六丈記2

備忘録のようなもの

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韓国メディアが世界遺産の件でイコモスが韓国側の主張を支持したと報道

 「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産への登録に対する韓国の嫌がらせとも言えるロビー運動は執拗だ。朴槿恵大統領が自らユネスコ事務局長に「日本が一部施設で非人道的な強制労働が行われた歴史に目を背け、世界遺産への登録を申請した。世界遺産条約の精神に背き、不必要な対立を招く」などと訴えていたりもしていた。ロビー運動が功を奏したのか、ドイツが強制徴用の記念碑設置という仲裁案を提案している。そして今度はイコモスが韓国の主張反映して勧告を出したと伝えられていた。
 この勧告を報道したのは朝鮮日報で、23日に以下の記事を掲載していた。
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世界遺産対立:イコモス勧告案は韓国の主張反映
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/05/23/2015052300462.html
-「明治日本の産業革命遺産」に全ての歴史の記録を-
 日本政府が、1850年代から1910年代にかけ、九州を中心とする地域に建設された炭鉱や港湾、製鉄所など23カ所について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産への登録を申請している問題をめぐり、ユネスコ傘下の諮問機関「国際記念物遺跡会議(ICOMOS)」が「歴史の全ぼうを知ることができるような解釈を加える準備をするように」と日本政府に勧告したことが分かった。ICOMOSは今月15日、フランス・パリで行われた会議で、このような内容の勧告案を作成し、日本政府に伝えた。
 ICOMOSは、日本政府が対象となる23カ所の遺産について、一般市民が「歴史の全ぼうを理解できるような解釈を加える準備をするように」と勧告した。また「それぞれの場所が、日本の近代化の1段階、または複数の段階を反映する」という解釈を加える準備をすることも勧告した。
 ICOMOSは美術史学者や建築史家、地理学者など各界の専門家で構成されている。韓国側の交渉代表を務める外交部(省に相当)のチェ・ジョンムン文化協力担当大使は「日本が産業革命の成果だけでなく、その後に行われた強制徴用についても率直に認め、伝えていくべきだという韓国側の主張が反映された」と語った。ICOMOSは日本政府に対し、2017年11月までにこの勧告案に対する検討結果を提出するよう求めた。
==省略==
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世界遺産対立:イコモス、日本の過去隠ぺいに「待った」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/05/23/2015052300463.html
==省略==
 問題は、この23カ所のうち7カ所で太平洋戦争末期に強制徴用が行われたということだ。7カ所には長崎県にある三菱重工業長崎造船所第三船渠、ジャイアント・カンチレバークレーン、旧木型場と、高島炭鉱・端島炭鉱、福岡県にある三池炭鉱・八幡製鉄所などが含まれる。特に、「軍艦島」「地獄島」と呼ばれていた端島炭鉱では、朝鮮人・中国人鉱夫たちが少なくとも1000メートルの海底トンネルを掘っていき、一日12時間の厳しい労働を強要された。
 この7カ所のほか、山口県にある私塾「松下村塾」も日本人にとっては感慨深い場所だが、韓国人にとっては胸が痛む場所だ。満29歳にして江戸幕府に斬首刑に処せられた武士・吉田松陰がここで明治維新の立役者たちを育てた一方で、「朝鮮を征伐しよう」という「征韓論」を広めた所でもあるためだ。
 イコモスの勧告案で最も重要なのは、一般大衆が「歴史の全貌を理解できるように」と求めている部分だ。日本政府はこれまで「この23カ所はすべて1910年以前に建設されているため、日本の産業革命の成果を示すだけで、植民地支配や侵略とは何の関係もない」と主張してきた。日本の歴史の成果を示しているに過ぎず、その成果が他国の苦痛につながった「次の章」については目を閉ざしたのだ。韓国政府が「強制徴用の被害地が世界文化遺産になることに反対する」との見解を表明した後、菅義偉官房長官は「政治的主張を持ち込むべきでない」と述べ、公の場で不快に感じていることを表した。しかし、イコモスは韓国の方を支持した。
 イコモスの勧告はまた、「各所が日本の産業化の一段階、あるいは複数段階をどのように現しているのか強調する解析戦略を準備してほしい」と明記した。日本はこの23カ所を見てアジア諸国の中で唯一、産業革命に成功したと感じているが、その後に繰り広げられたのが侵略と収奪だという事実にも光を当て、記憶すべきだということを国際学界が認めたと解釈できる。イコモスはユネスコ傘下委員会の形式を取っているが、国際機関というよりも独立した専門学術団体という側面の方がはるかに強い。
 韓国側代表として交渉実務を担ってきた韓国外交部(省に相当)の崔鍾文(チェ・ジョンムン)ユネスコ文化協力大使は「日本の歴史的成果を否定しようというのではなく、植民地から連れてこられた人々が強制徴用の被害に遭ったという事実にも光を当てるべきだというのが韓国政府の一貫した見解だ。イコモスの勧告案は、国際社会が韓国の主張を妥当だと認めたことを意味する」と語った。
==省略==
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 ところが、共同通信が朝鮮日報の報道を否定する記事を掲載した。記事は日本語版には無く、韓国語版しかないので機械反訳したものを載せる。
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日政府、「イコモス追加勧告なかった」...朝鮮日報の報道「不正」
http://www.47news.jp/korean/korean_peninsula/2015/05/114825.html
 韓国の朝鮮日報は23日、世界文化遺産に登録される見込みである「明治(明治)日本の産業革命遺産」(福岡=福岡など8県)に、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が日本政府に「歴史の全貌を知ることができるようにする解釈戦略を「準備するように点を要求して追加の勧告をしたと報道した。複数の政府関係者はこの日、共同通信の取材に対し、「諮問機関から、そのような連絡は受けていない」と述べた。
 諮問機関である国際記念物遺跡協議会(イコモス)は4日、産業革命遺産を世界文化遺産に登録するようにユネスコに勧告した。しかし、韓国政府は、登載されている23個の施設のうち、7つの施設に朝鮮(した)半島出身者が強制徴用なっていたと登録を反対??。朝鮮日報はイコモスが15日に勧告を作成し、日本政府に伝えたと報道した後、「侵略と収奪であるという事実にも照明し、記憶しなければならないという点を認めた」と説明した。
 イコモスは4日公表した勧告文書で「各施設の歴史全体を理解できるように説明すること」が必要だと指摘、日本政府に2017年12月1日までの検討結果を報告するよう要請した。
 政府関係者は、この指摘に対して、「特別徴用の歴史を明示するように要求したとは考えていない」と述べた。その後も追加勧告や指示などはなかったという。
 日本側は、産業革命の遺産が対象とした時代は、1850年代から1910年までに、強制的に徴用があった時代とは異なっていると理解を要請している。
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 朝鮮日報は15日にイコモスの追加勧告が日本政府に伝えられたとしているが、日本政府関係者は無いという。どういうことだろうか。これを読み解くヒントが25日の東亜日報の記事にあった。
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ユネスコICOMOS「日本の施設、世界文化遺産の趣旨に合わない」
http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2015052532198
 朝鮮人強制徴用の施設が含まれた日本の近代産業施設のユネスコ世界文化遺産登録問題で、ユネスコの国際記念物遺跡会議(ICOMOS)が日本に否定的な歴史も含めるよう勧告しただけでなく、申請した施設が世界文化遺産の趣旨に根本的に合わないため、十分に内容を補完するよう勧告したことが明らかになった。
 このような内容は15日、ICOMOSがユネスコ世界遺産委員会(World heritage committee)のホームページに公開した「世界文化遺産登録の審査評価報告書」(計353ページ)の中で、日本の施設関連内容(88~102ページ)で確認された。報告書は、94ページで、「日本が提出した書類には、重工業、造船、炭鉱などのいくつかの産業施設で西欧から受容した『技術的な過程』だけが反映されているが、産業技術がもたらした複雑で広範囲な社会・政治的変化を提示できていない。資料を十分に補完する必要がある」と指摘した。
 ユネスコは、「産業革命の遺産」の定義を「社会・政治的変動だけでなく、大学を設置し、通信網や鉄道、海上運送を可能にするなど、社会・教育・医療などで古い封建システムを倒すことに影響を与えた施設」と定義している。このような定義により、報告書は、「日本が申請した施設は、産業革命の全体的な段階(full scope of the Industrial Revolution)を含んでいないと判断される」と強調した。
 そして末尾に、日本政府に対して「歴史の全貌を理解できるように」注文し、朝鮮人の徴用など否定的な歴史を盛り込むよう求めただけでなく、果たして該当施設を世界文化遺産と見ることができるのかという根本的な疑問を投じたという点で論議が予想される。
==省略==
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 これから推測すると、真相はこういうことだろう。
1)5月4日、イコモスが「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」との名称で世界遺産一覧表に記載することを勧告。同時にイコモスは、資産の保全措置計画の策定や構成資産がOUV(顕著な普遍的価値)に貢献していることの説明計画の策定などについて配慮を求め、進捗状況の報告を2017 年12 月1日までに提出するよう推奨する。
2)5月15日、イコモスが5月4日に通達した勧告文をホームページ上で公開。
3)朝鮮日報がホームページ上に公開された勧告文を15日に新たに出された勧告と勘違いし、「パリで行われた会議で、このような内容の勧告案を作成し、日本政府に伝えた。」と創作。
4)イコモスが勧告文中で説明計画の策定を求めていることについて、朝鮮日報がチェ文化協力担当大使に意見を求める。チェ文化協力担当大使は韓国側の交渉代表にもかかわらず、5月4日に通達された勧告文の内容を知らなかったため、朝鮮日報の新たな勧告で説明計画の策定を求めたという説明を真に受け、「日本が産業革命の成果だけでなく、その後に行われた強制徴用についても率直に認め、伝えていくべきだという韓国側の主張が反映された」と、さも4日のロビー活動の成果のように答える。
5)チェ文化協力担当大使の解説もあってか、朝鮮日報が説明計画の策定の意味について「侵略と収奪だという事実にも光を当て、記憶すべきだということを国際学界が認めた」と勝手に解釈し、イコモスが韓国を支持したと妄想を膨らませる。
6)共同通信が朝鮮日報の記事の裏取りのために日本政府関係者に取材し、虚報だということが判明する。

