六丈記2

備忘録のようなもの

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ギリシャ危機の真実 ルポ「破綻」国家を行く2

◆第二章 「デモは文化」とみなが言う
 ギリシャはデモやストライキが多い。ゼネストは年に数回だが、省庁や民間企業が個別によくストをする。デモが日常化している。
 「デモは解決につながりますか」と問うと、学者や政治家、共産党員に限らず、学生、老人、店員までが「デモはこの国の文化ですから」と答える。「デモは文化」という言葉の底には、デモが日ごろの出来事の延長であり、何かを揺るがすことも無く、慣れているので気にしないという軽視が含まれている。
 デモが日常化するに至った訳を理解するには近過去を知る必要がある。

 

 老若男女を問わずアテネの人々が自国史を振り返る時、真っ先に思い浮かべるのが軍政だ。それも、軍政時代そのものではなく、崩れた瞬間だ。
 1973年、反軍政デモが頻発し、学生達がその先頭に立った。世論は学生支持に回り、当惑した軍当局は占拠されていた大学に軍隊と警官隊を差し向け制圧。死者30人以上、負傷者多数の被害を出し、多数の学生が逮捕された。学生達は圧倒的な武力により潰されたが、軍政の終焉を早めた。
 
 この出来事が人々の忘れ難い共通の思い出として残っているのだ。だから、学生には抗議運動をするのが当たり前で何をしても許されるという雰囲気があり、社会も容認しているところがある。これがデモ多発の根底になっている。

 

 冷戦時代、日本もギリシャも西側世界の最前線にいたが、日本では学生運動が挫折したのに対し、ギリシャでは歴史を動かす存在だった。60年代から70年代をどう過ごしたが根本的に異なる。グローバリズムで何処でも似たような暮らしをしていても、抱える歴史が違うのだ。

 


◆第三章 シュールなドラマ
 財政赤字のデータが大幅に改ざんされていたという事実が公表された時、市場は驚いたが、EUの事情通やギリシャ国民は驚かなかった。ギリシャ社会をよく知る者にとって、ギリシャの統計が信用できないのは暗黙の常識だったからだ。
 EU本部も加盟当初からギリシャの統計データを信用していなかった。あえて、問題視しなかったのは大問題になるのを避けるために黙認していたのだ。

 

 財政に限らず、この国の統計はどれも当てにならない。
 例えば、公務員の人数をギリシャ政府は正確に把握していない。国家統計局の推計では114万人(労働人口の21%、雇用者の3分の1にあたる)だが、実際は調べたことも無く、ギリシャ政府は実数を知らなかった。
 労働省の官僚は語る。
 「新たな政権ができると、閣僚の顧問や局長職は総入れ替えになり、それぞれの閣僚や次官ら政治家たちが、好きなように身内や友人、支援者、または自分で探し出してきた人物をそのポストに招く。こうした人々は『臨時雇用』という形で来るが、この国の問題は彼らがいつの間にか『正規雇用』になっていて、政権が交代しても解雇されないこと。前から同じポストにいた人はどうなるかと言うと、解雇されず、別のポストに行くか、ひどい場合、同じ局長ポストに2人がいるなんてこともある。当然2人分の仕事はないから、前の人達は職場に来なくなり、給料だけもらい続ける幽霊公務員となる。私たち労働省の中でも全体の職員が何人いるのか、どういう構成なのかよくわかっていない。」。
 これでは、政府が実態を把握出来ないのも無理は無い。
 
 ドイツのメディアなどは「勤勉なドイツ人とさほど変わらない給料をもらいながらまったく働かないギリシャ人をなぜ救わなければならないのか」と言う。
 限られた体験からの印象では大半の公務員の給料はEU諸国よりかなり少ない。もしかしたら、公務員給料の総額から計算すると給料が高くみえるが、公務員の実数が公表数よりかなり多いため、一人当たりの給料はさほどでもないのかもしれない。
 事実、正業では食べられず、副業を掛け持ちして長時間労働をする人達が数多くいる。OECDの調査ではギリシャの平均労働時間がEU諸国の中で最も長い。ただし、自己申告を基にしているので信用できるかは疑わしいが。

