六丈記2

備忘録のようなもの

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【イザ!の遺産】漆間官房副長官のオフレコ発言の裏側

 産経グループが運営していたニュースサイト「イザ!」のリニューアルに伴い、昨年末にブログが凍結され、3月末には残っているデータも削除されます。よって、引っ越しされてデータを移動された方も多数いらっしゃいますが、放置されているブログはイザ!と共に無くなりそうです。そうしたブログの中には、興味深い内容のものもあり、綺麗サッパリ消えてなくなるのは残念なのですが、致しかたありません。ですが、どうしても残しておきたい内容もありますので、ここに一部を転載させていただきます。

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ブログ名=北京東京趣聞博客(ぺきん・とうきょうこねたぶろぐ)
エントリタイトル=雑談:オフ懇と匿名取材
日付=2009/03/16 02:04
URL=http://fukushimak.iza.ne.jp/blog/entry/951200/#cmt
~~~ 略 ~~~
■閑話休題。例のオフレコの高官発言が、オフレコにも関わらず、早々に漆間巌官房副長官の発言であることが暴露され、高官のオフレコ発言の取扱いについて、番記者の間ですくなからず波紋が広がった。実は私は漆間番。ただ問題の発言があった5日のオフレコ懇談は、イチロー番(小沢番)に引っ張り出されていたので出席していない。だから、私自身、この問題でとやかくいう権利はないかもと思いつつ、それでもいろいろ背景を知ると、ちょっと漆間さんを擁護したい気持ちがむくむくおきたので、覚え書きついでに雑談エントリー。
■月~木に夕方に官邸内で行われる漆間副長官のオフ懇は、俗にいう「筋懇」といわれるもので、何々筋によると、というふうに匿名で引用してOKという暗黙の了解のもとで話される。このクオートの仕方は、官房長官、官房副長官→政府高官、秘書官→首相周辺などとパターンがほぼ決まっており、政府高官によると、といえば官房長官か3人の副長官のうちの誰か、ということになり、政府のナカの人や議員ら関係者は、誰の発言かほぼ確定できる仕組みになっている。最近はめったに使わないが、官房長官→政府首脳というパターンもある。これって、一人しかいないから、ぜんぜん匿名ではないが。
■どちらにしろ、オフ懇といえど、オフにあらず、というのが私の率直な感想。だって、何時にどこそこで懇談会します、って掲示板に張り出すオフ懇なんて、オフになりようがない。だったら、オフ懇なんていわずに、きっちり記録とった発言にすればいい。そもそも、高位の公職にある人間が各社そろった場で発言してオフもくそもないだろう、というのが私の本音。だが、官邸の伝統からいうと、そうもいかないらしい。
■私は、オフレコというのは、書かないことが前提だとずっと思っていた。で、政治部のオフレコは書いていい、とあとで教えてもらった。なら匿名取材と同じかと思っていたのだが、どうも匿名取材とも違うみたいだ。匿名取材とは、立場を離れて人間対人間として本音を語ってもらう、その代りに匿名にして、その発言によって発言者にかかる不利益を避ける。だから、匿名取材にはニュースソースを守るという責任が記者にかかっている。この記者ならその責任を果たしてくれる、という信頼が取材相手との間に醸成されたときでないと、匿名取材はありえない。でなくちゃ、本当の話なんて、誰も怖くていえない。また、記者の方もウソの発言で振り回される可能性がある。