 韓国メディアによると、イコモスは勧告文を15日に公開したそうだが、福岡県は4日の内にホームページ上で勧告原文(英語)と内閣官房報道発表資料を掲載していた。内閣官房もプレスリリースを出し、サイトにも掲載しているから、勧告内容は早々に知れ渡っていたのである。韓国はこれに並々ならぬ関心を示していたのだから、韓国政府や韓国メディアはイコモスがホームページ上で公開する前に知っていて当然な筈。ところが、この一連の反応を見てみると、韓国側は内容を十分に検討することなく、ただ自分の主張を押し付けることだけに汲々としているのが見て取れる。声闘という文化を持つ朝鮮民族らしい行動だ。

 東亜日報は勧告文の94ページに言及しているので、その部分を原文から抜き出す。
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The nominated series reflect only technological progress, related to some industries in a specifically Japanese context. It does not address the wider transformation to society brought about by that technology. Nor does it address the complex, sweeping social and political changes that were the pre-requisites for industrial progress and which were undertaken with astonishing speed such the abandonment of the old class system, the opening of universities, the construction of telegraph and railway lines, and the development of shipping lines.

In these circumstances, ICOMOS does not consider that the series reflects the full scope of the Industrial Revolution. To do that the emphasis would need to be broadened to cover more social aspects, such as workers’ housing,schools,hospitals, etc., other industries, and the impact of industrialisation on both rural and urban landscapes and their societies.

Given that the State Party has indicated that it wishes to explore further industrial nominations, it would seem preferable if each of such nominations could be focused on certain aspect of the overall industrial revolution, whether historical, geographical, social or technical.
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 これを和訳するとこうなるだろうか。
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候補に挙げられた資産群は、特に日本の文脈におけるいくつかの産業に関連した技術進歩だけを反映している。それは、その技術によって社会にもたらされた広い変化を扱っていない。また、産業発展のための前提条件である広範囲に及ぶ社会的、政治的変革や驚異的なスピードをともなった旧階級制度の放棄、大学の開校、電信と鉄路の建設、海運開発等が着手されたことの複合体を扱っていない。

このような状況において、イコモスは資産群が産業革命の全範囲を反映すると考えない。そうするために重要視するのは、労働者住宅、学校、病院などや他の産業、地方と都市の風景とそれらの社会の両方における工業化の影響のようなより社会的側面をカバーするために広げる必要があるということである。

締約国がさらに産業のノミネートを探ることを望んで示すならば、そのようなノミネートの各々が歴史的、地理的、社会的、技術的において全体的な産業革命の特定の側面に関心を集めることができるとしたら、それが望ましい。
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 この部分をもって東亜日報は「該当施設を世界文化遺産と見ることができるのかという根本的な疑問を投じた」と書いているが、イコモスが世界遺産リストに登録するよう勧告していることを考えれば、明らかな間違いだということが分かる。東亜日報の願望であり、妥当性は無い。

 世界遺産に登録されるには、「顕著な普遍的価値(Outstanding Universal Value)」を有していると認められなければならいが、そのためには評価基準の内の一つ以上を満たされていると証明されればよい。
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世界遺産の評価基準
(i) 人間の創造的才能を表す傑作である。
(ii) 建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値感の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。
(iii) 現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である。
(iv) 歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。
(v) あるひとつの文化(または複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの
(vi) 顕著な普遍的価値を有する出来事(行事)、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的関連がある(この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。
(vii) 最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。
(viii) 生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。
(ix) 陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。
(x) 学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する。

(i)から(ⅵ)は文化遺産、 (ⅶ)から(ⅹ)は自然遺産に適用される基準です。
文化遺産の場合は、完全性及び真正性を備えたうえで、国内法で保護されている必要性もあります。
 ※ 完全性とは、その物件の「顕著な普遍的価値」を証明するために必要な要素が全て揃っていること等を指します。真正性とは、特に文化遺産について、そのデザインや材質、機能等が本来の価値を有していること等を指します。
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 イコモスは、評価基準(iii)の正当性は証明されていないとしたものの、評価基準(ii)と(iv)について正当性が証明されたとし、完全性及び真実性の条件も満たされているとした。
 ただし、以下のことについての配慮も求め、2017 年12 月1日までに進捗状況を世界遺産センターに報告することを推奨している。
・ 端島炭坑について、優先順位を明確にした保全措置の計画を策定すること。
・ 推薦資産及びその構成資産に関する優先順位を付した保全措置の計画及び実施計画を策定すること。
・ 資産への悪影響を軽減するため、各構成資産における受け入れ可能な来訪者の上限数を定めること。
・ 推薦資産及びその構成資産の管理保全のための新たな枠組みの有効性について、年次ベースでモニタリングを行うこと。
・ 管理保全計画及び地区別保全協議会での協議事項・決議事項の実施状況について、年次ベースでモニタリングを行うこと。
・ 各構成資産の日々の管理に責任を持つあらゆるスタッフ及び関係者が、能力を培い推薦資産の日常の保全、管理、理解増進について一貫したアプローチを講じられるよう、人材育成計画を策定し、実施すること。
・ 推薦資産に関する説明(インタープリテーション)の計画を策定し、各構成資産がいかにOUVに貢献し産業化の1又は2以上の段階を反映しているかを特に強調すること。また、各サイトの歴史全体についても理解できる計画とすること。
・ 集成館及び三重津海軍所跡における道路建設計画、三池港における新たな係留施設に関するあらゆる開発計画及び来訪者施設の増設・新設に関する提案について、「世界遺産条約履行のための作業指針」に沿って、審議のため世界遺産委員会に提出すること。

 朝鮮日報は、説明の計画を策定の部分に着目し、イコモスが「各所が日本の産業化の一段階、あるいは複数段階をどのように現しているのか強調する解析戦略を準備してほしい」と明記したと書いて、「その後に繰り広げられたのが侵略と収奪だという事実にも光を当て、記憶すべきだということを国際学界が認めたと解釈できる。」と言っているが、曲解としか言いようがない。
 「明治日本の産業革命遺産」は1853年から1910年までの短期間で急速な産業化を達成したことを示し、3つの段階に分けている。第一段階は1850年代から1860年代前半の幕末期、第二段階は明治時代初期から1870年代前半の西洋技術導入期、第三段階は明治後期(1890~1910年)の産業化達成期である。よって、「産業化の1又は2以上の段階」という中に日韓併合以降の事は含まれないのは明らかで、構成資産が産業化の段階での貢献度を強調しろと言っているに過ぎないのだ。



 今回登録されれば、2013年の「富士山」(山梨県、静岡県)、2014年の「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬県)に続いて3年連続となる。韓国が日本の世界遺産登録を邪魔したいだけであれば、富士山や富岡製糸場にも反対していた筈だ。しかし、それは無かった。今回これ程度までに執拗なのは、「明治日本の産業革命遺産」を構成する資産の中に朝鮮人労働者が関係しているからだ。
 韓国政府は「植民地時代、わが国民が強制徴用されたつらい歴史を持つ施設を世界遺産に登録することは、人類の普遍的価値を持つ世界遺産を保護するという世界遺産条約の基本精神に反する」と主張し、徴用がまるで「人道に対する罪」かのように言う。朝鮮人が徴用されたのは、本土の人間と同様に日本国民としての義務が課せられただけにもかかわらず。結局これも歴史認識問題なのだ。
 徴用は戦時下の労働力不足を補うために行われていたもので、他国でも実施されていた。特別な事ではない。徴用は奴隷労働ではなく、給与が支払われており、終戦の混乱による朝鮮人労働者に対しての未払い給与についても1965年の日韓請求権・経済協力協定で解決済みとなっている。徴兵で戦地に行かされるより徴用で工場等に行かされる方が、生命の危険が低い分だけましではないか。
 そもそも、韓国側が主張している「明治日本の産業革命遺産」の7施設で朝鮮人5万7900人(高島炭鉱4万人、三井三池炭鉱と三池港9200人、長崎造船所4700人など)が強制動員され、94人は死亡し、5人の安否が確認されていないというのは、本当なのだろうか。国民徴用令が制定されたのは1939年だったが、朝鮮に適用されたのは1944年9月からであり、朝鮮人徴用労務者の本土への派遣は1945年3月までの7ヶ月間だった。こんな短い期間に6万人弱を朝鮮から動員するのは可能だったのか。疑問に思わざる得ない。