 

 「疑わしい統計を基にして、ギリシャを見ないで」というギリシャ人の主張はもっともな事かもしれない。

 


◆第四章 「事業仕分け」を我が国に
 アテネのエコノミストはギリシャが破綻寸前に追い込まれた理由を「公務員の増加が一番の理由だが、過去10年、急激に増えたのが大きい」と言う。
 公務員は00年に86万2000人、04年に99万7000人、09年に114万人と増え続け、公務員の人件費は過去6年で2倍に増えている。人数の増加に対し、人件費の増加が大きいのは政治家が得票のために公務員組合の要求をのみ、給料を増額した影響だろう。
 ギリシャには省庁や自治体、警察などの一般的な行政機関の他に、5000の公共機関がある。選挙のたびに省庁や外郭団体を作り、公務員ポストを増やしてきた。だから、10年で1.3倍、27万8000人も増えたのだ。
 増えた公務員がその分仕事をする訳ではない。何もしない場合も多いのだ。元々、必要ないのでそれでも問題は起きない。ポストを作り、公費で給料を払うことが目的だから、仕事内容はどうでもいいのだ。

 

 ギリシャ人も公務員が多すぎるのは認識していて、知識人はリストラの必要性を語る。しかし、リストラを断行するのは容易ではない。失業率が上がり、デモが益々増えて社会不安を増大させかねず、それが悪循環を招き、さらに状況を悪化させる恐れがあるからだ。


---続く---
 

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コメント


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No title

>疑わしい統計を基にして、ギリシャを見ないで

 だったら疑わしい統計を出すな!!

http://www.iza.ne.jp/izaword/word/EU/" class="keyword">EU本部も加盟当初からギリシャの統計データを信用していなかった。あえて、問題視しなかったのは大問題になるのを避けるために黙認していたのだ。

 もしも今回パパンドレウがばらさなかったら、まだドンドン対外債務が積み上がり続けたのでしょうかね?

 何とも凄いです。


 

よもぎねこ♪ | URL | 2011-10-11(Tue)23:13 [編集]


No title

To よもぎねこ♪さん
>>疑わしい統計を基にして、ギリシャを見ないで
>
> だったら疑わしい統計を出すな!!
>
>>http://www.iza.ne.jp/izaword/word/EU/" class="keyword">EU本部も加盟当初からギリシャの統計データを信用していなかった。あえて、問題視しなかったのは大問題になるのを避けるために黙認していたのだ。
>
> もしも今回パパンドレウがばらさなかったら、まだドンドン対外債務が積み上がり続けたのでしょうかね?
>
> 何とも凄いです。

見逃すことに利益が有るとhttp://www.iza.ne.jp/izaword/word/EU/" class="keyword">EU主要国が判断した
そこが凄いとおもいますね~

ana5 | URL | 2011-10-12(Wed)00:56 [編集]


No title

To よもぎねこ♪さん
>>疑わしい統計を基にして、ギリシャを見ないで
>
> だったら疑わしい統計を出すな!!

私のまとめ方が悪かったようです。
「『疑わしい統計を基にして、ギリシャを見ないで』というギリシャ人の主張はもっともな事かもしれない。」というのは、「政府が出した疑わしい統計を基にして算出された数字だけではなく、良くも悪くもギリシャの実態を見てから判断する必要があるのでは。」という意味です。
本書には「ドイツのメディアのように何でもギリシャの政府統計やそれを基にしたhttp://www.iza.ne.jp/izaword/word/OECD/" class="keyword">OECDの数値で、『ギリシャの公務員は平均給与が高い』『年金ももらいすぎ』と言うのはどうかと思う。根拠となるデータがいい加減なのに、それをもとに善悪を決めつけたり、白だ黒だというのは変じゃない?」と語るギリシャ人女性の言葉があり、また、GNPの3割とも4割とも言われる統計に表れない闇経済の存在にも言及しています。
統計からは「公務員の平均給与は高い」となりますが、実際に取材すると、看護婦や地下鉄職員は勤続20年以上でも月給が1000~1200ユーロだそうです。

