六丈記2

備忘録のようなもの

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朝日新聞の慰安婦報道検証特集について考える【3】

◆吉田証言を故意に放置した
 朝日新聞が吉田証言を放置している間に、吉田証言はアメリカ議会でも取り上げられました。アメリカ合衆国下院121号決議(従軍慰安婦問題の対日謝罪要求決議)案のための下院議会調査局報告書には、「日本軍による女性の強制徴用」の有力根拠として「吉田証言」が明記され(改訂版の報告書では削除)、審議過程で判断材料として扱われました。2007年にアメリカ合衆国下院121号決議が可決されると、日本の主要新聞は次のような社説やコラムを掲載します。
 日経新聞は、決議を「過剰反応は無用だが、日米関係への悪影響に目をつぶれない」とし、日本政府が安倍首相も含めて公式に謝罪してきたと強調。「米側での対日イメージの低下や日本国内での反米感情の高まりにつながりかねない動きは、双方にとって有害である」と日米関係の観点から批判していました。
 読売新聞は、「明らかな事実誤認に基づく決議である。決議に法的拘束力はないが、そのまま見過ごすことは出来ない」「事実誤認には、はっきりと反論しなければならない。誤った『歴史』が独り歩きを始めれば、日米関係の将来に禍根を残しかねない」と事実誤認であることを強調しました。
 産経新聞は、「この団体は中国政府と密接なきずなを持ち、歴史問題で日本を非難している。事実誤認を正すための官民の一層の努力が必要である」とし、「米議会はなぜかくも愚かな選択をしたのだろう」「厚顔ぶりにあきれてしまう」などと批判しました。
 毎日新聞は、「米国が主張する原爆投下正当化論への批判は日本に根強い。対テロ戦争やイラク戦争での人権侵害には国際法違反の指摘もある。『正しい歴史』を振りかざすだけでなく、みずからの過ちを振り返る謙虚さを米国には求めたい」と米国の姿勢に苦言を呈しました。
 朝日新聞は、「日本の側にも原因がある」とし、「決議は首相に謝罪を求めている。首相の沈黙は逆効果になるだけだ。河野談話の継承を疑われているのならば、同じような内容を安倍首相の談話として内外に表明してはどうか。それがいま取りうる最善の道だろう」と決議に追従しました。朝日新聞だけは安倍首相が談話を表明して謝罪するよう要求したのです。
 朝日新聞は、97年の時点で吉田証言に信憑性が無いと分かりながら、日本政府を攻撃する材料に慰安婦問題を使うため、故意に放置していたと判断するしかないでしょう。


◆記事の取り消しと謝罪
 朝日新聞は吉田証言を取り上げた記事を取り消しました。しかし、虚偽報道をしても謝罪は必要ないと考えているようです。
 政治評論家の加藤清隆氏が16本に及ぶ記事を全部取り消しますというならば、はっきり一面で謝罪した方が良いよと助言すると、木村伊量朝日新聞社長は「歴史的事実を変えることはできない。従って謝るようなものではない」と述べて謝罪を拒否したとのことです。
 「歴史的事実」とは、何を意味するのでしょう。慰安婦狩りは事実と言いたいのでしょうか、それとも誤報をしたということでしょうか。吉田証言を否定しながら、慰安婦狩りは事実とするなら、93年以降は強制連行という言葉をなるべく使わないようにしたと言っていることとの矛盾します。
 もし、歴史的事実が誤報を繰り返した歴史を意味するなら、誤報は単なる間違いで捏造ではないのだから、謝罪は必要ないということなのかもしれません。ただ、大きな誤報で、朝日新聞は謝罪したことがあります。例えば、教科書誤報事件がそうです。教科書誤報事件は、1982年に大手マスコミ各社が、教科書検定で「華北へ侵略」を「華北に進出」に変えさせられたと一斉に報じ、外交問題になった後、書き換えの事実は無かったと判明した事件です。朝日新聞は中川昇三社会部長名の「読者と朝日新聞」という囲み記事で、続報で修正報道したと言い訳し、文部省の検定姿勢に問題があるとしながらも、「侵略」から「進出」の書き換えは無かったことを認め、「一部にせよ、誤りをおかしたことについては、読者におわびしなければなりません」と一応謝罪しています。
 吉田証言の記事を全部取り消したということは、少なくとも誤報を認めたことになります。過去に誤報で謝罪したことがあるのに、今回は誤報でも謝罪しないのは、何故でしょう。慰安婦問題は教科書誤報事件より遥かに大きな問題になっているのに。国際的な大問題に発展したから謝罪しないのでしょうか。
 朝日新聞は過去の過ちは認めて過去を清算しろと言っていただけに、間違いを認めても謝罪しないことで、尚更批判が強まったような気がします。特集で批判をかわすつもりだったのかもしれませんが、逆効果になったのではないでしょうか。


