六丈記2

備忘録のようなもの

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憲法改正を考えるの巻

 安倍政権になり、憲法改正が現実味を帯びてきました。安倍政権はまず憲法第96条の発議条件を衆参各議院の3分の2以上の賛成を衆参各議院の2分の1以上の賛成にすることで、憲法改正をし易くしようとしています。
 憲法改正派の多くは「2分の1」を支持しているようですが、「5分の3」という意見もあるようです。
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第九十六条
1) この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2) 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
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 株式会社では、会社の基礎的な重要事項の意思決定は株主総会に委ねられていますが、株主の過半数(議決権保有割合の過半数)が賛成したら、いかなる決議も通るという訳ではありません。決議内容によって決議要件は異なっています。それを簡単に表したのが下記です。
▲普通決議:出席株主の2分の1以上の同意
 株式の分割の決定、取締役及び監査役の選任、取締役及び監査役の報酬、計算書類の承認など
▲特別決議:出席株主の3分の2以上の同意
 定款の目的の変更、特定の株主からの自己株式の取得、会社の合併、解散など
※特殊決議(株主に関する特殊な定款変更など)については省略します。決議内容によって、3分の2以上であったり、4分の3以上であったりします。
※普通決議や特別決議は別段の定めが無い場合、議決権の過半数の出席が必要。
  
 株式会社では持ち株数をベースにした多数決原理が採用されていますので、多数派株主が少数派株主を犠牲にして自己の利益を追求する恐れがあります。例えば、親会社が子会社の全株式を買い取って完全子会社にしようとした場合、買取価格が不当に低い価格だったら、多数派の親会社は得をしますが、少数派株主は不利益を被ります。
 ですから、合併や解散など、株主にとって重大な影響を及ぼす事項については少数派株主の利益をも十分考慮する必要があり、過半数で決めることが出来ません。少数派株主の保護のためにも、もっと多く(3分の2以上)の賛同を必要としているのです。
 しかし、裏返せば、3分の1以上の株主が反対したら特別決議を阻止出来ます。過半数を持たない少数派が拒否権を持ち、多数派は従わざる得ません。
 ちなみに、取締役会がある公開会社では、議決権の1%以上を持つ株主(共同でも可)であれば議案提案権(一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる権利)を行使することが出来ます。
 
 国家を株式会社に例えれば、有権者は議決権を持つ株主、憲法は定款ということになるでしょうか。憲法も定款も変更には3分の2以上の賛成を要します。どちらも、少数派保護という考えの上に立脚しているからでしょう。ですから、その様な考え方からすると変更に必要な数が過半数ではなく、もっと多い数を必要とするのも不当ではありません。
 憲法は国の根幹を成しているのですから、その改正は国民に重大な影響を及ぼすことになります。よって、少数派保護という考えがあってもいいと思います。
 ただ、憲法改正の発議には衆参各議院の3分の2以上の賛成が必要ですので、議題を提案するだけでこの様な高いハードルを課すのはいかがでしょう。ハードルが高すぎて国民の意思を表す事が出来ません。それに議題にすら挙げることが出来ないのですから、国民は議論が始められません。
 民主主義は多数決原理が根本にありますが、多数派による横暴を抑えるために少数派の意見をも交えて議論を尽くすことが肝要です。議論を尽くした後で多数決で決定するのです。
 議論を始めるハードルが高いことは、実質的に「議論をする」ということに門前払いを食らわしているようなものです。このことが少数派が多数派を抑えることに繋がっているように思えます。少数派の保護というより少数派の横暴という事態になっていないでしょうか。
 
 少数派の保護は大切です。しかしそれは議論の中と結論を決定する段階で考慮することだと思います。最初から議論をさせないということは避けるべきでしょう。
 国民間の活発な議論のためには、叩き台となる発議が必要です。そのためには発議のハードルを下げた方が良いに決まっています。しかし、下げすぎると国民投票を何度も繰り返すことにならないとも限りません。要はバランスが大切でしょう。
 
 現在主流の改憲議論では発議条件を過半数にするということばかりが中心になっていますが、国民投票の過半数の賛成というところは変更しないのでしょうか。
 日本国憲法は典型的な硬性憲法で改正しにくいという性格を持っています。それに、現実を見ないイデオロギー的反対によって改正出来る状態ではありませんでした。だから、現実に対応するため、解釈によって対応してきたという経緯があります。
 苦しい解釈によって対応するということは実質的に憲法を変えることであり、憲法をないがしろにする事でもあります。何時までもそんなことを続けてはいけないし、対応しきれなくなっているので、憲法を改正し易くしようというのは理解できます。誤魔化すのではなく、根本を変えようというのは尤もです。
 だけど、憲法の持つ硬性とは国民の多数が賛成しなければ変更できないということでもあります。国の根幹を変えるのですから、なるべく多くの国民が賛成することが好ましいのは言うまでもありません。憲法改正には重さがあった方が良いでしょう。だから、ある程度の変え難さが有ってもいいと思います。
 国民投票の過半数で改正だと有権者の過半数が賛成しなくとも成立可能です。例えば、賛成40%、反対30%、棄権30%だった場合、賛成が4割だけでも改正できてしまうのです。棄権をどちらでもかまわないと考えていると理解しても、国の方向性を大きく変えるかもしれないのに有権者総数の過半数の賛成がなくても良いというのは寂しい気がします。「有権者総数の過半数の賛成」とするのが好ましいとは思いますが、棄権層(無関心や判断できないという層)がある程度の割合を占めると思いますから、有権者総数の過半数というのはかなりハードルが高いでしょう。それに、棄権が過半数を超えると、無関心や判断できないという人達が「変えない」との判断を下すとになり、おかしなことになります。
 
 実際に96条が改正されるか分かりませんが、「衆参各議院の2分の1以上の賛成で発議、国民投票の5分の3以上の賛成で承認」とするのが妥当なところと思うのですが、如何でしょうか。
 

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