六丈記2

備忘録のようなもの

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

焼肉酒家えびす マスコミとリーク情報

 5月2日、石野浩平マネジャーは毎日新聞の取材に「2年前に食肉卸売会社から『ユッケ用に』と提案があり、(加熱用の)肉を提供してきた」と答えています(*1)。更に、フーズ・フォーラス社は食肉卸業者側がアルコールで殺菌し真空パックして納入するため、問題ないと考えていたと主張し、食肉卸業者からフーズ・フォーラス社に送られた「ユッケ用サンプルが出来ました」と書かれたメールをマスコミに公開しました(*2)。
 5月7日、NHKは店側が業者から「ユッケ用のサンプルができました」と書かれたメールの画像を写し出し、警察の合同捜査本部が押収したパソコンの記録などを分析して、肉の取り引きの実態について解明を進めていますと放送しました(*3)。
 同日、朝日新聞も「大和屋側から「ユッケ用のサンプル」を送付する趣旨のメールを受け取っていたことがわかった。富山、福井両県警の合同捜査本部は6日、このメールが交わされたとみられるパソコンを押収した。」と報道し、NHKのメール画像と同じ内容の画像を載せています(*4)。

 5月8日、テレビ朝日は食肉卸業者が「ユッケ用の肉だとするメール」を焼肉チェーン店側に送っていたことが分かり、警察は押収したパソコンや伝票などから契約実態などについても詳しく捜査する方針だと放送し、メール全文の画像を公開しました(*5)。

 5月9日にはイザのニュースでも「焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件で、チェーンを運営する「フーズ・フォーラス」(金沢市)に、肉を販売した卸元「大和屋商店」(東京都板橋区)が、食中毒防止の「トリミング」は必要ないとする趣旨のメールを送っていたことが9日、分かった。」、「合同捜査本部は再び家宅捜索を行い、検証を進める。」と書かれ、メール全文の画像が載せられています(*6)。

 

 この一連のメールのニュースからして、5月2日にフーズ・フォーラス社が公開したメールとは異なるメールが5月7日に発見され、5月8日にそのメールの全文が分かったものと思っていました。
 ところが、5月2日にフーズ・フォーラス社が公開したメールを調べてみると、そうではありませんでした。5月2日にマスコミ公開されたメール画像(*7)が下の画像です。

 

 見比べてみると、5月8日に分かったとされるメールと5月2日にマスコミ公開されたメールは全く同じ内容です。5月8日のメールが印刷された物の画像で、5月2日のメールはモニターの画像なのが違うだけです。
 つまり、マスコミは、5月2日にはメールの全文が分かっていたのです。
 5月7日に警察からメールの一部がリークされ、5月8日に全文がリークされたのでしょう。だから、印刷されたメール画像になったのだと思います。
 マスコミはリークを信用して、情報源を明かさず、初めて分かったような報道を揃ってしていましたが、この様な報道のやり方は新しい情報が出てきたと誤った印象を与えます。正確な報道を目指すならば、フーズ・フォーラス社が公開したメールの内容が警察の捜査情報で確認されたとすべきでしょう。

 

 去年の郵政不正事件の無罪判決後、検察のリーク情報を元に検察に都合の良いストーリーを書いたことに対して、マスコミからは自省の弁が語られました。もう、忘れてしまったのでしょうか。リーク情報である事を秘匿したまま、報道すれば捜査当局にうまく利用される危険性があるとの教訓を得たのではないですか。
 日米のマスコミの違いについて、現代ビジネスに「アメリカの新聞が内部告発者の匿名性を守ろうとするのに対し、日本の新聞は当局の匿名性を守ろうとする」(*8)と書いてあります。日本のマスコミはこの特徴から脱皮出来ないのでしょうか。

 

 ちなみに、フーズ・フォーラス社が公開したメールには「国産牛 和牛経産モモ赤身100%(スジ無し) ユッケ用のサンプルが出来ました。」、「ホルス経産とは違い和牛の血統でその上雌なので味があります。」と書いてありました。
 和牛経産とは出産を経験した和牛の雌を再肥育したものらしい。未経産牛に比べると、肉質が劣るとのこと。
 FNNのニュース(*9)では「ユッケを提供する「はっぷHOUSE」は焼き肉の世界で、ユッケを提供するには、『和牛経産』は絶対使ってはいけないし、常識では考えられない状況ですね」「サガミヤホールセールの石塚 敬太郎社長は(経産和牛は)食感も、ざらつきがある。(一般的に生食としては?)なかなか考えられないですね。おすすめはできないですね」、「ハンバーグ専門店「GEORGE V」は(ハンバーグでは)結構、『経産牛』というのを使っているお店が多いと聞いてますけど。ハンバーグとかメンチカツといったものだと思うんですけども。うちは、『経産牛』は使っていなくて、もっと質にこだわりたいと...。(当店は)『経産牛以外』のものを使っています」とのこと。良い肉ではないようです。

 

 焼肉酒家えびすではA3ランク以上黒毛和牛を提供していることになっているが、経産和牛を使っていることで、嘘だったことになるでしょうか。
 牛肉の格付け(*10)のアルファベットは歩留等級を表し、数字は肉質等級を表しているそうです。A3ランクとは歩留が標準より良く、4項目の肉質等級全てが標準以上の物になります。
 経産和牛にA3ランク以上は存在するでしょうか。「A3ランク 和牛経産」で検索すると存在していました。一般的ではないようですが。
 また、和牛のほとんどが黒毛和種なのだそうです。
 よって、経産和牛と知っていたからといって、「A3ランク以上黒毛和牛」と嘘をついていたことになりません。実際は交雑牛や廃用牛を提供していたのですが。
 フーズ・フォーラス社はこの問題発覚まで和牛以外が納品されていたとは知らなかった(*9)との事ですが、虚言ではなく無知だったということでしょうか。

------------------------------------------------------

*1:集団食中毒:食肉卸が提案…ユッケ用に「加熱用肉を提供」(毎日新聞5月2日)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110502k0000e040044000c.html
*2:集団食中毒 『えびす』と『卸業者』で食い違い(チューリップテレビ5月2日)
http://www.tulip-tv.co.jp/news/detail/?TID_DT03=20110502202315
*3:業者からユッケ用とメール(NHK5月7日)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110507/t10015747121000.html
*4:食肉業者、「ユッケ用」とメール 契約前に焼肉店側に(朝日新聞5月7日)
http://www.asahi.com/national/update/0507/OSK201105070026.html
*5:東京の食肉卸売会社 メールで「ユッケ用の肉」(テレビ朝日5月8日)
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/210507028.html
*6:過失どこに 集団食中毒、卸元が「トリミング不要」(イザ5月9日)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/506165/
*7:2年前から細菌検査せず えびす会見「企業体質甘かった」(北日本新聞5月3日)
http://webun.jp/news/A100/knpnews/20110503/37957
*8:「捜査する側」を匿名にする日本の新聞報道はアメリカでは通用しない(現代ビジネス2010年11月04日)
http://gendai.ismedia.jp/articles/print/1501
*9:焼き肉チェーン集団食中毒 大和屋商店から送られた肉に「和牛経産」の文字(FNN 5月10日)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00199114.html
*10:牛肉ランド
http://www.gyunikuland.com/siru/siru-bui.html

 

スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。