統計について、本書に登場するエコノミストは「人口や国の支出、収入などの統計はそれだけ見るときれいだが、もともとはhttp://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E5%259C%25B0%25E6%2596%25B9%25E8%2587%25AA%25E6%25B2%25BB%25E4%25BD%2593/" class="keyword">地方自治体など役所が本省に報告するデータを積み重ねたものだ。この国の場合、その最初に上がってくるデータが疑わしく、その真偽を確かめることもしないし、その術もない。」と語っています。
意図的な改ざんの他に、いい加減な仕事ぶりが「疑わしい統計」を作っているようです。なんか、http://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E4%25B8%25AD%25E5%259B%25BD/" class="keyword">中国を見ているような。

>>http://www.iza.ne.jp/izaword/word/EU/" class="keyword">EU本部も加盟当初からギリシャの統計データを信用していなかった。あえて、問題視しなかったのは大問題になるのを避けるために黙認していたのだ。
>
> もしも今回パパンドレウがばらさなかったら、まだドンドン対外債務が積み上がり続けたのでしょうかね?

ギリシャ国債の金利の推移(http://www.bloomberg.co.jp/apps/cbuilder?T=jp09_&ticker1=GGGB10YR%3AIND)を見ますと、2009年末から上昇しています。
公表しなかったら、もっと債務が膨らんでいたのかもしれませんね。

ボルト | URL | 2011-10-12(Wed)20:53 [編集]


No title

To ana5さん
>見逃すことに利益が有るとhttp://www.iza.ne.jp/izaword/word/EU/" class="keyword">EU主要国が判断した
>そこが凄いとおもいますね~
>

ユーロは新しい基軸通貨になることを目指していましたから、http://www.iza.ne.jp/izaword/word/EU/" class="keyword">EUはユーロ圏拡大の方を取ったのでしょう。

ボルト | URL | 2011-10-12(Wed)20:55 [編集]


No title

通貨・貿易同盟から、政治的同盟へ
その前提で無視したのであれば、今更でしょう
実験としては面白い

ana5 | URL | 2011-10-12(Wed)21:06 [編集]


No title

国家破綻ではなく
国家概念を破綻させる試みが、http://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E3%2583%25A8%25E3%2583%25BC%25E3%2583%25AD%25E3%2583%2583%25E3%2583%2591/" class="keyword">ヨーロッパで意図された
その過程が現在の状況だと思えます

実験を進めるか、やめてhttp://www.iza.ne.jp/izaword/word/EU/" class="keyword">EUの崩壊を甘受するかの
選択では?

ana5 | URL | 2011-10-12(Wed)21:11 [編集]


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「政治的同盟へ」は変でした訂正します
「政治統合・国家のコミュニティー化」でしょうかね

ana5 | URL | 2011-10-12(Wed)21:18 [編集]


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たぶん原因は国家規模ではないでしょうか
覇権に抵抗するにも、目指すにも規模がいるシェアーが必要

ana5 | URL | 2011-10-12(Wed)21:25 [編集]


No title

To ana5さん
>国家破綻ではなく
>国家概念を破綻させる試みが、http://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E3%2583%25A8%25E3%2583%25BC%25E3%2583%25AD%25E3%2583%2583%25E3%2583%2591/" class="keyword">ヨーロッパで意図された
>その過程が現在の状況だと思えます
>

加盟国の一つ一つを見れば、その様に見えなくも無いですが、
http://www.iza.ne.jp/izaword/word/EU/" class="keyword">EUは大きな連邦国家を作る過程にあるのだと思います。

>実験を進めるか、やめてhttp://www.iza.ne.jp/izaword/word/EU/" class="keyword">EUの崩壊を甘受するかの
>選択では?

近いうちにhttp://www.iza.ne.jp/izaword/word/EU/" class="keyword">EUが解消されることは無いでしょうが、
長いスパンで見ると、どうなるんでしょうかね。

ボルト | URL | 2011-10-13(Thu)00:17 [編集]


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