■したがって、代打ち(番記者以外のかわりの記者)も出席でき、なおかつ問題発言したら、すぐ発言者がわかるかっこうで直後に報じてしまう、この「筋懇」といわれるオフレコ懇談というのは、オフでもなく匿名取材でもない。だから、核心の話などでないのが普通である。いわば雑談の延長、誰もが知っている話プラスちょっとしたサービストーク、理解を深めるバックグラウンドブリーフィングが主流だ。あるいは、お互い記録をとっていないことをよいことに、少々の放言、あるいは、とばし記事を黙認できる、双方にとってこずるい取材・リークの場かもしれない。
■オフ懇をする議員や高官の中には、オフ発言で記事に出ることを想定して発言する人もいるそうだ。その発言が問題になっても、双方に記録がないことを理由に、記者側が発言を誤解したり聞き間違ったと突っぱねることができる。記者の方も、なにげない一言や言い間違いをとらえて、牽強付会して伝えたとしても、それが誤解、誤報だと証明できる記録もないわけだ。双方にとって、そういうメリットがあるから、一見意味のないように思えるオフ懇というものが、えんえんと存続するのかもしれない。
■しかし、漆間副長官の場合、そういう政治部的なオフ懇リークをするタイプなのかな。そもそも、発言が問題になったとき政治部のオフ懇ルールというものを改めて説明されて、「完オフというものもあるんですね~。そういうルールは社会部(記者の取材を受けたとき)にはありませんでしたから」と驚いていた。ちなみに完オフ(完全オフレコ)というのは、発言の内容自体はソースを示さずに書いていいことになっている。
■漆間さんは、前警察庁長官。警察では、旧ソ連とか北朝鮮とか手ごわい相手の情報戦の最前線に長くにいた人だけに、オフであろうとオンであろうと肝心なことは人に話さないというのが、私の印象。(たんに私が付き合いが浅いからかもしれないが)いつも核心におよぶ話は「そういうインテリジェンス(諜報・防諜)にかかわる話は一切いえません」とそっけない答えだ。まあ、そういう話は家族にも言わないんだから、付き合い数カ月の記者にいうわけないか。だから、実は漆間副長官からの情報で、大きな抜かれ記事はない、という安心感がこれまでにはあった。
■それでも、私が時間の許す限りオフ懇にでるのは、いつかの本当の匿名取材ができるように、人間関係を醸成する場であると考えるからだ。雑談をしながら、人間同士だから、いつか信頼関係ができるだろう、重要な話に答えてもらえるチャンスもあるだろう、と期待する。でも、そういう本当の話を聞いた時、記者は絶対ソースを守る努力をする。たとえ誰かがあれは漆間副長官の発言だろう、と問い詰めても、記者は知らぬ存ぜぬ貫く。そういうのが、本来の匿名取材というものだろう。政治部のオフ懇というのは、だからいわゆる匿名取材ルールとも違うし、やはり独特のものである。
■さて、漆間懇談の例の発言だが、あれは本当にそんなに問題発言だったのだろうか。現場にいた記者にあとで聞くと、どうも、そうじゃない気がする。私が出席していない懇談の場の出来事なので、なんともいいがたいが。
■5日夜、共同通信がこの発言をニュースとして流したのを受けて、同僚が他社から確認のためにもらったメモをみたら、「自民党に及ぶことは絶対ない。額が違う」と漆間副長官の発言として書かれていた。
