六丈記2

備忘録のようなもの

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「安倍支持・TPP反対」に思うこと

 ネット上に奇妙な言説が流れていました。「TPP絶対反対・安倍絶対支持」というものです。
 
 2月22日の日米首脳会談後に、「聖域なき関税撤廃、前提でないことが明確」と強調し、政府一任を取り付けて「なるべく早い時期に判断したい」と語った安倍首相の会見を見て、安倍首相も麻生副首相と同じく、TPPが日本の利益になると考えているのだなと感じました。
 安倍首相は選挙前「聖域なき関税撤廃を前提とする限り、交渉参加には反対する」と言っていました。「反対」という言葉を入れたのは党内のTPP反対派に配慮したのと、明確にTPP交渉参加を打ち出していた野田政権との違いをみせ、TPP反対票も取り込むためだったのでしょう。そして、この様な言い回しをすることによって「わずかでも条件を付ければ交渉参加は可能」という余地を残したのだと思います。
 安倍首相は元々TPP推進派で、高い支持率に自信を持ち、このタイミングなら「無条件でないから交渉参加は可能」としても押し切れると判断したのでしょう。
 ところが、「TPPは百害あって一利なし」と主張していた方の中にはそう考えない人たちも少なからずいたようです。
 
 経済評論家でTPP反対派の三橋貴明氏は安倍首相のTPP発言がマスコミにより歪められている、「3月にも参加表明」などの報道にもマスコミのミスリードだと批判していました。そして「現時点で安倍総理が下せる『判断』は、日本式の玉虫色的表現で先送り以外には有り得ないと考えているわけでございます。」と書き込み、引き伸ばしの方策であるかのように示唆していました。
 安倍首相の参加表明が現実のものになってきても、、チャンネル桜ではこの様な動画で「TPP絶対反対・安倍絶対支持」を主張していました。
【言いたい放談】TPP反対と安倍内閣支持は両立する![桜H25/3/8]
 
 話にまとまりが無く、分かり辛いですが、要旨は次のようなことでしょう。
●マスコミ、経団連、戦後保守の方たちが賛成している状況で、安倍首相は交渉くらいまではやらざる得なくなっている。
●TPPに反対を明らかにすると、アメリカからは嫌がらせをされるし、メディアは叩きまくるだろうから、参議院選挙に勝つために取りあえず安倍首相は参加表明する。
●参加表明しても国民が強力にTPP反対していれば、日本に有利な交渉材料になる。
●TPP反対の左翼が保守を装って、参加表明を理由にして「安倍はダメ」キャンペーンをやっている。自民の内部分裂を狙っている。
参議院選挙に勝利した後、戦後レジームの政策をやってもらわなければならない。参議院選挙の後にもTPP交渉は続くのだから、その時、やらないということも出来る。
●このTPP参加表明だけで、「安倍はダメだ降ろせ」「内閣打倒だ」「参議院選挙では自民党に入れない」というのは本当の意味で国家感が無い。安倍政権には永くやってもらわないとならない。安倍さんに代わる人はいない。
 
 3月15日、安倍首相がTPP参加表明。会見を見て失望した方もいる一方で、TPP反対・安倍支持派の中には、安倍首相が「国益にかなう最善の道を、追求してまいります」としか言っておらず「TPP締結を目指す」とは言ってない、隠されたメッセージがあるとして、支持続行を表明する方もいました。
 チャンネル桜では下記の題名を付けて安倍絶対支持を変わらず訴えていました。
【直言極言】改めて、安倍絶対支持とTPP絶対反対[桜H25/3/22]
 
 かなり混乱しているのでしょう。言っていることがめちゃくちゃです。
 色々と妄想が加わっていたりして、何を言いたいのか分かりづらいですが、たぶん、こういうことでしょう。「学問的にはTPPに反対することが正しいが、現実は学問通りにはいかない。政治は現実を見なければならないから、安倍首相はTPP参加という苦渋の決断をしたのだ。」。つまり、TPP容認です。
 「安倍支持・TPP容認」なら分かるのですが、何故か最後は「安倍支持・TPP反対」です。何があっても「安倍支持・TPP反対」という結論は変わらないのでしょう。
 
 TPP反対・安倍支持派の問題点は安倍首相の本音が「TPP反対」であると信じて疑っていないことです。
 安倍首相の本音がTPP反対で最終的に「TPPに参加しない」というなら、TPP反対・安倍支持というのも矛盾しないでしょう。しかし、安倍首相の本音は、正確には安倍首相本人にしか分からず、周りは言動から推測するしかありません。冷静に見て、安倍首相の言動や経緯から、本音が「TPP反対」ということを推測させるものがあったでしょうか。
 
