六丈記2

備忘録のようなもの

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電力危機 冬

 昨年末から続いていた北海道での7%節電の期間が今日(3月8日)で終わります。なんとか、電力供給制限をせずにこの冬を乗り越えられそうです。
 期間終了にあたり、読売新聞が3月1日から「電力危機 冬 -その後-」という連載記事を3日連続で掲載していました。残念ながら、Web版には掲載されていないようですので、短くまとめてみます。
 
◆電力危機 冬 -その後- 上
 1月上旬、北海道電力伊達石油火力発電所1号機の排出ガス温度が上限(450度)を超えた。熱交換をする蒸気配管の外側に大量の灰が付着し、ガスの熱が吸収されないため、排出ガスが高温になっていたのだ。
 放置すれぱ重大なトラブルにつながりかねないが、北電は運転継続を選択した。灰の除去には約1ヶ月かかり、その間、運転を完全に停止しなければならないため、それを避けたのだ。道内の発電量の約4割を担ってきた泊原子力発電所が全停止しているため、火力発電の占める割合は約8割に達している。たとえ1号機だけであっても、厳冬期を前に止める余裕はなかった。
 2月、今度は蒸気配管の一部の温度が、致命的な故障につながる550度に迫った。出力を28万kWに抑制して運転継続したが、温度はほとんど下がらず、結局、22日に1号機を停止した。7%節電期間中の復旧は見込めなくなった。
 フル稼働が続く火発のトラブルは後を絶たない。特に、今冬は法定点検を繰り延べしている火発の故障が目立ってる。これまで、当初懸念された大型火発のトラブルは発生しておらず、電力需給が逼迫する事態には至っていない。だが、伊達1号機が停止したことで、小規模トラブルも軽視できなくなった。
 目標としていた7%節電は想定通りには進んでいない。今冬の節電実績は2010年度比で4.4%(2月15日北電発表)に止まっている。需要実績によると、今冬、最も供給力が落ち込んだのは、火発3基のトラブルが相次いだ12月30日の518万kW。一方、最大電力需要は1月18日の551.5万kWだった。
 北電幹部は「火発トラブルが相次いだ日と高需要の日が重なれぱ、電力供給が需要を下回る可能性もあった。伊達火発の長期離脱で、逼迫の危険度はさらに高まっている」と語っていた。
 
 
◆電力危機 冬 -その後- 中
 11月下旬、暴風雪のため、登別、室蘭市などで起きた大規模停電は、道内の「冬の危機」の深刻さを浮き彫りにした。
 11月27日午前5時、市立室蘭総合病院は突然の停電に見舞われた。自家発電機2基(1000kW)を備えるが、日常使用する電力1600kWは賄えない。人工呼吸器や透析機は動かせるが、最新の医療機器や電子カルテは利用できなくなった。
 同病院は停電により一般外来を休診させていた。しかし、災害拠点病院のため、救急外来では患者を受け入れていたが、CT検査などが必要とされた急患は、停電の影響がなかった市内の病院に搬送した。幸い大事には至らなかったが、東海林院長は「次も無事に乗り切れるとは限らない。最新の医療機器がいかに電化されているかということを、もっと把握しておくべきだった。」と反省を込めて振り返った。
 4日間に渡り停電した登別温泉街では、約1万人の宿泊キャンセルがあった。被害総額は4億円超だという。知名度の高い温泉地でも、負のイメージがつくと払拭に時間がかかる。登別観光協会は1ヶ月程しても、停電の影響が無いのかと問い合わせがあると話し、「冬が来る度に、こういう事態になるのは困る。お客様相手の商売では、安定的な電力供給が欠かせない。」と語った。
 大停電を引き起こした暴風雪は、道内の送電網の脆弱さもあらわにした。道央と道南を結ぶ墓幹送電線「道南幹線」が、暴風雪で一時不通になったのだ。札幌圏で必要な電力は通常、泊原発が主に賄っていたが、泊原発が停止しているので、道南の発電所からも道南幹線を通じて電力供給を受けている。それが一時、滞った訳だ。大きな影響は出なかったが、道南幹線は札幌圏の電力の命綱だ。
 北海道は電力不足に陥ると、泊原発1号機に匹敵する60万kWの送電容量を持つ「北海道・本州間電力連系設備(北本連系)」を通じて、本州から送電を受ける。しかし、道南幹線にトラブルが生じれば、送電は道南で止まる。泊再稼働の見通しが立たない状態が長引くと、電力供給態勢への不安を抱えたままの「綱渡り」が続くことになる。
 
◆電力危機 冬 -その後- 下
 「原発なき冬」をようやく乗り切ろうとしている今、早くも次の冬への懸念が広がり始めている。泊原発の再稼働に見通しが立たないためだ。
 1月31日、原子力規制委員会の専門家会合で再稼働の新基準が議論された。新基準は福島第一原発事故を踏まえ、同様の重大事故を防ぐのが主眼だが、航空機事故やテロも想定した厳しい内容になっている。骨子案では、放射性物質を除去するフィルター付きベントや、重大事故時の拠点となる免震重要棟といった大型設備の設置が義務づけられている。
 北電によると、骨子案を基に新安全基準を先取りして、この様な設備の準備を進めても、完成は2015年度になる見込みになる。テロなどへの備えとして盛り込まれた第2制御室は完成時期さえ決まっていない。新基準が決まる7月までに全ての対策は終わ
らず、現状では、再稼働の前提となる原子力規制委の審査に入ることは難しい。
 北電からは「どれも簡単にできる対策ではない。このままでは、来冬も原発ゼロという事態になりかねない。」と、早期再稼働に悲観的な見方が出ている。
 対策の一部には猶予期間が設けられる見込みだが、期間はまだ設定されていない。時間のかかる対策に猶予期間認められない場合、再稼働が大幅に遅れる司能性がある。その場合、また数値目標付きの節電が再び議論され、停電の不安を抱える日々を過ごすことになる。
 電気料金の値上げも避けて通れない。川合北電社長は「3月末までに値上げの可否を判断したい」と表明している。泊原発が新年度中に再稼働するという前提で、値上げに踏み切る場合、申請する値上げ率は10%前後になるとみられる。電気料金の値上げを
審査する識者は「原発がこのまま動かなけれぱ、最低でも30~40%の値上げの可能性がある」とみる。値上げは道内経済を直撃する。溶接に大量の電気を使う札幌市内の鉄工会社は経費負担増で相当な利益の減少になると語る。
 原発が稼動しない中で、頼みの綱となる主力火力発電所12基の内、7基は今年中に法定点検の期限を迎える。そのうち3基は既に繰り延べ運転をしており、残る4基もフル稼働による負荷の大きさから、簡単には点検を延長できない状況だ。
 関係者からは「原発の安全性が最重要視されるのは当然だが、電気料金の値上げに経済がどこまで耐えられるのかという真剣な議論も必要だ」という声が出ている。電力危機はまだ終わっていない。

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