■本当にこの発言をそのまま言ったのなら、高官のオフ懇発言としては失言、だろうが、翌日に各社の漆間番からよくよく話をつきあわせてみると、「『絶対』っていってないような」「漆間さんの性格だと絶対なんていわないんじゃない?」「いや絶対という言葉は記憶にのこっている」「別の発言のところで絶対っていったのが、交じったのでは」「自民党といったのは質問のなかで」「こっちにはこないと思いますよ、とかいう言い方だったか」…と記者の方も記憶があやふや。
■共同が記事を流したから、あわてて記憶を掘り起こした、という社もあるようだ。おそらく、私が懇談会に出席しても気にもとめなかったかもしれない。で、共同の配信記事をみて、デスクかキャップにいわれて、あわてるんだろうな。
■ただその現場でも、「検察からの情報をもとにしての発言ではない」という感触は多くの社が共有していて、漆間さんの性格上、情報を持っていれば、その話題は「それは知っている知っていないふくめていえません」「インテリジェンスですから」と話題を打ち切ってしまうだろうと、私も思う。
■具体的な情報はもっていなくても、前警察庁長官としては、こういう捜査のやり方は知っている。だから、常識、あるいは一般論として、たとえば「二階さんもあぶないんじゃないですかぁ?」ときけば、「それは大丈夫なんじゃないですかぁ。違法性の認識の立証って難しいんですよ。請求書みたなものあっても難しいですよ」と答えるような、そういう雑談風のヤリトリはあったかと思う。失言といえば失言だが、それをもとに、国策捜査だとかいえる類のものではないと思うよ、私がそのオフ懇出ていないから負け惜しみいうわけではなくて。
■この高官発言のおかげで、いまや漆間巌の名前が記事にふくまれていれば、他の新聞が先に報道した記事の焼き直しであっても一面の左肩にのってしまうくらいの時の人となってしまった。週刊誌なんかをよむと、漆間さん、すごい陰謀家に見えるな。いや、そりゃロシア、北朝鮮相手に諜報戦やってきた人なんだから、見た目は人当りのよい柔和なおじいさん(首相よりは若いけど)でも実はすごい策略家なんだろう。だが漆間さんはともかく、夫人の中傷まで週刊誌に掲載されて、夫人の人柄を知る者としては気の毒でしかたがない。
■警察庁長官から官房副長官への異例の抜擢。あいつがいなければ、おれがあのポストに、なんて思う人はいくらでもいるし、結構、ねたまれるポジション? 高官問題発言がでたとき、「辞任すればいい」と言っている人が与党内にも官邸内にもいたことに、私は正直、恐れをなした。そういう背景も、漆間批判記事の扱いの大きさに関係しているかも。
■民主党サイドには、問題の漆間懇に出席した記者リストとかも流れていて、オフ懇の秘密録音があるという噂をもとに、そのICレコーダーのありかを探しているらしい?自宅の懇談での夫人の立ち場とか、オフ懇の記者リストだとか、番記者でしか知りえない情報が週刊誌や野党側に流れているとなると、番記者も心穏やかではない。番記者同士で、「私たちが上にあげたメモを週刊誌とか野党議員に売っている人が同僚や上司にいるってことだよね」「某社に一か月60万円くらいで、官邸内のオフ懇メモのすべてを民主党議員に譲渡する契約をしていた人がいたらしい」とかいう噂話もでて、いやあ、政治部って本当にいやな世界なんだね。
~~~ 略 ~~~
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 ブログ主の福島香織氏は元産経新聞記者で、現在はフリージャーナリストです。このエントリが書かれたのは、福島氏がまだ産経新聞記者で、北京支局から政治部に転属になって半年位の時期のことです。

