六丈記2

備忘録のようなもの

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24時間テレビ「愛は地球を救う」を考える

 世界各地でマラソン大会が開催されているが、中でも優勝賞金世界一はドバイマラソンだ。優勝すると25万ドルの賞金が支給され、世界記録を樹立すると100万ドルのボーナスが加算される。
 日本では東京マラソンが唯一の賞金レースで、優勝賞金800万円、タイムボーナスは世界記録が3000万円、日本記録が500万円、コースレコードが300万円となっている。ドバイマラソンと比べると1/3程度だが、他のマラソン大会と比較して特段に安いということでもない。世界6大マラソンの優勝賞金を並べると以下の通り。
ボストンマラソン-----→15万ドル(1480万円)
シカゴマラソン------→10万ドル(987万円)
●ニューヨークシティマラソン→13万ドル(1280万円)
●ロンドンマラソン-----→5.5万ドル(540万円)
ベルリンマラソン-----→6.4万ドル(630万円)
東京マラソン-------→800万円
 
 一昨日、東京マラソンの優勝賞金以上のギャラを稼いだランナーがいたようだ。24時間テレビ「愛は地球を救う」のチャリティマラソンを走った森三中の大島美幸さんだ。
 「FLASH」8月13日号によると、大島美幸さんのギャラは1000万円とのこと。ちなみに、メインパーソナリティの嵐は5000万円(ドラマ主演の大野智さんはプラス500万円)、チャリティパーソナリティの上戸彩さんは500万円、総合司会の羽鳥慎一さんは500万円で、総製作費は4億2000万円、CM収入合計は22億2750万円だそうだ。
 今まで、何度か24時間テレビの出演者にギャラが支払われているという話を目にしてきた。ビートたけしさんや明石家さんまさんが参加しないのはギャラが支払われることを嫌ってのこととか、萩本欽一さんは支払われたギャラ全額を寄付していたとの記事を読んだ記憶もある。24時間テレビでギャラが発生していることは公然の秘密だ。具体的な金額が明らかにされることは珍しいが、この程度のギャラが支払われているのだろう。
 
 東京マラソンはワールドマラソンメジャーズに加入していて、世界最高峰のマラソン大会の一つであり、世界のトップ選手でなければ優勝は難しい。女子の部でも、2時間30分を切らないと優勝は望めない(今年の優勝タイムは2時間25分34秒)。ロンドン五輪のマラソン日本代表の尾崎好美選手は2時間28分30秒で5位だった。
 大島美幸さんはマラソンのほぼ2倍の距離の88kmを走破したとはいえ、掛かった時間は26時間程。平均時速3.4km。6時間休んだとしても4.4km/h。走るというよりも、歩いたと表現した方が適切かもしれない。肥満で運動不足の大島美幸さんにとっては相当苦しかったかもしれないが、サポート態勢は整っているし、普通の人でもクリア可能なレベルだ。実際、100キロウォークなるイベントが各地で行われていて、多くの人が大島美幸さんより短い時間で完走している。
 準備期間を考えると、1000万円という金額は大島美幸さんにとって決して高いギャラではないかもしれない。だけども、世界トップレベルになるために長年鍛錬を積み重ねてきたマラソン選手よりも高額な報酬を得るのは、チャリティ番組だけに余計に「何だかな」という気持ちになる。
 
 「FLASH」記事では、「そのCM収入は22億円以上。だが、これが日テレの懐に入るわけではない。局自体もチャリティに参加しているため、タレントのギャラや警備費も含めた総製作費を除いて、赤字にならない範囲でほとんどを寄付に回すのだという。」ともある。CM収入から総製作費を引くと残りは18億円となるが、この額に近い金額が寄付に回されることはない筈だ。なぜなら、特別な年を除き、募金額は6~10億円程だからだ。毎年、差額分のほとんどを寄付に回しているのであれば、募金額はもっと増えていなければならない。
 「テレビの教科書」という新書には番組制作に関わる金の流れが書かれている。
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 企業が出す制作費を100とする。広告会社は営業費として20%の20を引いて放送局へ渡す。放送局も20%つまり全体の16を営業費として引いて64を制作会社へ渡す。制作会社も20%、12.8を確保するので、残りは51.2。番組作りの使える予算は、最祖に企業から出た予算の約半分である。
 放送にのせるには制作費とは別に、電波料が必要で、これはほぼ制作費と同額と言われる。これも2割を広告会社が引いた後、放送局が分配する仕組み。電波料も含めると提供企業は、番組の直接的な制作費の4倍の予算が必要。
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 上記を先のCM収入合計に当てはめてみる。
CM収入合計22億2750万円
■電波料11億1375万円
 △広告会社取り分2億2275万円
 △放送局分配分 8億9100万円
■制作費分11億1375万円
 △広告会社取り分2億2275万円
 △放送局取り分 1億7820万円
 △制作会社取り分1億4256万円
 △番組製作費  5億7024万円
 