 中央日報は5月14日にこんな記事を掲載している。
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600人連行された端島炭鉱…病気・変死・事故で122人死亡(1)
http://japanese.joins.com/article/337/200337.html?servcode=400§code=410
「イ氏〔当時22歳、慶尚南道固城郡(キョンサンナムド・コソングン)〕。1927年12月26日午後7時10分、長崎県端島炭鉱坑内で圧死」。
「別のイ氏〔当時36歳、慶尚南道晋州市(チンジュシ)〕。1929年1月5日午前5時30分、坑内で溺死」。
日本がユネスコ世界文化遺産の登録を推進する端島炭鉱で、強制労働をさせられた朝鮮人がどんな生活を送っていたのかを物語る資料が出てきた。国務総理室所属の「対日抗争期の強制動員被害調査および国外強制動員犠牲者の支援委員会(支援委)」が作った「死亡記録を通じてみた端島炭鉱強制動員朝鮮人の死亡者被害実態基礎調査」だ。日本の市民団体「長崎在日朝鮮人の人権を守る会」などが探し出した死亡記録を基に作った報告書だ。
13日、この報告書によれば端島炭鉱には朝鮮人600人が連行されて122人が死亡した。およそ5人に1人が亡くなったことになる。このうち17歳以上の92人について死亡原因を分析した。病気が28人で最も多く窒息・溺死のような変死が24人、炭坑事故が17人だった。報告書を書いたユン・ジヒョン調査官は「病気は悪条件の中でまともに食べることができずに長時間労働をして、栄養不足のためにかかった」としながら「溺死の場合、島から逃げて海におぼれたケースもあると推定される」と話した。
報告書は、生き残って光復(解放)後に故郷に帰ってきた生存者の証言も載せている。キム氏〔89、慶尚南道宣寧郡(ウリョングン)〕は、「坑道の中は立てないほど狭くて温度が45度を超えた」として「労役中に石が落ちて頭が割れ、時々上から転がり落ちてきた石に当たって死亡する人もいた」と伝えた。
「1日12時間ずつ働き休憩時間は何分も与えられず、ひどい鞭打ちをされる時が多かった」(モ氏、94、慶尚南道晋州市)、「炭鉱が崩れる事故が多く、死ぬ人が多かった。多くの人が逃げようとしたが、ほとんどが捕まって激しい拷問にあった」〔チャン氏、90、忠清北道槐山郡(チュンチョンブクド・クェサングン)〕などの証言も出てきた。
支援委のパク・イヌァン委員長は「日本は近代文化遺産だと主張するが、韓国の立場からみれば強制労働と収奪の現場」としながら「暗い過去を棚上げしたままユネスコ文化遺産に登録されないように、真実を捜し出して伝え続ける」と話した。
端島炭鉱は日本の南西側の島にあり、三菱が運営していた。海水面から1000メートルまで掘り下げた。島が軍艦のように見えることから「軍艦島」とも呼ばれ、犠牲者が多かったことから「地獄島」とも言われた。
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 1927年と1929年に死亡した朝鮮人の例を挙げているが、国民徴用令が制定される10年以上前のことだ。彼らが徴用されたのではないことは明らかだ。
 当時、炭鉱は危険で重労働の職場だったが、高給でもあった。それに、会社が衣食住の面倒をみていたので、食い詰めて金を持たない者にとっては、勤めたその日から生活が保障される都合のいい職場でもあった。だから、キツイ職場であっても多くの人が集まった。そのように坑夫になった人の中には朝鮮人も多くいただろう。たぶん、前述の2人はそうした人なんだと思う。
 とはいっても、タコ部屋労働が存在した時代でもあったから、中には劣悪な条件でありながらも辞める事が出来ずに働かなければならない例もあったかもしれない。ただそれは、朝鮮人に限ったことではない。斡旋業者らが行っていたことで、国家が強制したとは言えないだろう。

 中央日報は、徴用されたとは思えない例を挙げ、朝鮮人が連行されたと書いている。韓国政府が主張する5万7900人の強制徴用もこのようなものではないか。
 岸田文雄外相は「(遺産の)対象とする年次は1850年代から1910年だ。韓国が主張しているような朝鮮半島出身の旧民間人徴用工問題とは対象とする年代も歴史的な位置付け、背景も異なる」と反論するが、韓国政府が主張する根拠を糾すべきではないか。


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1 イコモスの評価結果及び勧告の内容
http://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/icomos-kankoku.html
内閣官房報道発表資料 [PDFファイル/144KB] 
http://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/9293.pdf
イコモス勧告原文 [PDFファイル/502KB]
http://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/9301.pdf
世界遺産の評価基準
http://www.kyouikuisan.jp/worldheritage/kijyun.html
世界遺産目指す日本の産業施設に約6万人強制徴用=韓国
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/04/03/2015040301431.html

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ベン・E・キング死去

** 「スタンド・バイ・ミー」のベン・E・キングさん死去 **
http://www.oricon.co.jp/news/2052420/full/
 名曲「スタンド・バイ・ミー」などで知られる米R&B界の大御所、ベン・E・キングが死去していたことが5月1日、わかった。76歳だった。関係者が英BBCに明らかにした。
 関係者によると、きのう4月30日に死去。キングさんは1938年米ノースカロライナ州生まれ。58年にザ・ドリフターズに加入し、「セーブ・ザ・ラスト・ダンス・フォー・ミー」などがヒットした。
 その後ソロに転向し、61年の「スタンド・バイ・ミー」が大ヒット。同曲は元ザ・ビートルズのジョン・レノンら数々のアーティストがカバーしたことでも知られる。
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 ベン・E・キングの代表曲は「スタンド・バイ・ミー」ですが、「ムーン・リバー」もカバーしていました。



 ムーン・リバーは名曲だけに様々なシンガーが歌っています。この際だから、ベン・E・キングのムーン・リバーと聞き比べてみましょうか。
 オードリー・ヘップバーン、ルイ・アームストロング、アンディ・ウイリアムス、フランク・シナトラ、サラ・ヴォーンの順になっています。










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Ben E. King - Stand By Me (HQ Video Remastered In 1080p)
https://www.youtube.com/watch?v=dTd2ylacYNU
07 Moon River Ben E. King
https://www.youtube.com/watch?v=_jpR4CzCn5g
ムーン・リバー by オードリー・ヘップバーン
https://www.youtube.com/watch?v=vnoPke8tlAs
Louis Armstrong - Moon River
https://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=ZTNd4FkLb3Q
Moon River - Andy Williams
https://www.youtube.com/watch?v=L_jgIezosVA
Frank Sinatra - Moon River
https://www.youtube.com/watch?v=vJgGs9WpGt0
Sarah Vaughan - Moon River
https://www.youtube.com/watch?v=JBdWr7gmTbU

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駐韓米大使襲撃事件

*** 取り押さえられ「テロをやった」=飛び交う悲鳴、流れる鮮血-韓国 ***
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2015030500286
 【ソウル時事】5日午前7時40分ごろ、突然悲鳴、怒声が響いた。リッパート駐韓米大使は、刃物で切り付けられ、鮮血が流れる顔を押さえ、病院に。警察が駆け付けるまでの数分、犯人の男(54)はうつぶせに取り押さえられたまま、「独島(竹島)は韓国領土」「米軍のやつらはなぜこの地で戦争訓練をするのか」などと叫んだ。
 男は2010年7月に当時の重家俊範駐韓大使に投石し、懲役2年、執行猶予3年の有罪判決を受けた。今回の事件では現場で「あのときはテロではなかった。今回はテロだ」と大声で訴えた。
 午前7時半から朝食会を兼ねた講演会が始まる予定だったが、大使は5分ほど遅れて到着。周囲の出席者と名刺交換などをしていたとき、7~8メートルほど離れた席に座っていた男が早足に近寄り、犯行に及んだ。白いテーブルクロスには、多数の血痕。事件後も会場に残っていた米大使館関係者は「大丈夫だと思う」と言いながら、厳しい表情で電話をしていた。
 警察は周囲に警察官や機動隊員ら28人を配置していたと発表したが、関係者によると、取り押さえたのは周囲の出席者らだった。主催者の対北朝鮮支援団体「民族和解協力汎(はん)国民協議会」の関係者は「これまで閣僚らもゲストに呼んだことがあったので…」と言葉少なに語り、警備が不十分だったことを認めた。(2015/03/05-11:00)
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*** 駐韓米大使が切られ負傷…容疑者、握手求め接近 ***
http://www.yomiuri.co.jp/world/20150305-OYT1T50010.html
 【ソウル=吉田敏行】5日午前7時40分頃、ソウル市中心部で朝食会に出席していたマーク・リッパート駐韓米大使(42)が会場で男に果物ナイフで切りつけられ、右ほおと左手首を負傷した。
 男はその場で取り押さえられ、警察はキム・ギジョン容疑者(54)を現行犯逮捕したと発表した。
 リッパート大使は近くの病院に搬送された。命に別条はないという。キム容疑者は逮捕された後、「戦争訓練反対」と叫んだといい、今月2日に開始された米韓合同軍事演習への反発が犯行の動機とみられる。
 事件現場は、米大使館近くにある文化施設「世宗文化会館」。南北統一運動を展開している市民団体が主催した朝食会で、リッパート大使は「朝鮮半島平和と統一、韓米関係発展の方向」と題したテーマで講演予定だった。
 目撃者によると、キム容疑者はリッパート大使の二つ隣のテーブルに座っていた。握手を求めて近づき、立ち上がった大使に長さ約25センチのナイフで切りつけたという。出席していた女性は、「(キム容疑者が)立ち上がったと思ったら、速足で大使に近づいた」と話した。大使が座っていた主賓席は、白いカバーが血で染まり、血痕は会場の外にまで続いていた。
 キム容疑者は、2010年7月、ソウルで重家俊範・駐韓日本大使(当時)の講演中にコンクリート片を投げ、刑法上の外国使節に対する暴行などの罪で有罪判決を受けた人物。警察関係者によると、島根県竹島(韓国名・独島)の領有権を主張する団体に所属し、日本大使館前でも抗議を行ってきた。キム容疑者の知人の男性によると、同容疑者は「オバマ大統領は就任前、北朝鮮問題を平和的に解決すると言っていたが、就任後は圧力を強めている」と不満を述べていた。
 事件当時、会場には約200人の参加者がいた。主催者側によると、キム容疑者は朝食会への参加を事前申請していなかったが、当日会場を訪れたため、入場を認めたという。出席者によると、警備員による持ち物検査はなく、受付で記名すれば入場できたという。
 韓国外交省報道官は事件について「衝撃を禁じ得ない」とする声明を発表。「我々の最も重要な同盟国である米国の大使に対して行われた点を深刻に受けとめる」と指摘した。
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 記事中にあるように、犯人の金基宗(キム・ギジョン)は2010年7月に重家俊範・駐韓日本大使も襲撃している。昨年9月には「独島とわれわれ、そして2010年」という本も出版し、ハンギョレ新聞のインタビューも受けていた。

