六丈記2

備忘録のようなもの

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焼肉酒家えびすのチラシより

 「焼肉酒家えびす」チラシの下部には「本物の美味しさと楽しさへのこだわり」として黒毛和牛、マイスター、食材、パートナーの欄があります。

 

 

 

 読み難いので一部を書き出します。

<黒毛和牛>
~略~A3ランク以上(デパートで販売されているお肉と同じくらい)のお肉を使用しており、「おいしさ、安全、安心」そして「手頃な価格」を目指しました。
<マイスター>
えびすには全店舗にお肉のマイスター(職人)がいます。~略~マイスターは、店内の仕込みや、お客様へお出しする肉の手切りを行います。~略~。
<食材>
お肉から付け合わせまで、食材には全てこだわりがあるえびすです。お肉は当日分を店舗で手切り。ドリップ(肉汁)を最小限におさえ、パサつきのないフレッシュなものをお出ししています。~略~。
<パートナー>
私達は人と人のつながりを最重点項目にしています。~略~毎日お店にきたら従業員同士で握手しながらあいさつするなど、様々なルールがあります。~略~お客様の存在を大切にしていきたいと考えています。

 

 「おいしさ、安全、安心を目指しました。」とありますが、実際は如何だったのでしょうか。
 まず、ユッケ用の肉の取り扱い状況を見てみます。
通常の食肉加工場(*1)

東京都板橋区の食肉販売業者が肉を500~600グラムごとに切り分け、表面などをアルコール殺菌したあと、真空パックに入れて出荷(*1)

焼肉酒家えびすの店舗の冷蔵庫で数日間保存(*1)

開封後、当日使う想定量を千切り(ユッケの形に)し、客に提供(*2)
ただし、大腸菌などを取り除くための肉の表面をそぎ落とす「トリミング」作業を省く(*3)

余った場合はアルコール消毒した容器に置いてラップするなどして冷蔵庫に保管。(*2)

翌日は古いユッケから順番に提供(*2)

 

 次に、肉の衛生状況についての認識。
食肉販売業者
●「あくまでも一般的な加工で、生食用ではない」(*1)
●「殺菌処理はしているが、完全に無菌にすることは不可能」(*1)
●「ユッケに使うことは聞いていた」(*4)
●「生食用でない肉をユッケに使うかどうかは、あくまで買った側の判断」(*4)
フーズ・フォーラス社
●「生食用ではないことを把握していたが、アルコール殺菌すれば安全だと思った」(*1)
●「(厚労省基準の)生食用は(仕入れ値が)高くなる。安全であれば、高いところから買うより、企業努力すればいいと考えていた。認識が甘かった」(*4)
●「衛生基準通りの生肉は値段が高い。ロープライスのためには、生食用は使えなかった」(*5)
●「もし法令上の罰則があれば、ユッケを780円(原文のママ、たぶん280円)で売ることや、販売自体を取りやめる判断をしたかもしれない」(*5)
●「卸売業者側から(生肉の)ユッケ用にいかがと提案されていた」(*6)
●「表面を削ると、もったいないという気持ちもあった。認識が甘かった」(*3)
フーズ・フォーラス社商品部
●「販売業者がアルコール殺菌した上で管理しており、生で食べても大丈夫だという認識だった」(*1)
フーズ・フォーラス社勘坂社長
●「卸売業者側から(生肉の)ユッケ用にいかがと提案されていた」(*6)
厚労省は基準で、生肉を提供する店に対し、肉のサンプルをとって細菌検査することを指導しているが、同社は2009年7月を最後に検査を行っておらず、「一度も陽性反応が出なかったので、肉に菌が付くことはないと思った」(*7)
●細菌検査をしなかったことについて、「管理状況に甘さがあった。被害にあわれた方々に深くおわびしたい」(*8)
●「生食用の牛肉は国内で通していない。本来は日本中の焼き肉店でユッケは提供されないことになる」(*8)
●「今後は生食用でない肉をユッケなどで提供することを国が法律で禁止するべきだ」(*8)
●生肉の提供が危険だと認識しながらも、販売をやめられなかった理由を「ユッケが、人気商品だったので。」(*9)
●「生食用に適さない肉を提供した」と一部で報じられたことについて「不適格な肉を販売したとは認識していない」 「業界の慣習です」「卸業者の加工場を社員が訪れ、肉を加工する過程を実際に確認するなどはしていない」(*10)
フーズ・フォーラス社石野浩平マネジャー
●卸売業者側から2度、アルコール消毒しているとの説明を受け、「安心だと考えていた」(*6)
●09年の契約以来、定期的な検査を実施していなかった点について、「そういう非はあったと思う。甘さと言えば甘さ」(*6)

