六丈記2

備忘録のようなもの

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中国の防空識別圏について5

・・・中国の防空識別圏について4の続き
 
 
◆中国のレーダー監視状況について
 11月26日にB52爆撃機2機が、中国が設定した防空識別圏内を飛行した翌日、中国国防省は「中国軍は(米軍機の)全航程を監視し、直ちに識別した」と発表し、28日には「防空識別圏に進入する各国の航空機に対しては直ちに識別を行っており、関係する航空機の状況はすべて把握している」と記者会見で述べていた。
 中国のレーダー監視網がどの様になっているのか分からないし、知る由も無いが、戦略爆撃機が飛んで来ても何の対応もしていない様子をみると、中国は本当に防空識別圏内を監視出来ているのか疑問に思う。
 
△レーダー探知距離
 レーダーは発信した電波の反射波を捕らえるため、出力や感度、対象物の形状により、探知出来る距離は限られる。また、探知距離内であっても地球の丸みによって、死角が出来る。所謂、レーダー水平線である。中国の航空機に尖閣諸島で領空侵犯された時は、宮古島のレーダーの死角に入られて探知できなかった。
 
 

 

 当たり前のことであるが、レーダーの設置高さが高くなると遠くまで見通せ、対象物の高度が大きくなるほど、見通せる距離は長くなる。その関係は幾何学的に求められるが、電波は地球の表面に沿って屈折するので、レーダー水平線は幾何学的水平線より遠くになることを考慮しなければならない。それを考慮した計算式が下記の近似式である。ただ、条件により見通せる距離は変化するので、類似の計算式は幾つかあるようである。
 
D=4.12*(√ha+√ht)
D:見通し距離(km)
ha:レーダーアンテナの水面からの高さ(m)
ht:対象物の高度(m)
 
 例えば、イージス艦のレーダー水平線までの距離を求めてみる。イージス艦のレーダーパネルの搭載位置を水面上20mとするとha=20。水平線は海面の高さと同じだから、ht=0。
D=4.12*(√20+√0)
 ≒18.4
 イージス艦からレーダー水平線までの距離は18.4kmとなる。厳密にいえば、直線距離か地球の円周上の距離かで違いがあるが、その差は十分に小さいため、無視出来る。
 
△中国のレーダーサイト
 中国のレーダーサイトがどの様に配置されているか不明だが、東シナ海近くに2つのレーダーサイトらしきものがある。
●浙江省寧波市 太白山(天童太白山)
標高653.6m
北緯29.81度 東経121.78度
レーダー水平線105km
 
●浙江省温州市 北雁湯山
標高1150m
北緯28.37度 東経121.05度
レーダー水平線139km
 
 
△レーダーサイトから防空識別圏の境界までの距離
●防空識別圏境界の緯度経度
①北緯33.18度 東経121.78度
②北緯33.18度 東経125.00度
③北緯31.00度 東経128.33度
④北緯25.63度 東経125.00度
⑤北緯24.75度 東経123.00度
⑥北緯26.73度 東経120.96度
 
●レーダーサイトからの距離
A-① 197km
A-② 413km
A-③ 733km
A-④ 440km
A-⑤ 330km
A-⑥ 200km
B-① 290km
B-② 527km
B-③ 827km
B-④ 469km
B-⑤ 304km
B-⑥ 94km
●レーダーサイトの死角となる境の高度
A-① 495m
A-② 10048m
A-③ 31652m
A-④ 11405m
A-⑤ 6415m
A-⑥ 2356m
B-① 1330m
B-② 16361m
B-③ 40291m
B-④ 12958m
B-⑤ 5444m
B-⑥ 520m
 
 ジェット旅客機の巡航高度は8千~1万2千mである。軍用機の場合は任務によって大きく変わるが、同じ様なもののようである。無人偵察機のグローバルホークのように2万mを飛行する物もあるが、高高度飛行といっても普通は1万5千m位までであるらしい。
 実際のところ、中国のレーダーサイトがどれ程あるか分からないが、大陸のレーダーサイトからは防空識別圏の東端を監視するのは無理である。東経125度より東側はほとんど探知出来ていないと思われる。
 11月26日にB52爆撃機が尖閣諸島周辺の上空を飛行した後、中国国防省はB52の全航程を監視していたと言っていた。B52の実用上昇高度は5万ft(15240m)であり、アメリカは通常の訓練の一環としながらも政治的意味合いを込めたものであろうから、1万5千m程の高度を飛行していたと思われる。であるとしたら、機種の識別が出来ていたかは別にして、中国のレーダーでも探知していたのではないか。ただ、28日の「防空識別圏に進入する各国の航空機に対しては直ちに識別を行っており、関係する航空機の状況はすべて把握している」という発言には、疑義がある。中国がこの言葉の通りにこの広い空域をカバーするには、対空レーダーを搭載した艦船や警戒機を配置しなければならないが、中国はそのような体制を整えているのか。そもそも、その体制を維持する能力があるのか。たぶん、そこまでには至っていないであろう。
 
◆中国の防空識別圏に対する日本の対応
 中国が防空識別圏設定を発表してから、日本は一貫して撤回を要求してきた。それに対し、中国は撤回や範囲を変更を拒否している。中国の防空識別圏設定を非難する声は各国で上がったが、日本以外に撤回を要求した国はなかったと思う。アメリカも、中国が設定した防空識別圏を認めないとしたものの、撤回までは求めなかった。
 防空識別圏は各国が勝手に設定しているものであり、日本も設定している。日本が中国に撤回を求めるのは日本のエゴなのであろうか。
 中国は防空識別圏設定を発表した時に、設定空域を示す地図も発表している。この地図をよく見ると、尖閣諸島の周りは領空を示す線で囲われている。つまり、中国は尖閣諸島を自国の領土としているのである。下手に中国が設定した防空識別圏を認めてしまえば、尖閣諸島は中国領と認めたと中国が主張するのは分かりきっている。日本が中国に撤回を求めるのは当然であって、不当ではない。
 
 

・・・続く。
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1・3 マイクロ波の伝搬
http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2005/00135/contents/0002.htm
地図上で2点間の直線距離を測る
http://www.benricho.org/map_straightdistance/
2地点間の距離と方位角
http://keisan.casio.jp/has10/SpecExec.cgi?id=system/2006/1257670779

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