*** 独島(ドクト)愛がまもなく民族統一運動 ***
http://www.hani.co.kr/arti/culture/book/654640.html
日本大使に石投げ処罰されたキム・ギジョン「独島を守る」隊長「庚戌国辱100年」迎え、「南北一つされて独島守らなければならない」

 「分断された南北が一緒にその日を記憶し、自粛しつつ再びそのような痛みがないように念押しするには「国恥日」程良い日がない。しかし、国を失った日の100年のイベントを賑やかに行っても、国恥日は忘れてしまったようだ。」
 キム・ギジョン(54・写真)、「我々の庭、独島を守る」隊長が8/15と国恥日(日韓併合条約が発効された8月29日)に合わせて「独島とわれわれ、そして2010年」(書籍出版我々の庭社発行)を刊行した。去る3日、ハンギョレ本社で会った彼は、この本は「本格的な本というよりは独島を守るを創立した経緯と現状、テロ容疑で懲役刑を受けた2010年の事件を簡単にまとめた一種の白書」と述べた。
 「2010年の事件」とは、その年の7月に任期を終えて去る前に「韓日共同繁栄」をテーマに特別講演をした重家俊範専任在韓日本大使にキム隊長が直径約10cmと7cmのコンクリート片を投げつけた容疑(外国使節暴行)で懲役4年の求刑を受け、懲役2年、執行猶予3年の刑を受けた事件である。
 「そもそも日本大使を傷つけるつもりは全くなかった。質疑応答の時間に『独島を竹島と呼びながらどうして北東アジアの平和や日韓共同繁栄を話すことができるかと話してくれ』と質問している途中にマイクを奪われて引っ張られて行く瞬間、偶発的に起こった事件である。石を持って行ったのは、大使にその石見せ、日本が独島を指す竹島が、このような石でできた島なのに、どうして竹が育った言えるのかという話をするためだった。」
 警護要員らに強制的に引き離されて行きながら投げた石が日本大使館の女性職員の手に当たって軽い傷を負わせた。キム隊長は韓国検察の調査でテロリストにされ、裁判所もその容疑を認めた。「50数日ぶりに拘束状態から解放され、活動に相当な制約を掛けられた執行猶予期間は、昨年11月に終わった。その時から本格的な活動を再開し、本の出版を準備した。光復70年になったが、日韓関係は、100年前と特に違いがないようだ。今、韓日関係は表面上揉めているようだが、米国を背景にした日韓癒着は朴正煕時代を凌駕するようだ。私の事件が今の二国関係を象徴する。日本の外交官と関連した刑事訴訟で有罪判決を受けたのは、私の事件が初めてである。」
 「我々の庭」は、大学の法学部に通っていた彼が司法試験への未練を果敢に捨て去り、1982年に設立された社会活動団体だ。84年に公式に発足した後、同年11月の光州事件の真相究明を要求する5つの大学の学生自治屋舎占拠事件、大学学生会直選制獲得などを主導したが、活動の主力は、我々の民族の伝統文化芸術を蘇らせて守ることだった。開城地方の民俗遊びである「萬石の遊び」などを復元し、研究会も作り、80年代半ばチョン・テイル記念文化行事と民謡研究会の活動にも貢献した。記者OBらの集まりである東亜自由言論守護闘争委員会・朝鮮自由言論守護闘争委員会の人たちの日刊紙(ハンギョレ)創刊議論にも参加し、ソウル永登浦区楊坪洞でハンギョレが発足したときにテストを務めたのも我々の庭だった。
 2006年に日本の島根県が竹島の日を制定すると、キムさんは仲間6人と一緒に本籍を慶北鬱陵郡独島里38番地に移し「独島を守る」を作った。以降、独島芸術祭、独島の韓国語命名行事などを開いて独島愛運動を続けてきたキムさんは「独島愛運動は即ち民族統一運動」と話す。「独島こそ南と北が口をそろえことができる共通の関心事であり、南北が一つになることで初めて独島をきちんと守ることができ、これを通じて統一に進むことができるから」と彼は「独島活用」論を熱心に説いた。
 文・写真ハンスンドン選任記者 2014.09.10
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 キム・ギジョンは重家日本大使襲撃事件について
●日本大使を傷つけるつもりはなかった。
●連行される途中に起こった偶発的事件。
●石は、このような石の島で竹が育つ訳が無いと言うため。
 との内容を述べているが、実際は全く違う。FNNが日本大使を襲撃する様子を放送している。

ソウルで米大使が切りつけられけが 連行の男は日本大使にも石(15/03/05)


 キム・ギジョンは、書類を司会に渡すことが目的であるかのように見せかけて壇上に近づき、近距離から大使に向かってコンクリート片を投げつけ、転倒。立ち上がって、逃げる大使に再度コンクリート片を投げつけ、SPに取り押さえられている。
駐韓大使襲撃
 連行される途中に投げつけた訳でもないし、追いかけて投げつけて怪我をさせようとしている。書類を渡す偽装をしているので計画的な犯行であり、決して偶発的事件ではない。大体、コンクリートを持ち出して石で竹が生育するのかと言うこと自体、無理があり過ぎる。
 キム・ギジョンの説明は、事件後の陳腐な言い訳に過ぎないが、ハンギョレ新聞の記者も鵜呑みにしている。映像が残っていても関係ないらしい。韓国は「言った者勝ち」社会だからこんな陳腐な言い訳でも通るのか。

 キム・ギジョンはこの重家日本大使襲撃事件の調べで「安重根のように歴史に名を残したかった」と語ったという。たぶん、これが本当の犯行動機だろう。
 韓国では、安重根が果たした歴史的役割の詳細な分析無しに伊藤博文を暗殺したということで歴史的英雄に祭り上げられている。犯罪を繰り返し、ついには暴力団員を射殺して人質事件を起こしておきながら全ては在日差別せいだと居直った金嬉老でさえ英雄だった。日本に異議を申し立て日本人を殺害すれば英雄とみなす土壌がある韓国だから、竹島のことで日本大使という重要人物に天誅を加えれば英雄になれると単純に考えていたとしても不思議ではない。
 実際この事件発生後、韓国ネット上では、「暴力行為はお互いを傷つけるだけ」との否定的な意見がある一方、「英雄だ。政府が何もしないからこういうことになる」というような肯定的な意見も数多くされていたようだ。
 韓国メディアは犯行を非難したものの、日本にも非があるかのように書いていた。例えば、ハンギョレ新聞は社説でこう書いていた。
*** [社説] 日本大使に対する‘投石攻撃’ 誤りだ ***
http://jpwwwtest.hani.co.kr/arti/opinion/5398.html
~省略~
 外交使節に対しこのような形で暴力を行使することは如何なる理由ででも穏当でない。逆に我が国の外交官が外国で同様なことに遇う場合を考えてみれば簡単にわかる。古今東西を問わず外交官に対する物理的攻撃は禁物だ。外交官個人ではなく、その国に対する攻撃と受けとられ思わぬ事態を誘発しかねないためだ。偶然にもこの日、日本大使の講演の題名は ‘韓-日新時代、共同繁栄を指向して’ であった。
 投石した人は ‘ウリマダン(私たちの広場)独島守り’ という文化団体の代表で、日本による独島領有権主張に継続的に抗議してきたという。彼の話のとおり、日本は独島問題で挑発的態度を示した。重家大使が在任した過去3年間に独島問題が外交懸案として持ち上がった場合だけでも4回にもなる。その上、駐韓日本大使館のホームページにはハングルで「竹島は歴史的事実に立ってみても、国際法上からも明白に日本固有の領土…」と記されており、韓国人の怒りを買っている。独島問題に対する日本側の態度は昨年、韓-日新時代を掲げた民主党政権になった後にも全く変わらなかった。
~省略~
 しばしば日本を近いながらも遠い国と言う。両国政府の積極的努力なしでは関係改善に限界があると言わざるを得ない。特に過去の問題について日本側の前向きな態度が切実に要求される。今回の事件は明らかに誤りだが、既存のわい曲された枠組みを固着させる口実となってもならない。
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 韓国社会は「日本=悪、韓国=善」という構図が絶対の社会だから、一方的に自分達に非があるとは認められないのだろう。そもそも、自国の認識に誤りがあるとの発想にならないのかもしれない。韓国社会の一般的な見方は、「手段は悪かったが原因は日本にある」だったのではないだろうか。
 こういう社会だから、キム・ギジョンが社会的制裁を受けることは無かっただろう。有罪にはなったが、執行猶予が付き、実質的に処罰は受けなかった。もし、実刑になっていたり、社会から袋叩きにあっていれば、リッパート大使は襲撃を受けなかったかもしれない。