 4億2000万円の総製作費より1.5億円高い。24時間テレビにCMを出すと、企業のイメージアップになるため、CM料金が高めに設定されているとも聞く。各社の取り分が通常より多くなっているのかもしれない。
 24時間テレビで放送局が得る粗利は10億円以上。寄付に回されるのは赤字にならない範囲ということなので、社員の給料や役員報酬などの間接費を計算して控除し、残った内の一部を寄付に回わしているということではないか。
 24時間テレビはチャリティを利用して暴利をむさぼる偽善番組と批判されがちだ。放送局が利益を犠牲にして寄付をしているなら、その額を公表したら批判もされないと思うのだが、それを今まで一切しなかったということは、実際の寄付金額はわずかな額でしかないのではないか。
 
 24時間テレビはアメリカで行われているチャリティー番組「レイバーデイ・テレソン」を基に企画されたのだという。「レイバーデイ・テレソン」は出演者にギャラを支払っていないが、それを参考にした24時間テレビはギャラを支払っている。フランスで行われている「テレソン」もノーギャラだ。だから、24時間テレビの出演者がギャラを貰っていると聞いた外国人は驚くそうだ。欧米ではチャリティと銘打って収入を得ることは犯罪になるとも聞く。
 日本では募金の中から経費を抜くことは認められている。だから、難民支援のためと称し募金を集め、わずかな金額を難民支援組織に渡し、大部分を懐に入れても違法にはならない。「善意で募金活動に協力した学生が募金箱を持ち街頭で募金を集めたら、ヤクザ風の男がやって来て募金箱を回収していった」なんて話を聞いたこともある。昔は悪徳商法まがいの募金活動も多かったらしい。今もそうかもしれない。
 24時間テレビは何に使われているか分からない募金活動を憂い、集められた募金がどの様に使われているか透明にするという目的があったらしい。だから、初期の頃は番組の中で募金がこの様に使われてますよと報告する時間が長かった。それが変質したのは何時の頃だろうか。24時間テレビのメインテーマを振り返る。

第1回 寝たきり老人にお風呂を!身障者にリフト付きバスと車椅子を!
第2回 寝たきり老人にお風呂を!身障者にリフト付きバスと車椅子を!
第3回 カンボジアベトナム・ラオスの難民のために!
第4回 アジア・アフリカの障害者のために!国際障害者年記念
第5回 ストップ!ニッポン姥捨て時代!
第6回 君の地球のボランティア!アフリカ飢餓緊急援助!世界コミュニケーション記念
第7回 この地球の未来は子どもたちのもの!
第8回 アフリカ飢餓救援
第9回 寝たきり老人にお風呂を!身障者にリフト付きバスと車椅子を!そしてアジア・アフリカの飢えた子どもたちのために!
第10回 SAVE THE CHILDREN
第11回 君は地球のボランティア お年寄りに在宅福祉を、障害者に社会参加を!
第12回 アジア・アフリカの子どもたちに海外援助を!
第13回 地球を救え!10年計画
第14回 雲仙・普賢岳災害救援!寝たきりのお年寄りにお風呂カーを!障害者に社会参加を!アジア・アフリカに海外援助を!
第15回 愛の歌声は地球を救う
第16回 出会い
第17回 チャレンジ!
第18回 もう一度、チャレンジ
第19回 ONE LOVE ~つなげよう! ひとつの愛~
第20回 勇気を出して
第21回 いま、始めよう
第22回 伝えたい・・・夢のちから!
第23回 がんばる・・・君のために!
第24回 家族って何?
第25回 家族で笑ってますか…?
第26回 あなたを一番愛する人・・・
第27回 あなたの夢はみんなの夢
第28回 生きる
第29回 絆 ~今、私たちにできること
第30回 人生が変わる瞬間(とき)
第31回 誓い~一番大切な約束~
第32回 START!~一歩を踏み出そう~
第33回 ありがとう~今、あの人に伝えたい~
第34回 力~わたしは、たいせつなひとり。~
第35回 未来 みらい
第36回 ニッポンって…?~この国のかたち~
 