 このエントリ(雑談:オフ懇と匿名取材)を補足するため、当時の状況を振り返ります。
 2008年11月、西松建設が海外で捻出した裏金約1億円を不正に国内に持ち込んでいたことが発覚し、外為法違反等で摘発されました。この捜査過程で、裏金の流出先が判明、事件は政界にも波及し、外為法違反事件だけではなく政治資金規正法違反事件にも発展しました。所謂、「西松建設事件」です。
 2009年3月3日には、民主党の代表だった小沢一郎の公設第1秘書の大久保隆規が逮捕され、民主党幹部らが「政権が仕組んだ陰謀」との声を上げていました。当時、民主党国会対策委員長だった山岡賢次も「(麻生)政権が選挙に勝つために仕組んだ陰謀」、「捜査は民主党と小沢代表を中傷する意図がある」と捜査批判を展開していたのでした。
 そういう状況下で、漆間官房副長官のオフレコ発言の報道がされたのです。

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献金捜査、自民に波及せずと高官 異例の言及
http://www.47news.jp/CN/200903/CN2009030501000792.html
 政府高官は5日、西松建設の巨額献金事件の捜査について「自民党議員に波及する可能性はないと思う」との認識を示した。政府高官が政治家の絡む事件で捜査の見通しに言及するのは異例。捜査の中立、公正を確保する観点から批判も予想され、波紋を広げそうだ。
 西松建設側の献金やパーティー券購入など資金提供先には、自民党の森喜朗元首相や二階俊博経済産業相、加納時男国土交通副大臣、山口俊一首相補佐官らが含まれている。高官は「あの金額で違法性の認識を出すのは難しい。請求書でもあれば傍証の1つになるが、それだけで立件はないと思う」と述べた。
2009/03/05 19:39 【共同通信】
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西松献金事件、政府筋「自民まで波及する可能性ない」
http://web.archive.org/web/20090310000708/http://www.yomiuri.co.jp/feature/20090304-527751/news/20090305-OYT1T01288.htm
 政府筋は5日、西松建設の違法献金事件について、「自民党の方にまで波及する可能性はないと思う。あの金額で違法性の認識を出すのは難しい」と述べ、自民党議員に捜査は拡大しないとの認識を示した。
 政府筋が捜査の見通しについて言及するのは異例だ。捜査の中立、公正を確保する観点から批判を浴びる可能性もある。
(2009年3月5日23時42分 読売新聞)
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西松建設事件 政府高官「自民側は立件できない」
http://www.asahi.com/special/09002/TKY200903050292.html
 政府高官は5日、西松建設の違法献金事件について、首相官邸で記者団に「自民党側は立件できないと思う。特に(違法性の)認識の問題で出来ないだろう」と述べ、自民党議員に捜査は拡大しないとの認識を示した。民主党は小沢代表の公設第1秘書の逮捕を「不公正な国家権力の行使だ」と批判しており、政府高官が捜査の見通しに言及したことは、波紋を広げる可能性もある。高官は同夜、「(議員側に)西松建設から献金を受けた認識があるという傍証がない限り(立件は)難しいという意味だった」と釈明した。
 自民党側では森元首相や二階経済産業相、山口俊一首相補佐官らが、西松建設OBが代表を務める政治団体から献金やパーティー券の購入を受けている。
2009年3月5日21時24分 朝日新聞
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自民に波及「絶対ない」、政府高官、巨額献金事件で。

政府高官は五日、西松建設の巨額献金事件について「自民党に及ぶことは絶対ない。請求書のようなものがあれば別だが、金額が違う。立件はない」と述べ、事件が自民党側に波及することはないとの見通しを明らかにした。
2009年3月6日 日本経済新聞
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 この報道で、追い詰められていた民主党が勢いづき、漆間官房副長官が参議院予算委員会で政府参考人として答弁することになります。漆間官房副長官は、「発言を記者がどのように理解したかは分からない。真意が伝わらない形で報道された。」とし、次の3点を明らかにしました。
①検察側の捜査にコメントする立場にないが、一般論として違法性の認識の立証は難しい。
②金額の多寡は、違法性の認識を立証する上で大きな要素となる。請求書は傍証の一つだが、それだけで立件できるかは疑問。
③検察は本人が否認しても起訴に持ち込める証拠を持っているだろうと申し上げた。


 読者は、記事が書かれている裏側を知ることは通常ありません。ですから、あやふやな記憶で記事が書かれていることもあるとは、思いもしないのです。
 このエントリは、通常知ることができない舞台裏を明らかにしている珍しい例なので、残しておくべきと考え、引用させていただきました。

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漆間巌
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%86%E9%96%93%E5%B7%8C#.E8.A5.BF.E6.9D.BE.E5.BB.BA.E8.A8.AD.E4.BA.8B.E4.BB.B6.E3.81.AB.E9.96.A2.E3.81.99.E3.82.8B.E7.99.BA.E8.A8.80
【漆間問題】≪資料≫漆間巌・官房副長官の発言要旨(①5日“オフレコ”懇談②9日予算委③9日記者会見)
http://www.47news.jp/47topics/e/98053.php?page=all
西松建設事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E6%9D%BE%E5%BB%BA%E8%A8%AD%E4%BA%8B%E4%BB%B6
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