 キム・ギジョンの弟キム・ギチャン氏は、中央日報に以下のように語っている。
*** <駐韓米大使襲撃>容疑者の弟「兄は社会で認められず過激に」 ***
http://japanese.joins.com/article/366/197366.html?servcode=400§code=430
~省略~
キム・ギチャンさんは5日、中央日報との電話で、「兄とは4、5年以上会っていない。電話も4、5年ほどしていない」と疎遠な関係であることを明らかにした後、「私は生活に追われ、兄とは考えが違う。兄はそれを超越し、自分が国のために仕事をしようということ」と述べた。
~省略~
弟キムさんはその兄について、「雀が孔雀の志についていけないように、私は兄の高尚な考えについていけない」とし「長男にもかかわらず家族の世話をしなかった」で不満を吐露した。また「普通、長男はそのようなとんでもない行動はできないものだ。長男だからといって優遇されて育ったが、結果的にすべての負担は他の兄弟に押しつけ、本人は自分の考えばかり追って生きている」と話した。
~省略~
当時、重家大使は避け、大使館の女性通訳が手をけがした。これに関し弟のキムさんは「(兄の行動が)社会で認められて受け入れられればどれほどよいだろうか」とし「本人は何かを見せようとするが、人に認められないため、さらに過激なことをしたのではないかと思う」と遺憾も表した。しかし犯行の過程について「兄は身体が活発な年齢でもないが(米大使の)警護員は何をしていたのだろうか」と疑問を提起したりもした。
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 元々キム・ギジョンは、論理的に考えることが出来ず、感情で行動するタイプなのだろう。また、承認欲求(社会に認められたいという願望)が人一倍強く、自分勝手なんだと思う。だから、韓国社会の風潮に迎合し、注目を集める行動をするのだと思う。
 しかし、重家日本大使襲撃事件を起こしても、実社会では何の恩恵も受けず、キム・ギジョンの願望は満たされなかったようだ。

 様々な報道によると、キム・ギジョンはリッパート大使に挨拶に行く振りをして近づき、いきなりリッパート大使を倒してから斬りつけて傷を負わせ、周りの居た人達に取り押さえられたらしい。偽りの行動をもって近づき、一挙に加害におよぶというのがキム・ギジョンの手口のようだ。ちなみに、リッパート大使は、右頬に長さ11cm深さ3cmの傷を負い、左腕にも防御創(5カ所)を負ったとのこと。左腕の傷は尺骨神経損傷、じん帯2ヶ所裂傷、3cmの貫通傷で、右頬の傷も1~2cm下に達していたら頸動脈を傷つけるところだったと、病院側が発表している。
 キム・ギジョンは重家大使に傷を負わせることが出来なかったことに教訓にしたのか、今度はリッパート大使を倒して逃げられないようにして凶行におよんでいる。止められるのが遅ければ、殺害に至っていたかもしれない。刃渡り25cmの刃物を用意していていることからして、本気で殺害するつもりだったか。
 キム・ギジョンは、重家大使襲撃事件の時は偶発的に起きたもので犯意はなかったと言い訳し、今度も同様の言い訳をしているらしい。
*** [米大使襲撃]キム・ギジョン代表「リッパート大使に申し訳ない・・・恐怖だけ与えようとした」 ***
http://news.naver.com/main/read.nhn?oid=003&sid1=100&aid=0006388527&mid=shm&mode=LSD&nh=20150305192318
【ソウル=ニューシス】ナ・ウンチェ記者
 マーク・リッパート(42)駐韓米国大使を襲ったキム・キジョン(55)我々の庭、独島を守る代表が5日、「リッパート大使に申し訳ない」と言ったと伝えられた。
 警察の調査に立ち会ったキム氏の弁護士によると、キム氏は「大使に申し訳ない。個人的な感情を持っているわけではない」とし、「傷をつけるつもりはなかった恐怖だけを与えようとした」と述べた。
 また、「リッパート大使の傷がそんなに深いとは思わなかった」とし、「米国に警鐘を鳴らそうとしただけ」と明らかにしたことが分かった。
 キム氏の弁護士は、キム氏が犯行に使用した凶器と一緒に所持していたカッターナイフについて、「キム氏が常に持ち歩く道具」で「主に印刷物、チラシなどを切る時に使用する用途」と説明した。
 これと共にキム氏がイベントに入場することができた理由についても説明した。
 弁護士は、「キム氏は、民和協の創立メンバーであると主張している」とし、「キム氏は、会場で自分の入場用名札が無いと(自分を)知っている女性職員に話したら、名札を受け取ることができた」と主張した。
 またキム氏は、同日午前に世宗文化会館世宗ホールで開かれた民族和解協力汎国民協議会主催の朝食講演行事に参加したリッパート大使に25cmの長さの刃物を振り回して負傷させた。
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 殺害するのに十分な刃物を準備し、執拗に刺していることから、殺意があったと推定され、脅迫しようとしただけという言い訳は通らない。ただ、「米国に警鐘を鳴らそうとした」というのは本心なのかもしれない。それは、脅迫という手段ではなく、殺害という方法でだが。

 キム・ギジョンの叫んだことからすると、犯行動機は米韓合同軍事演習への反発と思われている。キム・ギジョンは「民族和合運動連合」という団体に所属し、北朝鮮を8回訪問(06年11月~07年4月)するなど、親北朝鮮の傾向が強い活動家だから反米的な主張をしても不思議は無い。だが、米韓軍事演習は毎年行われていることなのに、今年に限ってこの様な行動を起こしたことの説明がつかない。
 この襲撃事件が発生するまで、韓国は反米的な雰囲気に包まれていた。シャーマン国務次官が先月末の講演で「ナショナリスト的な感覚で敵をけなすことは、国の指導者にとって安っぽい称賛を浴びる容易な方法だが、それは感覚がまひするだけで、進歩は生まない」などと発言したことで、韓国世論はアメリカが日本の肩を持ったと強く反発していた。朝鮮日報は社説(看過できない米国務次官の「韓中日共同責任論」)で「日本に対しては、一言も謝罪と反省を求めなかった。」「外交的には使ってはならない不適切極まりない表現を遠慮なく使った。」と批判し、中央日報も社説(日本が韓日米の三角共助に害するとなぜ説得できないか)で、「『過去の歴史は3国みなの責任』というシャーマン式論理は韓日関係の改善に一抹の助けにもならず、反米感情を増幅させるだけだということを明確に認識させなければならない。」と批判した。保守系団体はアメリカ大使館近くで「日本の過去に免罪符を与えたアメリカは謝罪せよ」などと抗議活動を行っていた。政界でも、与党セヌリ党の金乙東(キム・ウルドン)国会議員は「アメリカが被害者に背くのなら『世界の警察』としての地位は長くない」と激怒し、趙太庸(チョ・テヨン)外務第1次官は国会で「厳重にこの問題を扱う」と述べていた。
 重家日本大使襲撃事件の前も似た様な雰囲気だった。日本政府は韓国に遠慮せず竹島教育を着々と進め、その度に韓国の外交通商部長官が抗議するという展開になり、韓国世論は反日に沸騰していた。そうした雰囲気の中で、キム・ギジョンは犯行におよんでいた。今度も、キム・ギジョンはこの様な韓国世論の怒りの高まりを感じ取り、アメリカ政府の代表である大使に天誅を加えることで安重根になれると考えたに違いない。
 また、キム・ギジョンは経済的に困窮していたようだ。韓国の低所得層への生計支援制度である基礎需給制度の受給対象者で、家賃も滞納し、公共料金の支払いも満足に支払えていなかったとのこと。こうした状況を打開するための犯行でもあったのかもしれない。

