六丈記2

備忘録のようなもの

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オスプレイ配備について考える

 オスプレイ(海兵隊所属のMV-22)の10万飛行時間当たりの事故率は1.93で、海兵隊の垂直離着陸戦闘機AV8Bハリアーの事故率6.76と比べれば、格段に低く、海兵隊全体の平均事故率2.45よりも低い。オスプレイによって代替されるCH46ヘリコプターの事故率は1.11だが、森本防衛相はオスプレイとCH46の危険度は同レベルとし、むしろ、老朽化したCH46を使い続ける方が危ないと述べている。
 一方、NHK(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120726/k10013875451000.html)は公表された10万飛行時間当たりの事故率(MV-22:1.93、平均事故率:2.45)は「クラスA」の事故に限ったことで、2001年から2012年までの11年間に起こしたすべての事故を海兵隊が分類した資料からは「クラスA」が4件、「クラスB」が9件、「クラスC」が27件としていた。そして、10万飛行時間当たりの事故率は
クラスA」→報道なし
クラスB」→MV-22: 2.85件、海兵隊平均:2.07件
クラスC」→MV-22:10.46件、海兵隊平均:4.58件
と伝え、クラスBの事故は海兵隊平均を上回っているほか、クラスCに至っては海兵隊の航空機の中で最も高い数値であると報道している。
※「クラスA」:死者が出たり高額の修理費用が生じたりするなど、最も深刻な事故
※「クラスB」:乗員に部分的に後遺症が残るなどした事故
※「クラスC」:軽いけが人が出るなどした事故
 
 NHKの報道からMV-22の飛行時間を逆算してみる。
クラスB」
(9/2.85)*100000=31.57万時間
クラスC」
(27/10.46)*100000=25.81万時間
 対象となる飛行時間は同じになるはずなのに、大きな開きがある。10万飛行時間当たりの事故率の計算には違うデーターを使っているのだろうか。
 それに、NHKはMV-22の配備(2005年)前のデーターも対象としている。2001年から安全性の向上がされていないなら問題ないだろうが、通常は事故が発生する度に原因を追究し、改善されるものだ。安全性の向上の改善はこの11年間一切されていないのだろうか。そうは思えないのだが。
 今、日本でオスプレイの配備が問題にされているのは、市街地に墜落する危険性が高い欠陥機と、表向き思われているからだ。しかし、NHKは乗員の軽い怪我を起こした事故も持ち出し、危険性が高いと主張している。日本国民にとっては墜落などで住民に被害が出なければ良いのであり、海兵隊員が怪我をしたところで、それは日本国民にとって関係ないことだ。ところが、NHKは海兵隊員の怪我の心配までしている。NHKはアメリカ政府以上に海兵隊思いだったとは思わなかった。
 
 閑話休題。オスプレイの配備にからみ、デモが発生して安全性が政治問題化しているが、はたして、オスプレイは危険なのだろうか。
 オスプレイの安全性を説明するために、10万飛行時間当たりの事故率を用い、MV-22は海兵隊平均より低く、危険ではないと説明されている。しかし、飛行時間当たりの事故率で比較して、単純に安全性が高いと断定することには疑問がある。
 例えば、同型の機体,Yの2機があり、1回の飛行では500km/hで5000km飛び、は500km/hで10000km飛ぶとする。10万時間に達するまでこれを繰り返した時、もYも飛行距離は5000万km(加減速は考慮せず)となり、飛行時間、飛行距離は変わらないが、発着回数はが1万回、Yが5千回になる。
 離陸から着陸までの過程で事故率が一定なら、とYの事故率は同じになる。ところが、実際は「Critical Eleven Minutes」(魔の11分間)と言われるように、離陸後3分間と着陸前8分間の合計11分間に事故の7割あまりが発生するとされている。
 仮にこの型の機体が10時間飛行(離着陸1回)して、1/1000回の事故を起こすとしたら、内訳は巡航中に3/10000回、離着陸中は7/10000回だ。「魔の11分間」は巡航時間に比べ短いので飛行時間=巡航時間とすると、事故確率は1時間当たりの飛行で3/10万回、1回の離着陸で7/1万回となる。
 これをとYに当てはめると、10万飛行時間で、は10回(巡航中3回、離着陸中7回)、Yは6.5回(巡航中3回、離着陸中3.5回)の事故を発生させる。
 この様に同じ機種でも1回に飛ぶ距離を変えるだけで、事故率は変化してしまうのである。だから、運用条件の異なる機種を単純に比較して、どちらが安全かなどと軽々に断定出来ないのだ。同じ運用条件で比較して、初めて、その条件下ではどちらがより安全な機種か分かるのであって、条件が変われば、結果も変わる。ただ、10万飛行時間当たりの事故率が全く意味の無いものかというとそうでもない。盲信しなければ、参考にはなると思う。
 また、比較条件を変えたら、結果も変わる。上記までは飛行時間で比較したが、飛行距離で比較したら、また違った結果が出るだろう。高速の機体ほど有利になるから、MV-22とCH46の事故率は逆転するかもしれない。例えば、スペースシャトルは発射回数を基準にしたら危険な乗り物に違いないが、移動距離を基準にしたら自動車より安全になるだろうということだ。
 安全を言葉にするのは簡単だが、安全とは何かを考えると簡単に結論が出るものではなく、安全の判断はなかなか難しい。マスコミの中には、MV-22とほとんど変わらない空軍使用のCV-22の事故率が13.47だから、オスプレイはとんでもなく危険な機種と煽り立てる人々がいるが、危険な飛行を強いられたら、事故は起こり易くなって当然という当たり前のことを全く理解していないのはどうかと思う。
 