 

 確かに、チェーンレストランにありがちなパックから出して盛り付けるだけではなく、チラシのように店員がブロック肉を切り分けていたようです。ただし、一度に切り分けられ、余ったら翌日に回されていました。チラシの「当日分を店舗で手切り」は嘘でした。それに、「フレッシュなものをお出ししています」ともありますが、この店の基準では前日に加工されたものでも「フレッシュ」と呼ぶようです。
 また、仕入れ価格を抑えるために生食用でない肉と認識しながら使用し、細菌検査を怠り、もったいないから菌を削ぎ落とすトリミングもせず、菌が増殖する可能性を無視して余り肉を使っていました。これがこの店の衛生に対する考え方です。この店の「安全、安心」とはこの程度のものでした。
 食品を扱う者の基本である衛生管理を疎かにしながら、「お客様の存在を大切にしていきたいと考えています」と聞いても、何も知らない素人が言い張っているように思えて、虚しいだけです。

 

 フーズ・フォーラス社側は当初、生食用の肉でなくともアルコール殺菌してあるので、生で食べても大丈夫と考えていたとの認識を示していました。本当にそう考えていたのではないでしょうか。だから、社長が「肉に菌が付くことはないと思った」と発言し、細菌検査もトリミングも必要ないと判断して、実施しなかったのではないでしょうか。ところが、意に反して食中毒が発生したことで、「認識が甘かった」との発言になったのだと思います。
 それが、生食用の牛肉は通していないと報道されると「当社だけではない」に変わります。この報道以前は「他社は生食用の肉を使っている」と思っていたのではないでしょうか。初めから生食用の牛肉が市場に無いことを知っていたなら、「ロープライスのためには、生食用は使えなかった」との言葉は出てこないでしょう。
 生食用を使っていなかった負い目が、生食用の牛肉を使用している焼肉店は無い事を知り、消えてしまったのだと思います。だから、「業界の慣習」とか「罰則があれば、ユッケの販売自体を取りやめる判断をしたかもしれない」と言い出し、問題は業界や行政にあるとの見解を示したのです。責任逃れの言葉とはいえ、罰則が無ければ衛生基準を守る必要が無いと言っているようです。罰則の有無に係わらず、安全な食品を提供する義務があるとは考えていないのでしょう。この会社のモラルはサラ金並なのかもしれません。


*1:「アルコール殺菌で大丈夫と思った…焼き肉店側」読売新聞(5月1日)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110501-OYT1T00246.htm
*2:「男児食中毒死亡 余ったユッケ翌日提供」北陸中日新聞(5月1日)
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20110502160416146
*3:「店側「もったいない」と肉表面そぎ落とし省略読売新聞(5月5日)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110504-OYT1T00719.htm
*4:「「生食用は高くなる」ユッケに加熱用使う…焼き肉店中毒死」読売新聞(5月2日)
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20110502-OYO1T00171.htm
*5:「ユッケ1皿294円…安さが看板だった焼き肉店」読売新聞(5月2日)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110502-OYT1T00290.htm
*6:「「業者提案でユッケに」店舗運営会社が説明」朝日新聞(5月2日)
http://mytown.asahi.com/toyama/news.php?k_id=17000001105020002
*7:「細菌検査せずユッケに…「菌つかないと思った」」読売新聞(5月2日)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110502-OYT1T01047.htm
*8:「焼き肉食中毒、社長「管理に甘さ」 金沢で会見」朝日新聞(5月3日)
http://mytown.asahi.com/areanews/ishikawa/OSK201105020086.html
*9:「ユッケは人気なので…業界全体で危険に目つぶる」読売新聞(5月3日)
*10:「焼き肉店集団食中毒:「業界の慣習」会見で強調 「生食」基準に罰則なく /福井」毎日新聞(5月3日)
http://mainichi.jp/area/fukui/news/20110503ddlk18040596000c.html
 

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