 駐韓米大使襲撃事件発生後、韓国世論は一変した。シャーマン国務次官の発言で怒っていたことなど忘れてしまったかのように謝罪で溢れかえった。だが、韓国では、事件の影響はアメリカでのロビー活動に支障が出るくらいとか思っていないようだ。
*** 駐韓米大使襲撃 米国で「嫌韓」高まる恐れも ***
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/03/05/2015030501916.html?ent_rank_news
【ソウル聯合ニュース】米国のリッパート駐韓大使が韓国人の男に襲撃された事件をめぐり、韓国では韓米関係への影響を懸念する声が出ている。
 リッパート大使は5日にソウル市内で市民団体代表の男に切りつけられた。駐韓米大使に対するこうした深刻な襲撃は初めて。個人の突発的な行動とはいえ、同盟国に駐在する大使がテロに遭ったことになり、波紋が広がる可能性も排除できない。リッパート大使がオバマ米大統領の側近という点も、韓国の外交当局には重荷になりそうだ。
 韓国の民間シンクタンク、世宗研究所の洪鉉翼(ホン・ヒョンイク)首席研究委員は「国民1人の危害に対しても黙っていないのが米国だ。米大使はある意味、米国そのもので、大使への攻撃は米国を攻撃したことになる」と懸念を示した。
 しかし、60年を超える韓米同盟の磐石さを勘案すると、事件の影響は限定的との見方が大勢を占める。
 別の韓国民間シンクタンク、峨山政策研究院の崔剛(チェ・ガン)副院長は「政府レベルだけでみると、韓国はもちろん米国もこの問題を個人の突発的な行動と見なし、拡大はせず、速やかに収拾しようとするだろう」と話す。
 一方、民間レベルでは溝が生じる恐れがないわけではない。先ごろシャーマン米国務次官(政治担当)が歴史問題をめぐる韓国、中国と日本の対立は3カ国すべてに責任があるという趣旨の発言をし、韓国の世論の反発を招いた。今回の米大使襲撃事件では、米国内の韓国に対する世論に悪影響が及ぶこともあり得る。崔副院長は「一部の米国民の間で嫌韓感情が増幅しかねない」との見方を示した。
 また洪首席委員は「対米外交において韓国政府の負担が増すことになる」と指摘する。
 韓国と日本が歴史問題をめぐりそれぞれ米国に接近しようとする中、米大使襲撃事件が日本に有利に働くのではないかという観測もある。
 韓国の政府系シンクタンク、国立外交院の関係者は「ワシントンでの日本との外交戦で、韓国が不利になった。しばらくは事件の影響を抑えることに外交力を集中させる必要があるためだ」と話した。
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 韓国政府も然程重大事とは受け止めていないらしく、「けさマーク・リッパート駐韓米国大使に対する加害行為が発生したことに対し、衝撃を禁じ得ず、これを非常に遺憾に思う」との声明を出すに止め、朴大統領も中東歴訪を続けていた。
 一昔前なら、この様な対応にならなかったのではないだろうか。

 シャーマン国務次官の発言に、朝鮮日報は社説で「軽く見過ごすことはできない。」「何が米政府の公式の立場なのかはっきりさせる必要がある。」「韓米関係も政府の説明通りに『最上の関係』ではないことが今回明らかになった。」と書き、中央日報は社説で「シャーマン式論理は韓日関係の改善に一抹の助けにもならず、反米感情を増幅させるだけだということを明確に認識させなければならない。」と書いていた。どちらも、上から目線の発言で、韓国の認識にアメリカが合わせろと命じているように聞こえる。
 保守系団体はアメリカ大使館近くで抗議活動を行い、アメリカに謝罪を求めていた。アメリカが韓国と異なる認識を持つことは許されず、許されないことを行ったアメリカは謝罪しなければならないということだろう。
 近年、韓国はアメリカに慰安婦像を建てたり、東海の呼称を強要したりしている。アメリカは韓国の主張に従うのが当然と思っているかのようだ。見方のよれば、アメリカを属国扱いしているようにも見える。
 最近の韓国の反応をみると、韓国人の意識の中でアメリカとの上下関係が逆転してきているのではないかと、尚更思える。

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ソウルで米大使が切りつけられけが 連行の男は日本大使にも石(15/03/05)
https://www.youtube.com/watch?v=WZuqtb0Hzto
「南北分断は日本のせいだ!」、日本駐韓大使が講演中に石を投げられる
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0708&f=politics_0708_003.shtml
【社説】看過できない米国務次官の「韓中日共同責任論」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/03/03/2015030300620.html
【社説】日本が韓日米の三角共助に害するとなぜ説得できないか
http://japanese.joins.com/article/278/197278.html?servcode=100§code=110

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産経の朴大統領名誉毀損事件<5>

 加藤ソウル前支局長が起訴されてから1ヶ月半以上経過し、ようやく初公判が開かれた。
*** 産経前ソウル支局長は無罪主張 名誉棄損で初公判 ***
テレ朝NEWS
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000039555.html
~略~
 初公判は27日午前に終わりました。ソウル中央地裁の3階にある傍聴席、30席余りの小さな法廷ですが、立ち見の傍聴者もあふれて、まるで満員電車のような状況でした。そして、開廷直後に傍聴していた保守団体のメンバー数人が「謝罪しろ」などと叫び始めて追い出されるなど、異様な雰囲気のなかで公判が進みました。初公判では、まず検察側が起訴状を朗読し、「噂(うわさ)の真偽を確認せず、大統領らを誹謗(ひぼう)する目的で、公然と嘘の事実を報じて大統領らの名誉を傷付けた」と指摘しました。一方、加藤前支局長は罪状認否で「大統領を誹謗する意図は全くありません。この裁判が法と証拠に基づき、厳正に行われることを望みます」などと述べ、改めて無罪を主張しました。裁判長は今後の争点について、加藤前支局長の記事が虚偽であったのかどうか、そして朴大統領を誹謗中傷する目的で書かれたのか、それとも公益性があったのかどうかについて審議を進めていくと話しました。次回の公判は来月15日になります。
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◆裁判の焦点
 裁判は次の3つを中心に進められそうである。
●記事が虚偽であったのかどうか
●朴大統領を誹謗中傷する目的で書かれたのか
●公益性があったのかどうか
 上の2つは検察が立証しなければならず、公益性については弁護側が立証することになる。

 「記事が虚偽」の虚偽とは、何を虚偽とみているのであろうか。検察は、「朴槿恵大統領がセウォル号事故発生当日、チョン・ユンフェとともにおり、チョン・ユンフェもしくはチェ・テミンと緊密な男女関係である」かのように書いたことが「虚偽の事実」に当たるとしているので、検察の言う「虚偽」とは朴大統領自身の行為(事故当日の行動や男女関係の存在)を対象としている。つまり、大統領の行為を間違って伝えているから虚偽であるということである。しかし、産経新聞の記事は直接大統領の行為を伝えるような書き方をしておらず、朴政権のレームダック化が進んでいる現象として「朴大統領をめぐる噂」があると書いている。だから、記事が虚偽と言うならば、大統領の行為を対象とするのではなく、噂を対象とすべきである。であるからして、記事が虚偽であるかどうかは、噂の存在の有無若しくは噂の内容の捏造があったのかどうかをもって判断されなければならない。朴大統領をめぐる噂は韓国の一般メディアも取り上げているのであるから、噂の存在自体を否定することは無理である。また、内容についても、朝鮮日報のコラムが噂を大統領の男女関係のことと暗示しているのであるから、噂の内容を加藤ソウル前支局長が捏造したとするのも困難であろう。
 そもそも、検察が情報通信網法第70条2項で起訴しなければ「虚偽」について立証する必要も無かった。名誉毀損を問うとしても、虚偽であるかどうかを問わない情報通信網法第70条1項であれば、検察の立証責任のハードルは低かった。第70条2項は第70条1項より量刑が倍以上重いが、有罪にし易いことを考慮すれば第70条1項を選択するという判断もあったと思う。それでも、検察が第70条2項を選択したのは、朴大統領に男女関係は無いということをアピールすることが目的だったからではないであろうか。大統領側から男女関係を否定するように要望が出されていたから、検察は大統領の行為を対象として虚偽を主張していると思える。

 加藤ソウル前支局長と同様、朴大統領の男性関係を書いたとして情報通信網法違反(名誉毀損)に問われたケースがあった。昨年6月、48歳の主婦がインターネットの掲示板に「死ぬ日は遠くない」と題する文章を載せ、「朴大統領はチェ・テミン牧師、彼の婿チョン・ユンフェ氏と不倫関係」と書き込んだところ、これが情報通信網法違反になるとして同容疑で起訴された。この主婦は「チョ・ウン牧師のインタビュー映像と政治家のインタビュー記事を見て事実と信じていた」と主張したが、判事は「この内容に対する客観的根拠資料を探した事実もなく、見たという記事も私生活に関する抽象的な風聞を伝えるものがほとんどであり、これを事実と信じたという主張は納得しがたい」と退け、「虚偽ということ知りながらも一般の人の関心が大きい朴大統領の私生活に関する内容をインターネット掲示板に載せた」として、公共の利益を認めず、表現の自由の限界を越えているとし、ソウル中央地裁は10月1日にこの主婦に対して懲役4月、執行猶予1年の判決を下したのである。
 情報通信網法の名誉毀損には免責条項はないが、名誉毀損罪には真実性と公益性があれば免責されるとあるので、それに準じた運用をしていることがうかがえるが、判決理由からすると、大統領の私生活に関する事柄については公益性を認めず、誹謗中傷する目的であったと認定されたようである。
 加藤ソウル前支局長のケースは、噂を紹介するという形で朴大統領の私生活に触れているので、この主婦のケースがそのまま当てはまる訳ではないが、この様な判決をみると、噂を利用して誹謗中傷したと認定され公益性も認められない可能性が高いのではないかと思える。


◆法の適用範囲
 そもそも今回の件で韓国の国内法を適用されるのは妥当なのであろうか。日本語で書かれ、日本国内向けに日本国内のサーバーから発信されたにもかかわらず、韓国の国内法を適用されるのは理不尽と思うのが一般的であろう。
 名誉毀損は公然性(多数または不特定のものが認識し得る状態)がなければ成立しない。加藤ソウル前支局長が記事を書いたのは韓国国内であっても、公開されたのは日本の国内であるから、犯罪が行われたとするにしても日本国内の犯罪とみるべきではないか。

