六丈記2

備忘録のようなもの

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尖閣問題 プロパガンダ広告と中国流の喧嘩 後編

 中国に続いて台湾も尖閣諸島の領有権を主張する広告を出した。10月10日付のニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなどのアメリカ主要紙に台湾の出先機関の経済文化代表処が広告主になり、「釣魚台は15世紀に中国が発見し、清朝時代に中国領になったが、日清戦争が行われた1895年1月に日本によって秘密裏に併合された。」と主張したとのこと。
 そもそも、台湾は1970年まで自国の中学生に尖閣諸島は日本の領土と教えていた(当ブログ「歴史教育 アグネスの妄言」参照のこと)。それでも、チャンスとみると、こうした行動に出てくる。
 
 相手国に対して自国の主張を納得させたいのであれば、相手国の国民に自国の主張の正当性を知らせ、理解させるという道もある。しかし、それをしようともしないで、中国台湾韓国とも日本を批判する意見広告をアメリカに出している。それが最も効果的だと思っているのだろう。日本にとって最重要国のアメリカの世論を味方につけば、日本に圧力を掛け易いし、アメリカ世論(メディアの論調)は世界の世論に大きく影響を及ぼす。
 第3国を巻き込んで、周りから圧力を掛けることによって有利に運ぼうとする手法はまさに中国流の喧嘩だ。
  
 日本には尖閣諸島の領有権に関する数々の証拠があるのだから、世界の人々も日本に領有の正当性を認めるだろうと安易に考えるのは危険だ。当事国でない者はどちらに正当性があるかなど、真剣に考えたりはしない。事件が起これば注目するが、極東の小島のことなど元々知らない(知識が無い)し、強い興味も無い。日本人がフォークランド諸島について推察する程度のものだ。
 ロバート・キャンベル氏は「当事者でない国は、正論より世論を重視する」と述べたそうだが、正しくその通りだ。当事者でなければ、ほとんどの者は自ら深く探求しようとはしない。与えられた情報を受け入れて理解した気分になるだけだ。政治家やジャーナリストも例外ではない。だから、中国側の主張ばかりを聞かされ、それに反する情報がなければ、中国側に分があると思うようになるのは当然の成り行きだろう。現実に、海外の記事の中には中国側の主張をそのまま掲載しているものも見受けられる。
 
 日本は過去、尖閣諸島を領土問題化させないという方針で一切アピールしてこなかった。だから、中国側のプロパガンダを流しても、対抗措置をまともに取ってこなかった。しかし、プロパガンダを軽視していたら、痛い目に遭う。一度、国際世論が出来上がってしまえば、覆すのは用意ではない。
 そのいい例が従軍慰安婦問題だ。河野談話を出したことで国際的世論が固まってしまい、その後に戦場における売春行為と説明したところで、聞く耳をもたれず、言い訳としかとられていない。
 
 もし、国際世論が中国に味方をし、「日本は未だに侵略した土地を支配し続けている」となったら、厄介だ。国際的に日本に対して譲歩を求める圧力が強くなるだろうし、米軍もアメリカの国内世論は日本に否定的になっていたら、動きづらくなり、抑止力が低下する。日米を離反させ、アメリカの介入を阻止したい中国としては非常に好都合だ。
 中国が民間人を装い、尖閣諸島を占拠したとしても、中国の口実に正当性を与えてしまい、世界的に大きな非難は巻き起こらないかもしれない。
 
 政府はトラブルを避けるため、中国に対して過度に配慮してきた。しかし、それが尖閣問題をここまで大きくしてしまった原因だ。中国は摩擦を引き起こし、その度に配慮を求め、事態をエスカレートとさせてきた。改めて考えてみれば、北朝鮮の瀬戸際外交に似ている。
 政府は今までの方針を改め、中国側の主張に対して反論すると言っている。良い傾向だが、今一歩進めて、積極的に国際社会に対してアピールした方がいいのではないか。国際社会に日本の正当性を広め、中国が侵略国家だという認識を国際世論が持てば、中国を抑止する効果がある。それに、日本の主張が広まれば、中国人が日本の主張を知る機会が増える。
 8月に広東省の民間企業(広東捷盈電子科技)の取締役会副主席の林凡氏が中国ツイッター「微博」で過去の人民日報の記事や複数の公式地図を示して、「これでも中国政府は『釣魚島は私たちの領土だ』と言えるだろうか」と書いたところ、反発や中国共産党の怠慢と指摘するばかりではなく、日本領と認める反応もあったとのこと。
 また、中国検索サイト百度の掲示板に「日本が人民日報で尖閣は沖縄に属すると書いた記事を持ち出したらどう反論しよう?」というスレッドが立てられると、「理論上は、人民日報の観点であって政府の観点を代表するものではない」、「琉球自体が中国のものだ」等のコメントに紛れて、「釣魚島はもともと琉球に属していたし、ハッキリいえば中国とは何の関係もない。強いて言えば近いというだけ」とのコメントもあったようだ。
 中国人の中には証拠を示されると理性的に判断し、日本領と認める者もいるのだ。こうした者は少数であろうが、日本領と認めない者でも中国政府に教えられた事に疑いが芽生え、揺らぐ者も出てくる。盲信していたことが嘘かもしれないと思い始めると、中国世論の強硬化に歯止めが掛かるかもしれない。思いのほか効果的ではなかろうか。

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No title

 日本は戦前中国の宣伝戦に負けて、日中戦争ではhttp://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E3%2582%25A2%25E3%2583%25A1%25E3%2583%25AA%25E3%2582%25AB/" class="keyword">アメリカに反日世論が沸騰するハメになりました。

 しかし日本の外交官を見ていると、そう言う反省があるとも思えないのです。

よもぎねこ♪ | URL | 2012-10-27(Sat)17:23 [編集]


No title

To よもぎねこ♪さん
> 日本は戦前中国の宣伝戦に負けて、日中戦争ではhttp://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E3%2582%25A2%25E3%2583%25A1%25E3%2583%25AA%25E3%2582%25AB/" class="keyword">アメリカに反日世論が沸騰するハメになりました。
 受け入れる下地があったのでしょうが、国民党のhttp://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E3%2583%2597%25E3%2583%25AD%25E3%2583%2591%25E3%2582%25AC%25E3%2583%25B3%25E3%2583%2580/" class="keyword">プロパガンダは効果的でした。義勇軍という形でしたが、太平洋戦争開戦の前に参戦させることに成功しています。
 「夷を以て夷を制す」。中国の古典の言葉ですが、国民党も共産党もこの言葉通りのことを実行しました。中国人にはこの考え方が染み付いているのかもしれません。

> しかし日本の外交官を見ていると、そう言う反省があるとも思えないのです。
 そもそも、当時の外交官にhttp://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E4%25B8%25AD%25E5%259B%25BD/" class="keyword">中国との情報戦に負けたとの認識があったのか疑問です。

ボルト | URL | 2012-10-30(Tue)00:14 [編集]


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