 オスプレイの特徴は飛行機とヘリコプターの両方の特性を兼ねそなえた航空機であることだ。ティルトローター(機体に対して傾けることが出来るローター)を傾けることで、固定翼モードとヘリコプターモードを切り替える。

 
 2ローター式でも、大型ヘリコプターのように前後に配置した設計なら、バランス制御もさほど難しくはないのだろうが、機体の中心から離れた両翼端にローターを配置した設計なので左右の出力バランスをとるのが困難な上に、ローターの角度変えるのだから、非常に制御が難しい機体だろうことは素人でも推測できる。開発に長い期間がかかってしまったのは、色々な条件下で機体を安定させるのが困難だったためだろう。
 オスプレイは普通の航空機と違い、揚力を得る方法が変化するので、それぞれのモードの状態により墜落する危険性も変化するものと思われる。これまで起こした事故の詳細なデーターが分からないので、確かなことは言えないが、一般的に回転翼機より固定翼機の方が安定的なことを踏まえれば、固定翼モードで飛行している状態が最も安定性が高く(他のターボプロップ機と同程度)、次がヘリコプターモードで浮上している状態、最も不安定ななのは固定翼モードとヘリコプターモードの間の状態、つまり、ローターの角度を変化させている時がオスプレイにとって一番バランスを崩し易いのだと思う。実際、4月に起きたモロッコの墜落事故はヘリコプターモードから固定翼モードに転換している最中に発生している。
 転換飛行が行われるのは離着陸地点の付近であるから、基地周辺で墜落する危険性はある。ただし、他のヘリコプターなどより基地周辺に墜落する危険性が高いということではない。(転換飛行時と他のヘリコプターの離着陸時の危険性を比較した訳ではないため。)
 オスプレイの特徴は垂直離着陸(VTOL)出来ることであるから、垂直離陸した後に水平飛行に移り、垂直着陸するものと思われがちだが、短距離離陸(STOL)も可能だ。STOLとは文字通り、短い距離の滑走で離着陸することで、これだと、滑走により翼からも揚力を得られるので、離着陸時の危険性は他のターボプロップ機と同程度になるはずだ。
 マスコミや反対派はオスプレイを欠陥機と騒ぐが、固定翼モードでは他のプロペラ機よりも大きく劣るとは思えないし、離着陸もSTOLで行えば同様だ。
 だから、基地周辺に住宅地がある場合はVTOLを禁止し、STOLで運用したら危険性の問題は解決すると思う。VTOLの訓練は艦艇で行うか、無人島で行えば良い。丁度、尖閣諸島という名の無人島があることだし。久場島と大正島はいまだに在日米軍の射爆撃場に設定されている(1978年以降は未使用)のだから、釣魚島にヘリポートを作って米軍の訓練に使ったとしても支障は無い筈だ。
 
 ティルトローター機は半世紀以上前から開発が始められていて、長い間、様々な試験が繰り返されていたが、オスプレイによって初めて実用化された。民間用のBA609の実用化も近いとみられている。
 
 困難にも拘わらず、開発が断念されなかったのは、垂直離着陸、高速移動、長航続距離というヘリコプターと固定翼機の利点を併せ持つからだ。これらの利点は軍事用途ばかりでなく、民間用途にも有用だ。
 ティルトローター機は離島を多く抱える沖縄にこそ必要な機体だと思う。本島から遠く離れた空港の無い離島にも直接向かえるので、ドクターヘリに用いたら非常に有用だ。災害時の輸送にも役立つだろう。沖縄県民はそのことに気が付くべきではないか。離島の住民のことなど無視してかまわず、本島の住民さえ良ければいいと言うのなら別だが。
 
 オスプレイは優れた利点を持つ機体なので、導入を希望する国も現れるだろう。米軍で実戦配備されているのだから、危険性を問題にすることもないと思う。アメリカ政府が輸出を許可し、価格も妥当なものなら、多くの国が購入するのではないか。韓国などは独島の兵站に有用だとして、真っ先に名乗りを上げるかもしれない。
 しかし、多くの国が導入したとしても、反対活動の中心を担っている人達は反対を止めないだろう。そういう人達が配備に反対しているのは、本当は危険性ではないだろうから。

 

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