六丈記2

備忘録のようなもの

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

<ショートショート>正恩の影武者

 金日成生誕100年記念に打ち上げる人工衛星について、日米韓のみならず中国やロシアも反対していることが金正恩の耳に入った。本音では違っていても、表立っては米国側に付かなかった国々までもが離反する姿勢を見せたことは権力の座を引き継いで間もない若き指導者を不安にさせた。不安に苛まれても、人工衛星打ち上げは父、金正日の遺訓であるから、中止することは出来ない。それに、若し中止したら権力基盤が崩壊しかねないのだ。

 

 正恩は不安を抑えられず、義理の叔父で後見人の張成沢を呼んだ。
「叔父さん、人工衛星打ち上げを弾道ミサイル実験と各国が騒いでいるが、本当にロケットを発射して大丈夫だろうか。」
「正恩大将、前にも話しましたが、非難をする国は多くあるでしょうが、本気で我が国を攻撃する国はありません。大丈夫です。」
「ロケットは大丈夫にしても、その後にやる予定の核実験はどうだろうか。」
「核実験は我が国の核武装のために絶対必要です。核実験を実施することで、大きな譲歩も引き出せるのです。心配ありません。」
 納得していない正恩の表情に、張成沢は続ける。
「過去2回の地下核実験を思い起こしてください。上手く事が運んだではありませんか。今回も上手くいきます。万が一にも、我が国を軍事攻撃してくる国はありませんからご安心下さい。」
「正面切って軍事攻撃を仕掛けてくることはないかもしれないが、俺を暗殺しようとする国が出てくるとも限らないのではないか。」
 肝が据わっていない正恩を宥める様に張成沢は一つの提案をする。
「それでは正恩大将、正恩大将の影武者をしつらえましょう。それで安心出来るでしょう。」
「それはいい。早速、影武者を探すことにする。」
 張成沢の提案に正恩は跳び付き、その場で総参謀長の李英鎬と国家安全保衛部長の禹東則に電話をかけ、影武者探しを命令した。
 傍らで聞いていた張成沢は電話が終わるのを待って、正恩に話しかけた。
「正恩大将、私は対外連絡部を動かすことにしましょう。」
「軍と公安を使えば国内を隈なく探すことが出来るのだから、なにも、国外にまで手を伸ばす必要はないではないか。」
「ですが、早く見つける為にはなるべく広範囲で探した方が良いではありませんか。」
「そこまで言うのなら止めはしないが、我が国には2500万人近くいるのだから、すぐに適当な人物を見つけられるさ。」
「そうなると、よろしいですね。」
 そう言うと、張成沢は部屋を出て行った。

 

 廊下を歩きながら、周りに人影がないのを確認すると張成沢はつぶやいた。
「あのブタは我が国に自分の様な肥満体が他にも存在していると思っているのか。」
 

スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。