 法律の及ぶ範囲は原則として国内に限られる。よって、海外で国内法に違反しても、国内法は適用されない。ただし、例外はある。例えば日本の場合は、内乱、外患誘致、通貨偽造、公文書偽造など刑法第2条にある罪は外国で犯しても国内法が適用される(国籍は問わない)。日本国民であったら、外国で犯したとしても殺人、放火、誘拐、私文書偽造、名誉毀損など刑法第3条にある罪を犯せば、国内法で裁かれる場合がある。また、日本国民に対して刑法第3条の2の犯罪が犯されれば、外国人が外国で犯しても国内法が適用される。
*** 日本の刑法 ***
第一編 総則
第一章 通則
(国内犯)
第一条  この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。
2  日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする。
(国民以外の者の国外犯)
第三条の二  この法律は、日本国外において日本国民に対して次に掲げる罪を犯した日本国民以外の者に適用する。
一  第百七十六条から第百七十九条まで(強制わいせつ、強姦、準強制わいせつ及び準強姦、集団強姦等、未遂罪)及び第百八十一条(強制わいせつ等致死傷)の罪
二  第百九十九条(殺人)の罪及びその未遂罪
三  第二百四条(傷害)及び第二百五条(傷害致死)の罪
四  第二百二十条(逮捕及び監禁)及び第二百二十一条(逮捕等致死傷)の罪
五  第二百二十四条から第二百二十八条まで(未成年者略取及び誘拐、営利目的等略取及び誘拐、身の代金目的略取等、所在国外移送目的略取及び誘拐、人身売買、被略取者等所在国外移送、被略取者引渡し等、未遂罪)の罪
六  第二百三十六条(強盗)及び第二百三十八条から第二百四十一条まで(事後強盗、昏酔強盗、強盗致死傷、強盗強姦及び同致死)の罪並びにこれらの罪の未遂罪
(他の法令の罪に対する適用)
第八条  この編の規定は、他の法令の罪についても、適用する。ただし、その法令に特別の規定があるときは、この限りでない。
********************

 韓国の場合はどうであろうか。
*** 韓国の刑法 ***
第1編 総則
第1章 刑法の適用範囲
第2条(国内犯) 本法は、大韓民国領域内において罪を犯した内国人及び外国人に適用する。
第5条(外国人の国外犯) 本法は、大韓民国領域外において次に記載した罪を犯した外国人に適用する。
 1.内乱の罪
 2.外患の罪
 3.国旗に関する罪
 4.通貨に関する罪
 5.有価証券、切手及び印紙に関する罪
 6.文書に関する罪のうち第225条から第230条まで
 7.印章に関する罪のうち第238条
第6条(大韓民国及び大韓民国国民に対する国外犯) 本法は、大韓民国領域外において大韓民国又は大韓民国国民に対して前条に記載した以外の罪を犯した外国人に適用する。ただし、行為時の法律により犯罪を構成せず、又は訴追又は刑の執行を免除する場合には、この限りでない。
第8条(総則の適用) 本法総則は、他法令に定めた罪に適用する。ただし、その法令に特別の規定があるとときは、この限りでない。
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 外国における自国民に対する犯罪の適用範囲は、日本が「強姦」「殺人」「傷害」「逮捕監禁」「誘拐」「強盗」などの犯罪に限っているのに対し、韓国は刑法第6条で第5条以外の犯罪にも及ぶとしている。つまり、全ての種類の刑法犯に適用されるのである。要するに、韓国及び韓国民に対する犯罪は、世界の何処で犯されたとしても外国人であれば韓国の国内法が適用可能なのである。
 刑法はこの様であるが、情報通信網法には適用範囲が外国にも及ぶとも及ばないとも書いていない。しかし、刑法第8条には、定めが無い限り他法令の罪にも適用されるとあるので、韓国または韓国民に対するものであれば、情報通信網法が適用することが出来、罪に問えるのである。
 まさか、情報通信網法が外国で発生した事件にも適用可能な法システムになっているとは思ってもいなかった。だから、名誉毀損が発生したとされる場所は日本なのか韓国なのかと考えたところで、韓国の法的には意味がなかったのである。驚くべきことであるが。とは言え、韓国に司法管轄権(国内裁判所が、国内法令を適用して、事件を審理する権限)があると主張しても、外国には執行管轄権(行政が逮捕などにより、国内法令を執行する権限)が及ばないため、外国にいる犯人を韓国が直接拘束することは出来ない。ただ、韓国に入国するとその限りではない。

 調べてみると、日本国内で発生した事案について韓国司法が司法管轄権を行使した実例が既にあった。維新政党・新風代表の鈴木信行氏のケースがそうである。
 鈴木新風代表は2012年6月にソウルの駐韓日本大使館前にある慰安婦像に「竹島は日本固有の領土」と書かれた杭を縛りつけたとされる人物である。鈴木新風代表は日本でも同様のことをしていたとされていて、2012年9月に金沢市にある尹奉吉義士殉国記念碑の前にも同じ内容の杭を立てて自分のブログに掲載している。
 これらの件について、ソウル中央地検は日本にいる鈴木新風代表に対して出頭命令を日本政府を通さずに直接出していたが、鈴木新風代表が応じなかったため、一度も取り調べることなく2013年2月に慰安婦像の件については名誉毀損罪を、記念碑の件については死者名誉毀損罪を適用し、起訴した。裁判は、鈴木新風代表が出廷しないために初公判後は延期となっているが、指名手配となっているらしい。
 また、鈴木新風代表は、尹奉吉の遺族にも死者の名誉を毀損したとして賠償を求める民事訴訟を起こされ、欠席裁判で杭を立てた本人と認定されて敗訴している。これからすると、刑事ばかりでなく民事でも国境を越えて司法管轄権を行使できる法システムになっているようである。

 最近の日本では、韓国社会の欺瞞性が広く知れ渡るようになり、韓国を嫌う人々が非常に増えているが、韓国の司法制度が韓国及び韓国人に関する場合は国外の事件にも裁判権を行使できるシステムになっていることを知る人はほとんどいないのではないか。今回の名誉毀損事件の報道の中でもこのことについて言及した記事は無かったのではないか。こうしたことこそ広く知られるべきであると思う。


◆名誉毀損をした者
 起訴状によると、加藤ソウル前支局長は8月2日ごろにソウル支局で記事を作成し、東京の本社に送信、8月3日正午に産経新聞インターネット記事欄に掲載されたとなっている。加藤ソウル前支局長を聴取した結果であろうから、事実であろう。
 新聞の場合、記者の書いた原稿は各部デスクがチェックし、編集局が校閲と調整を行った後、紙面に掲載される。つまり、出稿したからといって、必ず掲載される訳ではなく、何段階かの検討を経て掲載されるのである。個人のブログではないのであるから、インターネット版であってもノーチェックで掲載されることは無いはずである。加藤ソウル前支局長が書いた記事も、出稿から掲載までの間にチェックがあったと思われ、掲載の判断も本社の編集局で行われたのであろう。そうでなければ、とんでもない記事が掲載されかねない。

 名誉毀損罪は「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した」場合に成立する。公然とは「不特定または多数の者」に対して行うことを意味する。どんな罵詈雑言を書いたとしても公表しなければ成立しないのである。それは韓国の情報通信網法でも同様である。
 加藤ソウル前支局長が書いた原稿が仮に名誉を毀損していたとしても、加藤ソウル前支局長が公表した訳ではない。掲載するかの判断をし、公表する作業をしたのは編集局のはずである。であるならば、加藤ソウル前支局長は名誉毀損の構成要件を満たしていないので、罪に問われるのはおかしいと言わざる得ない。
 加藤ソウル前支局長や編集局員も新聞社の業務の一環として行ったのであるから、責任を問うとしたら新聞社に対して行うのが筋であろう。だが、ソウル中央地検は加藤ソウル前支局長だけを起訴することに止め、産経新聞社に対しては何のアクションも起こしていない。起訴するなら、責任者である産経新聞の社長や編集局長に対して行うべきである。加藤ソウル前支局長の個人犯罪ではないのであるから。


・・・終わり。
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朴大統領をネット上で誹謗した主婦 懲役4月・執行猶予1年
http://japanese.joins.com/article/806/190806.html
■海外で国内法に違反する行為をした場合に国内法を適用できるのか?
http://houseikyoku.sangiin.go.jp/column/column061.htm
刑法1
http://www.geocities.jp/koreanlaws/keihou1.html#第1章 刑法の適用範囲
くい設置の日本人 韓国検察が起訴=名誉毀損の罪で
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2013/02/17/0200000000AJP20130217000800882.HTML
韓国“反日”検察の異常 「慰安婦」像に杭→日本人を名誉毀損で起訴
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130224/kor13022407010001-n1.htm