 もし、安倍首相が参加表明したのが諸々の事情のためであり、本心が「TPP反対」なら、交渉参加国の承認を得られずに交渉不参加という形を採るのが得策です。ところが、安倍首相は交渉参加国の同意を取り付けることに熱心で、メキシコ大統領からは会談で支持を取り付けたり、アメリカには合意を得るために自動車や保険分野で大幅な譲歩をしています。自動車分野は最も恩恵があると思われているのに、それを捨てまでも交渉参加をしようとしているのです。
 4月12日の主要閣僚会議で安倍首相は以下の通り発言しています。
 「今般、我が国のTPP交渉参加に関し、日米が合意いたしました。
 今回の日米合意は、我が国の国益をしっかり守る合意であったと思います。
 TPP交渉参加は国家百年の計です。
 TPPは、日本経済やアジア太平洋地域の成長の取り込みといった経済的メリットに加え、同盟国の米国をはじめ、自由、民主主義、法の支配といった普遍的価値を共有する国々とのルール作りは、安全保障上の大きな意義があると思います。
 我が国の国益を実現するための本当の勝負はこれからです。
 最強の体制の下、一日も早くTPP交渉に参加し、TPP交渉を主導していきたいと思います。」
 
 ここに至り、安倍首相の本音が「TPP反対」と考えるのは無理です。安倍首相は「積極的なTPP推進派」と認めないわけにはいかないでしょう。
 安倍首相はTPPに安全保障上のメリットを見出し、経済上のメリットよりも安全保障上のメリットを重視しているのだと思います。たぶん、中国の軍事的脅威を封じ込めるために必要と考えているのではないでしょうか。
 安全保障が第一で、そのためなら経済的不利益をこうむってもやむを得ないと考えているのかもしれません。
 
 「安倍支持」と「TPP反対」、この2つは両立しません。どちらを優先するか決めなければならないでしょう。安倍支持を貫くならTPP容認、TPP反対を優先するなら安倍不支持とならざる得ません。安倍支持だけどTPPには反対して欲しいなどという願望は通用しないのです。
 安倍支持が高いと、自民党に大勢の反対派議員がいるといっても押さえ込まれてしまいます。参議院選挙に勝てば尚更です。あくまで反対を貫こうとするなら、自民党を離党する覚悟が必要になるでしょう。郵政民営化に反対した議員はその後冷や飯を食うことになりました。反対派議員の中にその覚悟を持つものがどれ程いるでしょうか。期待するほどはいないでしょう。野党にもTPP賛成派がいるのですから。
 参議院選挙に自民党が勝つと3年間は国政選挙が無い(総選挙が最高裁で無効になれば別ですが)わけですから、安倍首相を止めるのは難しくなります。TPPに参加することになるでしょう。
 安倍首相は「TPP交渉を主導していきたい」と述べていますが、3月15日の記者会見で「残念ながら、TPP交渉は既に開始から2年が経過しています。既に合意されたルールがあれば、遅れて参加した日本がそれをひっくり返すことが難しいのは、厳然たる事実です。」とも述べています。日本が「TPP交渉を主導していきたい」というのは願望に過ぎず、アメリカ政府の合意(議会の承認ではない)を取り付けるだけで大きな譲歩をしているのですから、現実は「日本がひっくり返すことは難しい」ということなのです。安倍首相がTPPを骨抜きにしたら、TPPに参加しても問題ないと考えることも出来ないのです。
 
 政治家は様々な政策を公言します。だけど、その政策全てに賛成できる人は稀有でしょう。人間は一人一人皆考えが違うのだから当たり前です。
 だから、幾つかの政策には反対でも他の政策に賛成で、全体的に見れば賛同できるから支持するというのはもっとものことです。ですが、反対する政策の中に絶対に実施して欲しくない政策があった場合は如何でしょうか。それでも支持をするというのであれば、絶対に実施して欲しくないにも拘らず、その政策(絶対反対の政策)までもを後押ししてしまうことになるのです。もし、絶対反対の政策を実施させたくないなら、その政治家を支持しないことにならざる得ないでしょう。
 「安倍支持・TPP反対」派の中には「TPPは亡国の最終兵器」と批判していた保守を自任する人たちが少なくありませんでした。TPPが亡国の最終兵器なら、積極的にTPPを推進させようとしている安倍首相は国を滅ぼそうとしている極悪人かアナーキストです。
 それなのに、保守を自任する人の中には「安倍支持・TPP反対」の旗を降ろさない人たちが未だにいるのです。いい加減、TPPは亡国の最終兵器では無かったと認めて「安倍支持・TPP容認」になるか、あくまでもTPPは亡国最終兵器というのを変えずに「安倍不支持・TPP反対」になるかしかないと思うのですが、それが出来ないようです。
 その大きな理由は「安倍首相に代わる人物はいない」ということでしょう。果たしてそうでしょうか。亡国の最終兵器のTPPで国が滅ぶことと安倍首相を天秤に掛ければ、どちらが重要か明らかではありませんか。
 
 政治家に限らないことですが、何を言ったかではなく、何をしたかが重要だと思います。安倍首相が何を語ったかではなく、安倍首相が何をしたか(しようとしているのか)、何をしなかったかに目を向けるべきだと思います。安倍首相の保守的な言葉に目を奪われ、盲目的に追従すると本質を見失うことにもなりかねません。

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【言いたい放談】TPP反対と安倍内閣支持は両立する![桜H25/3/8]
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=QIxnhGziLUw
【直言極言】改めて、安倍絶対支持とTPP絶対反対[桜H25/3/22]
http://www.youtube.com/watch?v=0pgWN-LVzmM
平成25年3月15日安倍内閣総理大臣記者会見http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/0315kaiken.html
平成25年4月12日TPPに関する主要閣僚会議
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/actions/201304/12tpp.html

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| | 2015-11-10(Tue)17:39 [編集]


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