 第14回までは具体的なものがほとんど。第15回から抽象的になっていて、メインテーマからは何を目的にしているのか分からなくなっている。イメージ先行で歌の題名のようでもある。
 ウィキペディアを読むと、第14回終了後、番組内容のマンネリ化による募金額と視聴率の低迷の責任を取り、番組開始以来番組に携わってきた都築忠彦氏と大野雄二氏がこの回を最後に番組から降板したとある。第15回に番組リニューアルを行い、エンターテインメント路線に変更。テーマソングの「サライ」が誕生し、チャリティーマラソンがスタートしたとも。
 番組が変質したのは第15回からだということが明確だ。番組制作の中心人物が去ったことで、番組本来の目的を喪失し、募金額と視聴率を上げることだけに目を向けるようになったということか。変質したことで、志を持った出演者も去ったように見える。
 「テレビマンは日頃、視聴率のために視聴者が見たい番組を作っているが、1日くらいテレビマンが視聴者に見せたい番組があっても良いじゃないか」。何から得た情報だったか忘れてしまったが、こんな内容が24時間テレビを始める動機だったと記憶している。記憶違いかもしれない。ただ、24時間テレビを立ち上げた人たちはこの様な心意気を持っていたのではないか。
 今の世の中、損得を無視するのは難しいかもしれない。それでも番組を完全透明化して、テレビ局やテレビ関係者が番組で利益を得ず、ただ働きしてもいいという人たちだけで番組制作すれば、どんなにショボい内容でも志ある人は協力や支援をしてくれると思う。徒労ばかりで金銭的には報われないだろうが、金に替えられない物を得るに違いない。
 
 24時間テレビは年々「偽善番組」との批判の声が強くなっている。チャリティ番組なのに、出演者にギャラが出ることに疑問が出るのは自然なことだろう。番組批判がされると「やらない善意より、やる偽善」と反論がなされる。偽善であっても24時間テレビが集める巨額な募金は福祉などに役立っているのは確かだ。だけども、それでいいのだろうか。
 24時間テレビは完全にマンネリ化している。志など無く、恒例になっているからと、惰性で番組制作をしているように見える。もう一度番組のあり方を見直すべきだと思うのだが、そこそこの視聴率が取れているから自己改革は難しいだろう。しかし、批判を受け入れて改革をしないといずれ視聴者から見放されるのではないか。ネットが発達した時代だから、そんな日が来ることは十分ありえる。一応社会に役立っている番組だから、初心に帰り志を持って立て直して欲しいのだが、変化の兆しは見えない。


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CM収入合計は22億円以上!? 出演者の高額ギャラも話題な日本テレビの『24時間テレビ
http://getnews.jp/archives/404090
24時間テレビ 「愛は地球を救う」
http://ja.wikipedia.org/wiki/24%E6%99%82%E9%96%93%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93_%E3%80%8C%E6%84%9B%E3%81%AF%E5%9C%B0%E7%90%83%E3%82%92%E6%95%91%E3%81%86%E3%80%8D
24時間テレビ 「愛は地球を救う」
http://www.ntv.co.jp/24h/contents/bokin2012.html
http://www.ntv.co.jp/24h/contents/how2013.html
http://www.ntv.co.jp/24h/contents/history.html
テレビの教科書―ビジネス構造から制作現場まで
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003734.html
レイバー・デイ・テレソン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%87%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%86%E3%83%AC%E3%82%BD%E3%83%B3
 

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