◆女子挺身隊と慰安婦の混同について
 朝日新聞は、「挺身隊」と「慰安婦」を混同したと認めました。その例として、91年12月10日の「第2次大戦の直前から『女子挺身隊』などの名で前線に動員され、慰安所で日本軍人相手に売春させられた」と92年1月11日の「太平洋戦争に入ると、主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した。その人数は8万とも20万ともいわれる」を挙げています。だけど、これを読んで混同したとは受け止めがたいのです。混同したとと言われてもシックリ来ないのです。

 それで、2つの記事を探しました。91年12月10日の記事はは見つかりませんでしたが、92年1月11日の方は見つかりました。92年1月11日の方は用語解説として下記の通り掲載されていました。
*** 92年1月11日の用語解説 ***
多くは朝鮮人女性
従軍慰安婦
1930年代、中国で日本軍兵士による強姦事件が多発したため、反日感情を抑えるのと性病を防ぐために慰安所を設けた。元軍人や軍医などの証言によると、開設当初から約8割が朝鮮人女性だったといわれる。太平洋戦争に入ると、主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した。その人数は8万とも20万ともいわれる。
************************************

 女子挺身隊と慰安婦が異なるということは、戦後生まれで戦時中に詳しくなくとも学校教育やドラマなどを通して自然に理解するものでしょう。今までTVや本、映画など、戦争を扱ったものを多く見てきましたが、女子挺身隊が慰安婦をしていたというものを見た記憶はありません。戦後からかなり経った世代でもこの様な感じなのですから、高齢になるほど女子挺身隊と慰安婦を同一視することはないでしょう。それに、戦争を忘れるなといつも声高に言っていた朝日新聞の社員なら尚更同一視したとは思えません。
 これを踏まえて、上記の用語解説を読み直すと、これを書いた記者は「本土(日本)では、女子挺身隊は工場等で勤労奉仕させられていたが、実は、朝鮮では、徴収された女子挺身隊は工場に行かされずに慰安所に連れて行かれたのだ。日本では知られていなかったが、朝鮮ではそういう実態があった。」と考えていたのではないでしょうか。
 この用語解説が間違っていたとするなら、「朝鮮でも女子挺身隊が慰安婦にされることは無かった」と明確に書くべきでしょう。朝日新聞は、明確に否定することを避けたいために「混同」という言葉を使い、誤魔化したのではないかと感じます。

 朝日新聞は間違った原因を、参考にした文献(朝鮮を知る事典)が間違っていたからだと言っています。また、「朝鮮を知る事典」は「従軍慰安婦」という著書を参考にしたそうです。つまり、朝日新聞は根本になった「従軍慰安婦」も間違っていたと判断したのでしょう。だったら、「従軍慰安婦」が何故間違いなのか示してしかるべきではないでしょうか。朝鮮半島の挺身隊の研究は進んでいなかったとするだけで済ませるべきではないと思います。

 それはそうと、「従軍慰安婦」→「朝鮮を知る事典」→「用語解説」の順に引用されたようです。そこで、それぞれを比較してみます。
●「従軍慰安婦」
“挺身隊”という名のもとに彼女らは集められたのである(中略)総計二十万人(韓国側の推計)が集められたうち“慰安婦”にされたのは“五万人ないし七万人”とされている
●「朝鮮を知る事典」
43年からは〈女子挺身隊〉の名の下に、約20万の朝鮮人女性が労務動員され、そのうち若くて未婚の5万~7万人が慰安婦にされた
●「用語解説」
主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した。その人数は8万とも20万ともいわれる

 「従軍慰安婦」と「朝鮮を知る事典」は、挺身隊の数が約20万で、その内の慰安婦数は5万~7万人としています。ところが、「用語解説」では、(文全体から判断して)挺身隊全員が慰安婦にされたとし、慰安婦数は8万または20万としています。
 朝日新聞は「朝鮮を知る事典」を参考にしたと言うけれど、内容が大きく変わっています。挺身隊の一部が慰安婦になったとされていたものが全員となり、最大慰安婦数は7万人だったものが20万人となっています。それに「8万」という数字は何処から出てきたのでしょうか。これでは、参考にした文献が間違っていたからとは到底言えないでしょう。
 それにもう一つ。「朝鮮を知る事典」は女子挺身隊を労務動員と書き、慰安婦に廻されたのは一部だとして、女子挺身隊と慰安婦を特に混同しているとは思えません。これを参考にしたというなら、混同したとは尚の事いえないと思います。


・・・続く。

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慰安婦決議で新聞「猛反発」 朝日社説だけが「孤立」
http://www.j-cast.com/2007/08/01009899.html
慰安婦の虚偽報道めぐり朝日社長が謝罪を拒否「歴史的事実を変えることはできない」
http://news.livedoor.com/article/detail/9134890/
教科書誤報事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%99%E7%A7%91%E6%9B%B8%E8%AA%A4%E5%A0%B1%E4%BA%8B%E4%BB%B6
女子挺身隊
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%B3%E5%AD%90%E6%8C%BA%E8%BA%AB%E9%9A%8A
「挺身隊の名で連行」も誤り 朝日、慰安婦報道検証
http://gohoo.org/alerts/140806/
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