なことでしょう。しかし、エボラウィルスを扱えるバイオセーフティーレベル4(BSL-4)の施設についての言及はありませんでした。
 日本には、国立感染症研究所村山庁舎(東京都武蔵村山市)と理化学研究所バイオリソースセンター(茨城県つくば市)にBSL-4の設備がありますが、地元住民の反対などから、BSL-4での運用は許可されていません。
 厚生労働省は現状でも「感染疑い段階の検体は感染研で取り扱うことができ、簡易診断までは行うことができる」としています。しかしながら、BSL-4施設でなければウィルスを抽出・分離したり、培養したりすることは許可されていないため、確定診断が出来ません。それにウィルスの培養が出来れば、ウィルスがどこから来たのかを調べることが出来、患者に投与しなくても薬の効果を確認することも可能です。こういうことを考えれば、政府が早急しなければならないのは、まずBSL-4の指定でしょう。
 また、青山氏は「エボラの脅威に対しても、ご自分でたとえば発熱があったり嘔吐になったりした時に、特にこれからインフルエンザの季節になって、先週申したとおりインフルエンザは必ず流行しますから、その時に、今までのインフルエンザと同じと自分で決めつけないで、医師の目を見て、ま、医師ともよく協議して、医師のエボラウイルスの知識も確認しながら、自ら取り組んでいく。そうするとこれを機会にして、逆に危機管理が自分のものになっていきます」と述べています。つまり、症状があれば、病院でよく相談しなさいということでしょう。
 もし、エボラウィルスに感染していて症状が出ているのであれば、病院に行く事は賢明な行動とは思えません。多くの病院の待合室は患者で過密状態にあり、そんな所にエボラ患者が行けば感染拡大のリスクを高めることになります。だから政府が取る対策としては、疑わしい場合は電話相談を通して対応をするようなシステムを構築し、疑わしき者を安易に移動させないようにすることが重要であると思います。


 青山氏の話しは面白いですが、今ひとつ信用できません。コメンテーターとは、そういうものだと言われてしまえばそれまでですが、「危機管理の専門家って何なんなの」と思わざる得ません。

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感染症疫学事始
http://plaza.umin.ac.jp/infepi/InfEpi.htm
感染経路別病原体
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/hp-lab/rinkenhome/subfile/DCMI/kannsennkeiro_pdf.pdf
感染経路の種類
http://cleanhand.jp/basis/kind
エボラウイルスについて (ファクトシート)
http://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2014/10091357.html
エボラ出血熱に関するQ&A
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ebola_qa.html
エボラ出血熱に感染しないための心得
http://jp.ibtimes.com/articles/62121/20141018/868947/page1.htm
エボラ出血熱:国内検査に懸念…危険ウイルス扱えず
http://mainichi.jp/select/news/20141016k0000m040139000c.html
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