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産経の朴大統領名誉毀損事件<4>

◆情報通信網法
 加藤ソウル前支局長は名誉毀損で起訴されたが、罪名は刑法の名誉毀損罪ではなく情報通信網法違反だった。両法の違いを見てみるために該当条項を比較してみる。
*** 情報通信網法 ***
第1章 総則
第1条(目的)この法律は、情報通信網の利用を促進し、情報通信サービスを利用する者の個人情報を保護するとともに、情報通信網を健全かつ安全に利用することができる環境を造成し、国民生活の向上と公共の福祉の増進に資することを目的とする。
第10章 罰則
第70条(罰則)
(1)人を誹謗する目的で情報通信網を通じて公然と事実を暴露し他人の名誉を毀損した者は、3年以下の懲役もしくは禁錮または2千万ウォン以下の罰金に処する。
(2)人を誹謗する目的で情報通信網を通じて公然と虚偽の事実を暴露し他人の名誉を毀損した者は、7年以下の懲役、10年以下の資格停止または5千万ウォン以下の罰金に処する。
(3)第1項及び第2項の罪は、被害者が具体的に明らかにした意思に反して公訴を提起することができない。
**********************
*** 刑法 (韓国) ***
第33章 名誉及び信用に関する罪
第307条 (名誉毀損) 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮又は250万ウォン以下の罰金若しくは拘留に処する。<改正 2005年4月1日>
② 公然と虚偽の事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、2年以下の懲役又は500万ウォン以下の罰金若しくは拘留に処する。 <改正 2005年4月1日>
第308条 (死者の名誉毀損) 公然と虚偽の事実を摘示し、死者の名誉を毀損した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮又は500万ウォン以下の罰金又は拘留に処する。<改正 2005年4月1日>
第309条  削除
第310条 (違法性の阻却) 第307条第1項の行為が、真実の事実であり、専ら公共の利益に関するときは、罰しない。
第311条 (侮辱) 公然と人を侮辱した者は、150万ウォン以下の罰金に処する。<改正 2005年4月1日>
② 公然と死者を侮辱した者も前項と同様にする。<改正 2005年4月1日>
第312条 (告訴及び被害者の意思) 第308条及び第311条の罪は、告訴があるときに限り、公訴を提起することができる。
② 第307条の罪は、被害者の明示の意思に反して公訴を提起することができない。
第313条 (信用毀損) 虚偽の事実を流布し、又はその他の偽計を用いて、人の信用を毀損した者は、2年以下の懲役又は500万ウォン以下の罰金若しくは拘留に処する。<改正 2005年4月1日>
第314条  削除
第315条  削除
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 起訴状には「虚偽の事実を概括した」となっているので、情報通信網法では第70条2項が、刑法では第307条2項が該当する。その場合、量刑の違いはこの様になる。
●情報通信網法→懲役7年以下、資格停止10年以下又は罰金5千万ウォン以下
●刑法→懲役2年以下又は罰金500万ウォン以下若しくは拘留
 刑罰は、刑法よりも情報通信網法の方がかなり重い。ソウル中央地検は量刑のより重い情報通信網法を選択したと勘ぐりたくなるが、冷静に考えれば、情報通信網法は刑法に比べ新法であり特別法であるから、新法優先の原則や特別法優先の原則に従ったということなのか。

◆名誉毀損罪
 この事件は、市民団体の告発によりソウル中央地検が捜査し、起訴に至っている。朴大統領らが告訴した訳ではない。
 日本では、名誉毀損罪が親告罪であることが刑法232条に明記されているから、犯罪被害者(もしくは法により定められた親族等の告訴権者)が捜査機関に対して告訴しなければ事件にならない。
*** 刑法 (日本) ***
第34章 名誉に対する罪
(名誉毀損)
第230条  公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
(公共の利害に関する場合の特例)
第230条の2 前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
3 前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
(侮辱)
第231条  事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
(親告罪)
第232条  この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
2 告訴をすることができる者が天皇、皇后、太皇太后、皇太后又は皇嗣であるときは内閣総理大臣が、外国の君主又は大統領であるときはその国の代表者がそれぞれ代わって告訴を行う。
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 一方、韓国では、名誉毀損罪が刑法312条2項で「被害者の明示の意思に反して公訴を提起することができない」となっている。つまり、被害者が「処罰を望まない」という意思表示をしなければ起訴可能ということである(反意思不罰罪)。この点で情報通信網法も同様である。

 朴大統領は加藤ソウル前支局長の起訴に対し沈黙している。朴大統領が「処罰を望まない」と意思表示すればそれで終わりなのであるが、諸外国からも批判を浴びても、朴大統領は起訴について何ら具体的に語っていない。
 朴大統領は、「空白の7時間」に関して9月16日に「国民を代表する大統領を冒とくする発言も度を越している。国民への冒とくでもあり、国家の威信と外交関係にも悪影響を与えかねない」と強い不快感を示していた。この発言がソウル中央地検の起訴を後押ししたとも言われている。大統領側が、検察に指示したというのが真相かもしれないが、ソウル中央地検が独自に判断したということになっている。朴大統領の指示があったにしろ無かったなしろ、朴大統領が黙認していることは確かである。
 朴大統領は、大統領への侮辱が韓国の威信や外交に悪影響を及ぼすと主張しているが、実際には加藤ソウル前支局長を起訴したことで韓国のイメージダウンになったことは明らかである。朴大統領の本心は、韓国のイメージダウンになっても「侮辱は許せない」ということなのであろう。

◆韓国社会の名誉毀損に対する感覚
 加藤ソウル前支局長が起訴された後、韓国人記者が「国家元首であり、日本における首相よりも大きな権力があると受け止められている」「その権威を傷つける私生活の疑惑を報じた産経側に問題がある」と言っていたそうである。権力の大きさからすると、アメリカ大統領は韓国大統領より大きいであろう。それでも、クリントン元大統領の不倫スキャンダルが発覚した時に厳しく追及したマスコミに対し、大統領の権威が失墜させるなとの非難はなかった。権力者の名誉に関し、韓国社会の中には独特の感覚があるのかもしれない。

 名誉毀損は事実の有無にかかわらず成立するが、日本では公務に携わる者に関し、真実である場合は免責される(刑法230条の2の3項)。ところが、韓国ではこれに当たる条文が無い。
 憲法を見てみると、日本も韓国も言論の自由が明記されている。だが、韓国の憲法では、同時に名誉や権利を侵害してはならないとしている。
*** 日本国憲法 ***
第二十一条  集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
○2  検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
********************
*** 大韓民国憲法 ***
第21条① すべての国民は、言論及び出版の自由並びに集会及び結社の自由を有する。
② 言論及び出版に対する許可又は検閲並びに集会及び結社に対する許可は、認められない。
③ 通信及び放送の施設基準並びに新聞の機能を保障するために必要な事項は、法律で定める。
④ 言論及び出版は、他人の名誉若しくは権利、公衆道徳又は社会倫理を侵害してはならない。言論及び出版が、他人の名誉又は権利を侵害したときは、被害者は、これに対する被害の賠償を請求することができる。
**********************
 韓国は憲法で、言論の自由には制限があることを明確にし、名誉を重要視する姿勢をみせている。
 また、公共的利益保護のために公人の名誉はより制限されるというのが民主主義社会における認識であると思うが、韓国の刑法には公人に関する規定が無く、ここからも名誉保護重視の姿勢が見られる。

 加藤ソウル前支局長が起訴された後、読売新聞が以下の記事を載せた。
*** 朴政権、大統領批判に過剰反応…民事訴訟も乱発 ***
 韓国の検察当局は8日、朴槿恵(パククネ)大統領の名誉を毀損(きそん)したとして、産経新聞の前ソウル支局長を在宅起訴するという強硬手段に打って出た。
 韓国では、これまでにも政権側が批判的なメディアに対し、民事訴訟を起こしたり、刑事事件化したりして対抗してきた。しかし、国外の報道関係者が名誉毀損の刑事事件で起訴されるのは異例だ。
 朴政権は、今回の産経の事件を含め、大統領個人の名誉に関わる事案に敏感に反応してきた。大統領府秘書室などは4月の旅客船沈没事故以降、韓国紙・ハンギョレを名誉毀損で訴えるなど、少なくとも5件の民事訴訟を起こした。
 韓国の言論仲裁委員会によると、今年、国や自治体が報道機関に訂正や損害賠償を求めた件数は、6月までに101件に上った。メディアを訴えることが日常化しているとも言える。
 だが、今回のケースでは市民団体の告発を受け、検察が刑事事件として捜査。韓国政府のより厳しい姿勢が浮かび上がる。
 韓国では、批判的なメディアに対し、政権が検察の捜査という強硬手段で対抗するという図式が繰り返されてきた。
 かつての軍事独裁政権下では韓国の報道機関は当局の検閲を受けていたが、1987年の民主化以後は、むしろ報道機関が絶大な影響力を発揮するようになった。これを受けて政権側は、報道機関を手なずけようと苦心してきた。その一方で、批判的なメディアが政権運営を著しく困難にする報道を行った場合は、検察が捜査し、けん制する材料として利用した。
(読売新聞 10月9日)
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 韓国では、国や自治体が安易に名誉毀損訴訟を起こしている実態が見て取れる。日本や欧米で同様なことを行えば、政治的な抑圧との批判は免れないであろう。名誉毀損罪が親告罪でないことといい、韓国では名誉毀損に対する考え方が大きく異なっているのではないかと思える。
 ジャーナリストの起訴はある種の驚きをもって伝えられたが、韓国社会ではそうではないのかもしれない。朴大統領はじめ多くの韓国人の感覚では、非難をする日本や欧米の方が非常識と捉えているのではないかと思えてくる。

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韓国の「情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律」を訳してみた(その2)
http://d.hatena.ne.jp/nilnil/20140214/1392300784
刑法 (大韓民国)
http://ja.wikisource.org/wiki/%E5%88%91%E6%B3%95_(%E5%A4%A7%E9%9F%93%E6%B0%91%E5%9B%BD)
韓国における性犯罪被害者支援及び性犯罪関連施策
http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/boryoku/siryo/pdf/bo63-2-1.pdf
大韓民国憲法
http://www.geocities.jp/koreanlaws/kenpou.html#ch2

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